【2023年】住み替えにかかる税金と利用できる特例を解説

不動産を売却して新たに新居を購入する、いわゆる住み替えではどのような税金がかかり、どのような特例が利用できるのでしょうか。

2023年時点で利用できる特例や、必要な税金を詳しく解説します。住み替えを検討している方は必ず確認してください。

住み替えにかかる税金

住み替えをするときには、売却と購入それぞれのタイミングで複数の税金がかかります。

売却時にかかる税金

売却には以下の税金がかかります。それぞれ解説します。

  • 印紙税
  • 登録免許税
  • 消費税
  • 譲渡所得税

印紙税

印紙税は、不動産の売買契約書など印紙税法で定められた課税文書にかかる税金のことです。契約書の金額に応じた税額の印紙を、契約書に貼付して割印することで納付します。

たとえば、契約金額が1,000万円超え5,000万円以下の場合の印紙税は2万円です。ただし、2024年3月31日までは軽減措置があり印紙税は1万円になります。

また、不動産業界でも電子契約が主流になりつつあります。 電子契約の場合は収入印紙が不要なため、印紙税はかかりません。

登録免許税

登録免許税は、土地や建物など不動産の所有者を法務局に登記する手続きにかかる税金のことです。

売却して住宅ローンを一括返済するときは、抵当権抹消登記の手続きが必要です。登記名義人の名前や住所が変更となる場合は、表示変更の手続きで登録免許税がかかります。

表示変更は、売却前に完了させなければいけない点に注意しましょう。税額は不動産1個につき1,000円です。

消費税

売却を不動産会社に依頼した場合は、仲介手数料に消費税がかかります。消費税は2023年現在、10%です。

譲渡所得税

譲渡所得税は、不動産を売却して利益が発生した(不動産の取得費を売却代金が上回る)場合にかかる税金のことです。

売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば「長期譲渡所得」、5年以下であれば「短期譲渡所得」と判断され、それぞれ税率が異なります。税額を求める計算式は以下のとおりです。

  • 長期譲渡所得=譲渡所得×20.315%
  • 短期譲渡所得=譲渡所得×39.63%

なお、譲渡所得は売却金額からその不動産の取得費や売却費用を差し引いて求められます。

購入時にかかる税金

購入には、以下の税金がかかります。それぞれ解説します。

  • 印紙税
  • 登録免許税
  • 不動産取得税

印紙税

売却時と同様に売買契約書などにかかる税金のことです。電子契約の場合は不要です。

登録免許税

購入した建物と土地も登記が必要なため、登録免許税が発生します。建物の場合は新築が中古かによって税額が異なります。

不動産の種類手続き登録免許税額
新築住宅所有権保存登記課税標準額×0.4%
中古住宅所有権移転登記課税標準額×2%
土地所有権移転登記課税標準額×2%

課税標準額とは不動産の価格ではなく、市区町村の固定資産課税台帳に登録されている価格のことです。

また、住宅ローンを借りる場合は抵当権設定登記が必要です。抵当権設定登記の登録免許税額は住宅ローンの借入額×0.4%で計算されます。

登録免許税には2024年3月31日まで軽減税率が適用されます。主な軽減税率は以下のとおりです。

内容軽減税率
所有権保存登記0.15%
所有権移転登記0.3%
抵当権設定登記0.1%

不動産取得税

不動産取得税とは、土地や建物を購入したときにかかる税金のことです。土地と建物それぞれに課税標準額×4%がかかります。

2024年3月31日までは特例措置があり、以下の計算式となります。

土地 不動産取得税=課税標準額×1/2×3%

建物 不動産取得税=課税標準額×3%

住み替えに利用できる特例

住み替えのときに利用できる特例の概要や主な要件を紹介します。

特定の居住用財産の買い換えの特例

特定の居住用財産の買い換えの特例とは、マイホームを売却して新しいマイホームに買い換えしたときに、売却による利益分の譲渡所得税を将来に繰り延べることができる特例です。

売却するマイホームと、新しく購入するマイホームそれぞれに条件があるため確認しておきましょう。繰り延べした譲渡所得税は、新しく購入したマイホームを将来売却したときに加算されます。

売却するマイホームの主な要件新しく購入するマイホームの主な要件
2023年12月31日までに売却していること自分が居住している、または居住しなくなった日から3年以内であること居住期間が10年以上あること2年以内に他の特例が適用されていないこと売却金額が1億円以下であること親子や夫婦、生計を一にする親族など特別の関係がある人に売却したものでないこと床面積が50㎡以上、土地の面積が500㎡以下であることマイホームを売却した前年から翌年までの3年間に買い換えしていること取得した年の翌年12月31日までに住んでいること一定の省エネ基準、耐震基準を満たすものであること

参考:国税庁「特定のマイホームを買い換えたときの特例

3,000万円の特別控除の特例

3,000万円の特別控除の特例とは、マイホームを売ったとき所有期間の長さに関わらず譲渡所得から最大3,000万円控除できる特例のことです。

主な要件は以下のとおりです。

  • 自分が居住している、または居住しなくなった日から3年以内のマイホームであること
  • 2年以内に他の特例を受けていないこと
  • 親子や夫婦、生計を一にする親族など特別の関係がある人に売却したものでないこと

参考:国税庁「マイホームを売ったときの特例

譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例とは、マイホームを売却して新しいマイホームに買い換えした場合、売却によって生じた損失(譲渡損失)を一定要件のもと、その年の給与所得や事業所得など他の所得から控除して損益通算できる特例のことです。

控除しきれなった分は、3年以内で繰り越して控除できます。主な要件は以下のとおりです。

  • 所有期間が5年を超えていること
  • 床面積が50㎡以上のものを取得すること
  • 新しく買うマイホームは10年以上の住宅ローンを有すること

参考:国税庁「マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)

住宅ローン控除(減税)

住宅ローン控除(減税)とは、法律に規定された認定住宅を住宅ローンを利用して新築または購入したときに、住宅ローンの年末残高の0.7%を所得税額から最大13年間控除できる特例のことです。

主な要件は以下のとおりです。

  • 新築、購入から6カ月以内に住んでいること
  • 住宅ローンの借入期間が10年以上であること

各年の控除限度額の計算式は、住宅ローンの年末残高×0.7%で求められます。ただし、借入限度額は住宅の性能によって上限額が異なります。

また、2022年の税制改正により、2024年1月以降に新築された住宅は、省エネ基準に適合することが住宅ローン控除の必須要件となりました。申請時には、証明書が必要になるため、あらかじめ事業者に確認しておきましょう。

参考: 国土交通省「住宅:住宅ローン減税

税金以外の費用も抑えておこう

住み替えにかかる費用は税金だけではありません。どのような費用がいくらくらいかかるのかを理解しておきましょう。

仲介手数料

仲介手数料は、不動産の売買価格に応じて一定の割合で計算されます。売買価格が400万円以上の場合は、売買価格×3%+6万円(税別)が仲介手数料の上限となります。

住み替えの場合は、売却時と購入時の取引それぞれに対してかかります。もし3,000万円の物件を売却し、3,000万円の物件を購入する場合、192万円(税別)が仲介手数料の上限となります。

引っ越し費用

新しいマイホームへ引っ越しするときにかかる費用です。3月〜4月の引っ越しが多い時期と重なると、さらに費用がかさむでしょう。

引っ越しの費用相場は、距離や荷物の量、時期によって異なりますが、一人暮らしで5〜10万円、3〜4人家族で10〜20万円程度が相場になるでしょう。

リフォーム費用

売却するマイホームの築年数が古かったり汚れがひどい箇所があったりする場合、リフォームをしないと売れないかもしれません。

水回りや広範囲に及ぶリフォームは、数百万円単位の高額な費用がかかる可能性があります。

仮住まいの費用

売却したあとにタイミングよく新しいマイホームに住み替えできない場合、仮住まいとしてホテルやアパートなどを借りる必要があります。

ホテルであれば家具や家電といった大きな荷物はトランクルームなどを借りなければいけないでしょう。アパートであれば、家賃の他に敷金礼金といった初期費用がかかります。賃貸物件の初期費用は家賃の4〜5倍が相場で、短期間であっても大きな出費となるでしょう。

不動産会社に相談しよう

マイホームの住み替えには税金や諸費用など多くのお金がかかります。また、条件によって適用できる特例が異なります。

スムーズに住み替えを進めたいならば、不動産会社に相談することをおすすめします。住み替えの費用を抑えるポイントや適用できる特例のアドバイスをしてくれるでしょう。まずは、お気軽にお問い合わせしてみてください。