住み替えに失敗する5つのパターンと失敗を回避する方法

いま住んでいる家を売って新居へ引っ越す住み替えは、大きなお金が動くのですから失敗するわけにはいきません。しかし、慎重に進めたはずなのに、住み替えに失敗してしまうこともあります。

どうして住み替えに失敗してしまうのでしょうか。住み替えの失敗パターンを把握して、住み替えを成功させましょう。

住み替えの失敗パターンに要注意!

住み替えで起こる失敗にはさまざまなものがありますが、大まかに分けると5つのパターンがあります。あらかじめ失敗のパターンを把握しておけば、事前に対策できるため、住み替えを失敗せずに進められるようになります。

住み替えではこれまで住んでいた家を売り、新たに家を購入するため、大きなお金が動きます。できるだけ失敗するパターンにはまらないように注意しましょう。

新しい住宅ローンの返済の負担が重い

先に新居を購入したときに持ち家の売却が進まないと、一時的とはいえふたつの家を同時に所有します。そのため、持ち家の住宅ローンが残っていれば、新居の住宅ローンが加わって「二重ローン」の状態になり、返済額が大きくなります。

住宅ローン以外にも、固定資産税や火災保険料などのランニングコストも二重にかかってしまい、さらに負担が重くなるのです。

失敗を防ぐには

住み替えのスケジュールを、持ち家を売却してから新居を購入する「売り先行型」にすれば、二重ローンのリスクはなくなります。

そもそも、持ち家がいくらで売れるのかは、新居の購入計画にも影響します。資金に余裕のある人であれば別ですが、資金面や住宅ローンが心配な人は売り先行型を検討しましょう。

すぐに住み替えられず、仮住まいが必要になった

持ち家の売却が決まると、売買契約書に明記した引き渡し期限までに引っ越さなければなりません。新居に直接引っ越せるのが理想ですが、購入や建築・リフォームが終わっていないと、賃貸物件などへ仮住まいする必要があります。

引っ越しが2回になるため、費用や手間も2倍になるうえに、仮住まいの期間が数カ月あるいは1年以上になると、家賃の負担もかなり大きくなります。

失敗を防ぐには

仮住まいのために2回も引っ越すことに抵抗がある人も多いでしょう。また、仮住まいになったとしても、期間はできるだけ短くしたいものです。対策としては、次の方法が考えられます。

  • 持ち家の引き渡し期限をできるだけ長く設定する
  • 持ち家の売却と新居の購入を同じ不動産会社に相談する
  • 「買い先行型」を検討する

まず、持ち家の引き渡し期限は、買主との契約時に交渉してみましょう。前の家に少しでも長く住めれば、新居に直接引っ越せる可能性が高まりますし、仮住まいになっても費用負担を少なくできます。

また、住み替えの計画をひとつの不動産会社で相談すると、売却と購入を同時並行で進めやすくなります。

不動産会社は住み替え全体のスケジュールを考えながら、売却や物件の紹介を進めますので、別々の不動産会社と話をすすめるより効率的です。結果的にタイミングのずれが小さくなるため、仮住まいになっても期間が長期に及ぶことはないでしょう。

それでも「引っ越しを2度もするのは面倒で避けたい」という人は、買い先行型で進めるとよいでしょう。買い先行型は資金面のリスクはありますが、新居を先に確保するため、仮住まいは不要です。

売り先行型と買い先行型のメリット・デメリットは次の表のとおりです。メリットやデメリットを比較、検討して、スケジュールを組みましょう。

 メリットデメリット
売り先行型資金計画に無理が生じにくいじっくり持ち家の売却ができる仮住まいが必要になる可能性が高い新居選びを焦りやすい
買い先行型仮住まいの必要がなく、引っ越しが1度で済む妥協することなく、新居を選べる資金計画が狂いやすい住宅ローンの負担が大きくなる売却を焦りやすい

持ち家が思っていた金額で売れずに、資金が足りなくなる

住み替えの失敗でもっともリスクが大きいのは、資金計画がうまくいかないことです。なかでも「持ち家が思っていた金額で売れずに、資金が足りなくなる」のは深刻です。

資金計画の大きな要素は、「新居の購入費用」と「持ち家の売却額」です。新居の購入は自分で予算を決めるのに対し、持ち家の売却は買主との交渉で決まります。相手との兼ね合いがある売却額は、変動するリスクが大きいと認識して、資金計画を立てる必要があるのです。

失敗を防ぐには

持ち家が思っていた金額で売れないということは、十分に起こり得ることです。対策としては、次の方法が考えられます。

  • 売り先行型で売却額が決まってから、住み替え先の購入を進める
  • 持ち家の相場を把握し、査定額より低い価格で売却額を見積もって資金計画をつくる

売れる金額がわからないことで、資金計画に失敗するのですから、まずは売り先行型にして、売却額を見極めます。売却額がわかることで、資金計画が立てやすくなるため、過度の資金不足に悩まされることはありません。

それでも、急な転勤など時間の制約があって、売り先行型にできない人もいるでしょう。そんなときは、売却額を低めに見積もることが大切です。

不動産会社の査定額で売れるという保証はありません。公益財団法人東日本不動産流通機構の資料によると、中古戸建ての場合、実際の売り出し価格から15%程度の値引きをされて、成約しているというデータもあります。

参考:東日本不動産流通機構概要「REINSTOPIC:築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)

査定額より10%~20%低い売却額を想定した資金計画を立てれば、買主との交渉に余裕が生まれ、資金面の問題が出るおそれは低くなります。

住み替えた新居や地域が気に入らなかった

住み替えに限らず新居を選ぶときは、建物や敷地だけでなく、商業施設や学校、病院へのアクセスなど、周辺環境を入念に調べる必要があります。

しかし、住み替えは新居選びだけでなく、持ち家の売却という大きなイベントも並行して行うことに加え、急な転勤などの事情があれば、時間が制約されることもあります。

そのため、下調べが十分でなかったり、妥協して購入してしまったりして「生活が不便だし、近所づき合いが面倒だった」「一軒家からマンションに住み替えたら思ったより狭く、駐車場も遠くて時間がかかる」と不満を感じることもあります。

わざわざ住み替えたのに、満足度が下がってしまえば、何のために住み替えたのか、わからなくなってしまいます。

<h3>失敗を防ぐには

家の住み替えは、一生で何度もありません。突発的な転勤などは仕方ありませんが、住み替えを検討しているのであれば、地域の下調べや内覧による下見も含め、新居探しはじっくり時間をかけましょう。

特に一軒家からマンションなど、戸建てと集合住宅のように住居の形態が変わる人は注意が必要です。

たとえば、一軒家からマンションに住み替える人は、マンションに住んでいる友人や知人に長所・短所を聞いておくなど、ふだんから住み替えることを想定して情報を集めておきましょう。

なかなか家が売れず住み替えができない

住み替えの前提になるのは「住んでいる家が売れる」ことです。家が売れないと資金計画やスケジュールが立てられず、無理に新居を購入すると、住宅ローンの負担にも悩まされます。

住み替えるには、いまの持ち家を売ることが不可欠です。

失敗を防ぐには

家をできるだけスケジュールどおりに、できるだけ高く売るには、どうすればいいのでしょうか。ポイントは以下のふたつになります。

  • 売却する家の価格や相場を把握する
  • 信頼できる不動産会社を選ぶ

最初にやらなければならないのは、家の価格や相場を知ることです。価格や相場を知らないと、どんな価格で売り出すのかさえわかりませんし、売却額がどれくらいになるのか想定がないと、資金計画を立てようがありません。

買主との価格交渉にも大きく影響するため、まずは家の価格や相場を把握しましょう。また、不動産会社というとすべてプロフェッショナルな専門家と思いがちですが、会社の信用度や担当者のスキル・対応にも差があります。

不動産会社選びを誤ると、売却が遅れるだけでなく、価格が下がってしまうことになりかねません。取引実績があって、信頼できそうな担当者がいる不動産会社を、複数の不動産会社の話を聞いて選ぶようにしましょう。