戸建ての家を持っている人が住み替えるには、基本的にいまの家を売却して、新しい家を買うことになります。しかし、多くの人は家を売買した経験がなく、うまくいくかどうか不安を感じるでしょう。
戸建ての住み替えの失敗には、いくつかのパターンがあります。このパターンを理解して対策をすれば、スムーズに住み替えられます。戸建ての住み替えを成功させる方法を紹介します。
目次
戸建ての住み替えは5つの良くある失敗と対策
戸建ての住み替えでは、よくある失敗例がいくつかあります。誰しも陥るおそれのある失敗なので、戸建ての住み替えを行うときはしっかりと対策を考えておきましょう。
長期間の仮住まいが必要になった
戸建てを売却するときは、空き家にしたほうが家の素の状態を見てもらえるため、住みながら売り出すより売れやすくなります。しかし、戸建てを空き家にするには、住んでいる人がいったん仮住まいへ引っ越さなくてはなりません。思うように家の売却が進まないと、仮住まいの期間が長引いてしまうおそれがあります。
また、住みながら売却するときでも、住み替え先への引っ越しのスケジュールが合わないと仮住まいが必要です。たとえば、なかなか住み替え先が見つからないと、仮住まいが長期間にわたってしまうでしょう。
住み替えの仮住まいを短くするには、売却する家と次に住み替え先への引っ越しのタイミングを合わせることが重要です。売却を依頼する不動産会社と住み替え先の購入を担当する不動産会社を同じ会社にすると、スケジュールを把握しているため仮住まいの期間を短縮、または仮住まいのない住み替えができる可能性が高まります。
いつまで経っても家が売れない
家を売り出したものの、なかなか売れないこともよくあります。不動産の売却には一般的に3か月程度かかるといわれていますが、ほとんど反響がなく、売れる気配がないこともあるのです。家が売れなければ、住み替えようにも住み替えられません。
売り出しても反響が得られない原因には、価格設定が高すぎる、内見の日程調整がうまくいっていないなどが考えられます。そして、長期間売り出したままにしておくと、売れない物件というイメージがついてしまいます。
反響が少ないときは不動産会社と相談をして、価格や販売方法の見直しをすると良いでしょう。
希望価格で家が売れなかった
家の売却代金は、住み替えの重要な資金です。ところが、希望価格を大幅に下まわる金額で売却することになると、資金計画が狂い、想定した住み替えができなくなるおそれがあります。
原因としては売り出し価格と市場価格が大きくかけ離れていた、希望価格よりもはるかに安い価格で売却してしまったなどがあります。
住み替えをするときは、希望価格で売れないことも想定して計画を立てておくと良いでしょう。
望むような新居が見つからない
売却が決まったものの住み替え先が決まらず、いったん仮住まいになるケースもよくあります。住み替え先の目処をつけて仮住まいに入る場合もありますが、多くの場合は売却の引き渡し近くになっても希望の新居が見つからずに仮住まいとなります。
新居が見つからず賃貸暮らしにならないように、しっかりとスケジュール感や希望の条件などを不動産会社と擦り合わせをして、計画的な住み替えを行いましょう。
瑕疵を隠していたのが発覚して売主負担になった
内見時や契約時に故障箇所などを隠していて、引き渡し前に瑕疵が発覚したため、売主負担で修繕等をしてから引き渡しになる場合があります。
また、場合によってはさらに負担額が増えることもあるため、必ず契約時に知っている瑕疵を買主に提示しましょう。
スムーズに進めるための住み替え計画
住み替えはしっかりと計画を練らないと、先ほど解説したような失敗に遭遇することになります。住み替えを失敗しないためには、どのように計画立てて進めていくと良いのでしょうか。
持ち家の価格を正確に把握する
住み替えの計画を立てるときは、どのくらいの金額で家を売却ができるのかが非常に重要です。
不動産会社から提示された査定価格は、どのような根拠に基づくものか確認してください。また、売却価格が大幅に下まわることも想定して、最安値も把握しておくと良いでしょう。インターネットを使えば、不動産ポータルサイトなどからおおよその相場を把握することも可能です。
信頼できる不動産会社を見つける
住み替えでは売却と購入のスケジュール管理が重要です。そのため、しっかり信頼できる不動産会社に売却や購入をお願いしないと、売却が計画通りに進まない、希望の物件が見つからない、購入の手続きがスムーズに進まないという事態が起こりかねません。
信頼できる不動産会社を見つけるには、複数社に査定を依頼してその根拠を確認するほか、また住み替えの計画の提案などを受けましょう。根拠のある査定、しっかりと提案のできる不動産会社であれば、信頼できると考えられます。
売り出し価格をよく検討する
不動産の取引では値下げ交渉が入ることはよくあることです。
売り出し価格を最低ラインにしてしまうと、値下げをしたら決まる可能性があっても下げられないということにもなります。
また、逆に高すぎるのは売れ残る原因にもなりますので、早く売りたいという場合を除き、適切な価格をしっかり不動産会社と一緒に見極め価格設定をするようにしましょう。
住み替えを成功させるポイント
住み替えを成功させるためにはどのようなことに気をつければ良いのでしょうか。
売り先行・買い先行をあらかじめ決める
住み替えでは家の売却と購入を、ひとつの流れで考えていきましょう。そこでポイントとなるのが、売り先行と買い先行の選択です。
売り先行とは、売却をしてから住み替え先を購入する方法のことです。家の売却ができてから住み替えるため、家が売れなくて資金を工面できないといった不安がありません。売り先行では売却を始める時点で、どのような住み替え先に引っ越したいのかを決めておきましょう。
買い先行とは、新居を購入してから家の売却を進める方法です。時間をかけて新居を探せることと、家の売却前に引っ越すことが可能です。売却する家を空き家にするため、内見の日程調整が不要で、販売活動がしやすいなどのメリットがあります。
売り先行と買い先行のどちらの方法が合っているのかよく検討して、住み替えの計画を立てることが大切です。
売却のタイミングを見極める
不動産は取引が活発になるシーズンがあるため、売却のタイミングをそういった時期に合わせることをおすすめします。1~4月ごろに売却を始めると、進学や就職などを機に購入する人から反響を得られるでしょう。
逆に夏季は不動産の取引があまり行われないため、家を売り出しても反応が少ないかもしれません。
住み替え全体の流れを理解する
賃貸住宅から家を購入するのと、家を売って住み替えるのとは取引の流れが大きく異なります。家の売却と購入を同時に進めていかなくてはならないため、必要な手続きが非常に多くなるのです。
そのため、全体の流れを理解しておくことが大切です。不動産会社のアドバイスを受けながら、売却や購入のタイミングを見極め、失敗しないように進めてください。
一度、全体の流れを書き出してみると、やることを整理できるのでおすすめです。
高田 一洋(たかだ かずひろ)
一心エステート株式会社代表取締役 不動産コンサルタント
【保有資格】宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/損害保険募集人資格/管理業務主任者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/住宅金融普及協会住宅ローンアドバイザー/相続診断士
1983年福井県生まれ。金沢大学工学部を卒業後、大手コンサルティング会社に入社、4年間、新規事業の立ち上げや不動産会社のコンサルティング業務に従事する。その後、当時の取引先リストグループに惹かれ入社。不動産仲介営美・営業管理職・支店長を経て、さらなる理想を追求するために一心エステートを創業。創業当初から金融機関・不動産会社へのコンサルティングを行い、ARUHI住み替えコンシェルジュでセミナー講師等を務める。豊富な不動産知識に加え20代で身に付けたコンサルティング技術、ファイナンス(お金・投資の知識)をもとに、東京都心の不動産仲介実績を積み上げている。2023年に著書「住んでよし、売ってよし、貸してよし。高級マンション超活用術: 不動産は「リセール指数」で買いなさい」を出版。