【戸建ての住み替え】築10年の売却相場はどれくらい?

築10年という築年数は、一戸建ての資産価値を考えるうえで重要な節目といえます。ここでは、築10年の一戸建ての売却相場や、住み替えるときの注意点、売却の流れなどを解説します。一戸建ての売却や住み替えに関する基礎知識を身につけることで、スムーズに次の住まいへ移れるでしょう。

築10年の一戸建てはいくらで売れる?

築10年の一戸建ては、築年数としては新しく感じますが、実際に売り出したらいくらぐらいで売れるのでしょうか。

築10年の一戸建てがいくらぐらいで売却できるの解説し、また住み替えるときの注意点や売却の流れを紹介します。

新築から10年で建物の価値は約半分になる

建物の資産価値は築10年で約半分、築20年でほぼゼロになるともいわれています。建物は経年により劣化するため、たとえば建築費に2,000万円をかけた家も、築10年になると、1,000万円程度になることがあります。

土地の相場はそのときの不動産市場や需要によって異なりますが、建物の価値は年数とともに減少します。自宅を売却するのであれば、早めに検討しましょう。

住み替えるなら早めの決断が大事

売却をいつにするか迷っているうちに、好機を逃しかねません。たとえばさらに5年を経過すると、新築時の価格の20~40%程度の評価になることもあります。

将来的に売却を考えているのであれば、一戸建ての資産価値が下がり過ぎない、築10年のタイミングで売却することをおすすめします。

戸建ての住み替えをするときの注意点

一戸建ての住み替えを検討する際には、いくつか注意すべきポイントがあります。ここでは、とくに注意したい5つのポイントを紹介します。

  • 住宅ローンを完済する必要がある
  • 一戸建ての売却には時間がかかる
  • 買い先行・売り先行のどちらかを決める
  • 住み替えローンは金利が高い
  • 資金計画を綿密に立てる

住宅ローンを完済する必要がある

住宅ローンが残っていても、一戸建てを売り出すことはできますが、買主へ所有権移転をするときまでに完済する必要があります。

売却を検討するときは、住宅ローンの残高と不動産会社の査定価格を比較し、買主から受領する売買代金で住宅ローンを完済できるか確認しましょう。査定価格が住宅ローンの残高を上回れば問題ありませんが、下回る場合は自己資金を充当するか、住み替えローンの利用を検討します。

一戸建ての売却には時間がかかる

一戸建ての売却には、ある程度時間がかかります。一般的には3~6カ月かかることが多く、立地や条件によっては1年近くかかることもあります。

子どもの入学などライフステージの変化に合わせて住み替えるのであれば、ある程度余裕をもって計画しましょう。

買い先行・売り先行のどちらかを決める

住み替える方法には、新居を先に購入してから自宅を売却する「買い先行」と、自宅を先に売却してから新居を購入する「売り先行」があります。

購入と売却の決済日を同日に設定することは基本的には難しいため、通常はどちらにするか決めてから住み替えを進めることになります。

買い先行

新居を先に購入するので、仮住まいをする必要がありません。また空き家の状態で旧自宅を売却できるので、内覧に対応する必要がないこともメリットです。

自宅の住宅ローンを完済している場合は、新居の購入に住宅ローンを利用できます。しかし住宅ローンが残っている場合は、住み替えローンを利用するなどしなければならず、月々の返済が大きな家計への負担になるおそれがあります。

売り先行

自宅を売却してから新居を購入することになるため、資金計画が立てやすく、堅実に住み替えを進めたい方に向いています。しかし、自宅を売却した後に仮住まいをする必要があり、家賃や初期費用(敷金や礼金、仲介手数料など)がかかります。

住み替えローンは金利が高い

住宅ローンに比べて住み替えローンは金利が高いため、売却までに時間がかかってしまうと、家計を圧迫するおそれがあります。利用する場合は収入に対する返済比率に注意し、なるべく早期売却を目指しましょう。

資金計画を綿密に立てる 

住み替えは、住宅ローンの残高と売買代金だけでなく、売却時と購入時にかかる諸費用についても試算しておかなければなりません。

ある程度余裕をもって計画するようにし、実際に諸費用がどのくらいかかるかわからないときは、不動産会社に相談することをおすすめします。とくに、購入と売却を異なる不動産会社へ依頼する場合は注意が必要です。

戸建ての住み替えをする手順

自宅の一戸建てを売却し、仮住まいに一度入居してから新居を購入する、いわゆる「売り先行」の一般的な流れを10のステップで紹介します。

  1. 不動産会社に査定を依頼する
  2. 不動産会社と媒介契約を締結する
  3. 販売活動を開始する
  4. 売買契約を締結する
  5. 住み替え先を探す
  6. 仮住まいへ引っ越す
  7. 一戸建ての決済・引き渡しをする
  8. 新居の売買契約をする
  9. 新居の決済・引き渡しを受ける
  10. 住み替えが完了する

不動産会社に査定を依頼する 

まず、不動産会社へ査定を依頼します。不動産会社によって査定価格が異なるため、少なくとも2~3社へ査定を依頼し、平均値を参考にします。

査定には、机上査定(簡易査定)と訪問査定があります。売却するのであれば、実際に一戸建てを調査して査定価格を算出する、訪問査定を依頼します。

不動産会社と媒介契約を締結する

不動産会社へ仲介による売却を依頼するときは、媒介契約を締結する必要があります。媒介契約には3つの種類があり、複数社に依頼するときは一般媒介契約、1社に限定するときは、専任媒介契約もしくは専属専任媒介契約になります。

一般媒介契約専任媒介契約専属専任媒介契約
複数社へ依頼できる××
レインズへの登録任意義務(7営業日以内)義務(5営業日以内)
自己発見取引できる×
不動産会社から売主への業務報告任意2週間に1回以上1週間に1回以上
媒介契約期間制限なし(約款により3カ月以内)3カ月以内(更新可)3カ月以内(更新可)

販売活動を開始する

媒介契約を締結したら、販売活動がはじまります。不動産会社は自社のホームページや不動産ポータルサイトへ物件情報を公開し、新聞折り込み広告などを行います。

内覧希望者があらわれたら、内覧に対応します。室内は整理整頓し、なるべくきれいに掃除をしておきましょう。

売買契約を締結する

売買価格や引き渡しの時期などを買主の希望や条件と折り合いがついたら、いよいよ売買契約を締結します。売買契約書や重要事項説明書は不動産会社が準備しますが、売主は物件状況説明書や付帯設備表を作成します。ひな型があるため、基本的には内容を確認しながら、該当する内容を記入する程度です。

買主から手付金を預かり、仲介手数料を2回に分けて払う場合は、その半額を不動産会社へ支払います。

住み替え先を探す

販売活動中からある程度住み替え先の候補は探しておく必要がありますが、売買契約を締結したら、住み替え先を確定させましょう。住み替え先が決まったら、住宅ローンの事前申し込みをします。

仮住まいへ引っ越す

一戸建ての引き渡し日の前日までには、遅くとも仮住まいへ引っ越します。水道や電気、ガスなどは解約しておきましょう。また郵便局へ転居届を提出し、郵便物は仮住まいへ転送してもらうように依頼します。

一戸建ての決済・引き渡しをする 

一戸建ての決済日には、買主から受領した売買代金で住宅ローンを完済し、抵当権を抹消してから買主へ一戸建ての所有権を移転します。鍵を渡すのもこの日です。なお一戸建ての設計図書や検査済証などがあれば、買主へ引き継ぎます。

固定資産税や都市計画税の納税義務者は1月1日の所有者であり、年度の途中で変更できないため、決済日に固定資産税と都市計画税を買主と日割精算するのが一般的です。そして、不動産会社へ残りの仲介手数料を支払います。

新居の売買契約をする 

新居の売買契約を締結します。自宅の売買契約締結後で、買主が手付解除できなくなる時期以降に契約できると安心です。もしくは買い替え特約(自宅の売却が不成立のときは解約できる特約)をつけて契約します。

売主へ手付金を渡し、不動産会社へは仲介手数料の半額を支払います。そして契約後には、住宅ローンの本申し込みをします

新居の決済・引き渡しを受ける 

住宅ローンの本審査が下りたら、決済日を設定します。そして金融機関に住宅ローンの実行をしてもらい、新居の決済をします。売主から引き渡しを受けて、鍵を受け取るのもこの日です。売主と固定資産税と都市計画税の日割精算をし、不動産会社へは残りの仲介手数料を支払います。

住み替えが完了する 

仮住まいから新居へ引っ越したら、住み替え完了です。新しい生活とともに、住宅ローンの返済がはじまります。

自宅の売却で譲渡所得が発生したときは、翌年の確定申告が必要になりますが、利益がないときは申告自体不要です。なお利益があるときでも、自宅の売却で一定の条件を満たす場合は、最高3,000万円まで控除できる特例があります。