【シングル女性】老後に備えたマンション購入はあり?住宅ローンは利用する?

老後の心配から、マンションの購入を考えるシングル女性が増えています。

比例して、シングル女性では住宅ローンが組めないのではと、不安を感じる方も多いです。結論からいうと、現在はシングル女性でも住宅ローンを組むことは可能で、マンションを購入できます。

シングル女性が老後にマンションを購入するのはありなのか、マンションを購入するために住宅ローンを利用するべきか否かについて解説します。

シングル女性の老後のマンション暮らしはあり?

シングル女性がマンションを購入し、老後を暮らすことについて考えます。

最近のマンション購入の実態と意識調査の結果を参考に、シングル女性がマンションを購入する理由やメリットについて解説します。

老後のためにマンションを買うシングル女性が増えている

SUUMOリサーチセンターの「2022年首都圏新築マンション契約者動向調査」によると、老後の安心・資産形成のためにマンションを購入するシングル女性が増えていることがわかります。

シングル女性がマンションを購入する理由でもっとも多かったのが「資産を持ちたい、資産として有利だと思ったから」で41.8%、次いで「老後の安心のため、住まいを持ちたいと思ったから」が40.3%でした。

このデータからは多くのシングル女性が老後に備え、資産価値のあるマンションを購入していることが伺えます。

これまで女性の多くは、将来の結婚や転勤などのライフステージの変化を考え、住宅購入を躊躇していました。しかし昨今は安定した収入を持つ女性が増えたこともあり、男性同様にマンションを購入する方が増えているようです。

マンション購入のメリット

多くの女性が老後のためにマンション購入をしていますが、マンションを所有することで具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

メリット①自分の資産になる

シングル女性がマンションを購入する一番のメリットは、自分の資産になることです。

賃貸住まいでは、いくら家賃を払い続けても物件が自分の物にはなりません。仮に月8万円の家賃を35年間支払い続けると、総額3,360万円もの金額が掛け捨てになってしまいます。

一方、月8万円のローンでマンションを購入した場合には、物件が自分の資産となり、将来的には売却や賃貸で有効活用することもできます。

メリット②老後に住む家を持てる

一般に賃貸住宅は高齢になるほど入居しづらくなります。これは、賃貸の大家が孤独死により訳あり物件になることを嫌うためです。

こうした高齢者への貸し渋りに対して、国も「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定し、「自然死・日常生活の中での不慮の死」は借主への告知を不要にするなどの対策に乗り出しましたが、効果が表れるまでには時間がかかりそうです。

メリット③生活設計が立てやすい

シングル女性がマンションを購入することで、生活設計が立てやすくなります。

ローンの支払いを70歳~80歳まで続けたら、支払い負担が賃貸と変わらないのでは、と思う方もいるかもしれません。しかし賃貸の家賃は住み続ける限り支払わねばならないのに対し、住宅ローンは繰り上げ返済が可能です。

住宅ローンでマンションを購入した場合に、貯蓄や退職金でローンを早めに完済してしまえば、老後の生活設計が立てやすくなります。

メリット④自由にリフォームできる

賃貸では原則リフォームができず、仮に行った場合には退去時に原状復帰が必要です。その点自分で購入した物件ならば、暮らし方に合わせて自由にリフォームができます。

老後まで長く住み続けられるよう、居住空間を自在にアレンジできる点も、マンションを購入する大きなメリットです。

マンション購入のデメリットと解決法

マンション購入にはさまざまなメリットがある一方で、次のようなデメリットもあります。

  • 住み替えがしづらい
  • ローン完済後も固定資産税、管理費の負担がある
  • 室内設備の修理費用負担がある

結婚や転勤にともなう転居が気軽にできない点が、マンション購入のデメリットとして挙げられます。転居する場合には、売却や賃貸に出すことで有効活用しましょう。また老後の諸費用負担についても、住宅ローンを繰り上げ返済することでトータルの負担を減らせます。

このようにマンション購入のデメリットは、メリットを活かすことで対処できるケースが多いです。賃貸住まいで家賃を払い続け、入居や更新を断られるリスクがあることを考えれば、老後の資産となるマンションを購入するメリットが勝るといえます。

シングル女性がマンションを選ぶ際のポイント

ここからは、シングル女性がマンションを選ぶ際のポイントを6つ紹介します。実際にマンションを選ぶ際の参考にしてください。

間取り

シングル女性のマンション選びには、間取りが特に重要です。

1人だからワンルームや1Kでもよいと考える方もいますが、寝室とリビングが一緒では住み心地が良いとはいえず、あとで後悔するかもしれません。また、結婚や転勤をして物件を売却したくなっても、需要が少なく買い手が付きにくい可能性があります。

その点シングルや新婚世帯に需要のある1LDKであれば、売却や賃貸がしやすいためおすすめです。1LDKの間取りなら住み心地も良好です。

周辺環境

物件の環境には、日当たりの良さと設備があります。

また周辺の商店や公共施設へのアクセスも、住みやすさを決める重要なポイントです。女性の場合はさらに治安の良さも大切です。老後に住む物件を検討する際には、歳を取っても住める環境かどうかも見極めましょう。

立地

マンション選びでは、物件の立地も重要なポイントです。長く住むためにも、毎日の通勤をストレスフリーにすることは大切です。

物件の立地が良ければ、将来売却する際の買い手や賃貸の入居者も見つけやすくなります。人気エリアの物件は中古でも価格が下がりにくい傾向にあり、逆に人気のないエリアでは今後も売却価格や家賃が下がる可能性が高いです。

アクセス以外にも、ハザードマップで災害リスクを確認しておくことも、物件価値を知るために重要なポイントです。

このように物件を選ぶ際には、現在の価格だけでなく将来の需要も見越しておくと安心です。

築年数

マンションを選ぶ際には、物件の築年数も重視する必要があります。

中古マンションは価格が低く、物件数が多いことに加え、実際の住人や管理状況を把握できる点も魅力です。一方で注意点としては、仲介手数料がかかること、諸経費が新築よりも高額になることが挙げられます。

また1981年以前に建てられた物件は、新耐震基準に則っていない場合もあるため、注意が必要です。新基準では震度6強から7程度で倒壊を免れる構造とされています。

そのため中古マンションを購入する場合は、1982年以降に建てられた物件をおすすめします。一般に築20年を過ぎると物件価格が大幅に下がるため、リセールバリューを重視する場合には、新築か築年数の浅い物件を選ぶとよいでしょう。

セキュリティ

シングル女性が安心して住めるためには、セキュリティが充実していることは必須です。

エントランスがオートロックであれば、専用のカードや暗証番号がないと解錠できず安全性が高いといえます。そのほか管理人が24時間駐在している、複数の監視カメラが設置されているなどの条件も満たせば一層安心です。

設備以外の管理状態を把握する方法として、共用部の掃除や整備が行き届いているかを確認することも有効です。

自分自身の安全と将来の運用のためにも、セキュリティ体制の整った物件を選びましょう。

価格

現金で一括購入するにせよ、住宅ローンを利用するにせよ、支払いで生活に支障をきたさないことが大前提です。そのためには自分の収入に見合う価格の物件を選ぶ必要があります。

不動産を購入する価格の目安は年収の5~7倍が目安と考えられています。低金利が続く前提であれば、10倍まで検討が可能といった意見もあります。住宅ローン利用時の返済月額の目安は年収の30~40%以下とされ、25%以下であれば安定して返済できるといわれます。

ただし、マンション管理費や固定資産税などの諸費用が別途かかることや、他のローンの有無などを相殺する必要がある点にご注意ください。また病気などの突発的な出費に備える資金も残しておきましょう。

住宅ローンの利用は可能?

自宅購入者のほとんどが住宅ローンを利用している一方で、コツコツ貯蓄し一括購入をする方が一定数いるのも事実です。

一括購入と住宅ローン利用には、それぞれメリット・デメリットがあるため、しっかりと抑えておきましょう。

シングル女性でもローンは組める

かつては独身の女性はローンの審査が通りにくいといわれましたが、女性の社会進出が進み、十分に稼ぎのある女性も増えてきていることから、現在ではその限りではありません。金融機関の審査基準は性別を問われることは少なく、収入や勤続年数が基準とされる場合がほとんどです。

背景には、女性の社会進出、マイナス金利政策により金融機関が個人へ融資先を広げざるを得なくなったことなどが挙げられます。

マンションを購入する独身女性の多くは30代から40代で、収入が安定し住宅ローン審査に通りやすい年代といえます。仮に40歳で最長35年のローンを組めば返済期間は75歳までで、退職金などで繰り上げ返済も行えるため、無理のない完済ができるでしょう。

一括購入のメリット・デメリット

住宅ローンの敷居が下がったとはいえ、貯蓄があれば金利を支払わなくて済む一括購入の方が得と考える方は多いかもしれません。

マンションを一括購入するメリットは以下のようなものがあります。

  • 支払総額が少ない
  • 必要な手続きが少ない
  • 老後にローンの支払いがなく安心

一方で、一括購入には次のようなデメリットもあります。

  • 住宅ローン控除を受けられない
  • 手持ちの現金が少なくなる

日々の生活や突発的な費用の支払いに現金は必要です。マンションを一括購入して節約したつもりでも、手持ちの現金が少ないために他の支払いができず、金利の高い別のローンを利用することになっては元も子もありません。

そのため、手持ちの現金いっぱいでマンションを一括購入するのは避けた方がよいでしょう。マンションを購入しても予備の現金が手元に残る人には、一括購入をおすすめできます。

住宅ローンを利用するメリット・デメリット

住宅ローンを利用してマンションを購入するケースを考えてみます。住宅ローンを利用するメリットは次のとおりです。

  • 現金を手元に残せる
  • 条件により住宅ローン控除を受けられる(2025年まで)
  • 団体信用生命保険による補償がある

住宅ローンを利用すれば、生活費や当座の出費に備えられます。また2025年までなら条件を満たした場合に「住宅ローン控除」を受けられることもポイントです。

一方、住宅ローンを利用するデメリットには次のものがあります。

  • 一括よりも支払総額が多くなる
  • 購入時の手続きが多い

ひとつの方法として、事前にまとまった現金があり一括購入できそうな場合でも、予備の現金を残すためにあえてローンを組み、頭金を多く入れ支払い総額を減らすことも可能です。さらに途中で繰り上げ返済を行えば、老後の返済を心配せずに済むでしょう。

一括購入と住宅ローンのメリットとデメリットを比較し、自分の資金状況から無理のない方法をご検討ください。

住宅ローン審査の注意点

現在の住宅ローン審査では、シングル女性だからという理由で審査に落ちることはまずありません。実際に審査の通過を左右する項目は次のとおりです。

  • 年収
  • 勤続年数
  • 物件の評価額
  • 信用情報
  • 健康状態

審査では他社のローン借り入れや、過去10年程度の支払い遅延歴などもチェックされます。また物件の評価額が低い場合も、抵当権が結べずローン審査に通らない場合があるため注意が必要です。

なお住宅ローンを契約する際には、団体信用生命保険(団信)への加入が必要です。団信とは、債務者が死亡・高度障害になった場合に保険金で残債を支払う制度で、契約時に過去3年以内の健康状態を告知しなければなりません。その際に虚偽の告知をしてしまうと、万が一のときに保険金による債務保証ができなくなるため、注意しましょう。

住宅ローンと団信の審査基準は、取り扱い機関により若干異なるため、一社で審査に落ちたとしても他社では通る可能性があります。もし健康上の理由で団信に加入できない場合には、審査の緩い「ワイド団信」へ加入するか、団信加入なしでもローンを組める「フラット35」を利用する方法もあります。

住宅ローン控除を受けるには2025年までの入居が必要

住宅ローン控除とは、住宅ローンを支払うことで税額の控除を受けられる制度です。制度本来の趣旨が消費税増税による住宅購入時の負担軽減のため、制度には期限があります。

下記の条件を満たし、住宅ローンの年末残高の0.7%が10年間にわたり所得税から控除されます(控除しきれない分は翌年の住民税から控除)。

  • 住宅ローンを利用する本人が居住している
  • 床面積が50㎡以上である
  • 住宅ローン借入期間が10年以上である
  • 合計所得金額が2,000万円以下である
  • 引き渡しから6カ月以内の入居である

注意点として、単身者向け物件の場合は床面積が50㎡に満たない可能性もあるため、控除を受けたい場合は物件面積をご確認ください。

もしすでにマンション購入の検討を始めているのであれば、住宅ローン控除を受けられる期間内に入居できるよう購入計画を立て、逆算して行動することをおすすめします。

マンションを購入するには、現金での一括購入と住宅ローンとがあり、自分に適した支払い方法を選択できます。ただし住宅ローン審査の限度額いっぱいでローンを組むことや、手持ちの現金すべてを一括で支払うことは避け、自分の収入やライフサイクルに合わせ支払いをコントロールすることも重要です。