自分のライフスタイルに合った住み替え先を選び、適切なタイミングで行動することが、老後の住み替えを成功させるために必要です。コンパクトマンションや高齢者向け住宅、建て替え・リフォーム、二世帯住宅など、さまざまな選択肢があります。介護が必要な場合は老人ホームも検討しましょう。メリット・デメリットを理解し、資金計画にも注意して、理想の老後を実現するための住み替えを目指しましょう。
目次
老後の住み替えを成功させる重要ポイント
老後の住み替えを成功させるには、住み替えによるメリットとデメリット、資金計画における注意点を理解しておかなくてはなりません。デメリットや注意点を十分に理解した上で、検討を始めるようにしましょう。
住み替えを成功させる重要ポイントとは
老後に住み替えをする場合、まず自分たちにとって何が必要で何が必要でないかあらためて考え直すことが大切です。
老後であっても、賃貸か購入か、購入の場合は建て替えかコンパクトタイプのマンションかなど数多くの選択肢が考えられるでしょう。そのような中で、まず何が必要で何が必要でないかを整理できていないと条件に振り回されるばかりで、なかなか住み替え先を決められません。
老後といっても、子ども世帯が独立しているか、遠くに住んでいるのかなど条件は人それぞれです。自分の状況を整理し、次の新居に必要となる要件をまとめてみることから始めてください。
老後に住み替えるメリット
老後の住み替えのメリットは、その時々のライフスタイルに合わせて住環境や生活環境を変えられることです。
たとえば、駅前など立地のよいエリアに移ることで体力の消耗を軽減できたり、家をダウンサイジングすることで家の管理をしやすくしたり、夫婦でのコミュニケーションを増やしたりできます。
さらに、子どもや仕事場などの条件に縛られないため、自分が希望する理想の住まいも実現しやすいでしょう。
老後に住み替えるデメリット
住み替えには、荷造りや引越し作業など大きな負荷がかかる作業がつきまといます。老後にこれらの作業を行うのは大変なため、子ども世帯や知人の協力を得られないか検討してみましょう。
また、建て替えではなく、新居に住み替える場合は、新しい環境に慣れるまでに時間がかかるかもしれません。できるだけ地縁のある場所を選ぶことで、人間関係のストレスを軽減するようにしましょう。
住み替えの資金計画の注意点
老後に住み替える場合は、資金計画に注意しておかなければなりません。住宅ローンの返済が終わっていないと次の新居を購入できないため、残債がある場合は現在住んでいる家の売却や、自己資金での一括返済を検討しましょう。
住み替えるタイミングはいつがよい?
老後の住み替えといっても、ベストなタイミングは人それぞれです。ほかの人がどのようなタイミングで住み替えを検討したのかを知ることで、自分のケースにあてはめて考えやすくなるでしょう。いくつかの住み替えのタイミングを紹介します。
子どもが独立したとき
子どもが独立すると、家族の生活スタイルが変化し、住まいに求める条件が変わります。大きな家を必要としなくなるため、老後を見据えて住み替えを考える人も多いでしょう。子どもたちが巣立った後は、部屋を減らしたり、規模の小さい住まいに移ったりすることで、維持費の削減や新たな生活スタイルに合った暮らしが実現できます。
家の老朽化が気になったとき
家の老朽化が進むと、住みにくくなったり修繕費用の増加が負担となったりとさまざまな問題が出てきます。老後の暮らしを快適に過ごすためにも、そのタイミングでリフォームではなく住み替えを検討する人は少なくありません。
最近の住宅は、耐震性や省エネ性の高い建物や設備が導入されており、快適で安全な生活環境が期待できます。また、リフォームやメンテナンスの対応を先送りにできるため、老後の心理的な負担も軽減できるでしょう。
定年退職したとき
定年退職後は生活スタイルや収入がガラッと変わります。老後の暮らしに合った新たな住環境を求める人は多いでしょう。
定年後の生活は、働き盛りの頃とは異なり、ゆったりとした時間の中で趣味や交流活動を楽しめます。そのようなライフスタイルに合った新居を見つけられたら、幸福度の高い老後を過ごせる確率が高くなります。
援助・介護が必要になったとき
高齢になると、健康状態が悪化し援助や介護が必要になることがあります。その際に、バリアフリー住宅や介護施設などへ住み替えなくてはならないケースもあるでしょう。
また、介護施設や医療機関へのアクセスが良好な場所に住むことで、家族や介護スタッフとの円滑なコミュニケーションが期待できます。介護を受けながら自立した生活を送るためにも、住まい環境は非常に重要です。
老後の住み替え先5つの選択肢
老後の住み替え先としてどのような選択肢があるのか解説します。自分の現状とあてはめて、どの選択肢がベストになるのかぜひ考えながら読み進めてください。
後悔のない選択ができるよう、それぞれの特徴を理解しましょう。
コンパクトタイプのマンション
コンパクトタイプのマンションは、広さや間取りが小さいため、手入れが容易で、管理費やランニングコストも抑えられます。
また、マンションの多くが都心部や交通の便のよい場所にあるため、生活に必要な施設やサービスが近くに揃っていることも魅力の一つです。
さらに、スポーツジムなどの共用施設が充実しているマンションもあり、アクティブで豊かな老後を送りたい人にはぴったりの住み替え先といえるでしょう。
高齢者向け住宅(シニア向けマンション)
高齢者向け住宅は、高齢者の生活ニーズに特化した住まいで、建物がバリアフリー設計になっていたり、一部介護サービスの提供があったりします。
安心して快適な生活を送れる環境が整っており、地域コミュニティとの交流も盛んです。介護の必要がない人でも、趣味に没頭したい、健康管理には配慮したいという人には人気があります。
しかし、サービスが充実している分、通常のマンションに比べて管理費が高い点は留意してきましょう。
建て替えまたはリフォーム
老後に住み替えるのではなく、現在住んでいる家を建て替えたりリフォームしたりする選択肢もあります。バリアフリー化や省エネ対策を行うことで、新たに住みやすく快適な環境を整えられます。また、地域や周囲の環境に慣れ親しんでいるため、安心感もあるでしょう。
住宅ローンの支払いが終わった人や、家族構成が変わった人は、住み替えを検討する前にまずはリフォームや建て替えることで現状の悩みを解決できないか考えてみてください。
子ども世帯と二世帯住宅へ
二世帯住宅への住み替え、子ども世帯と同居することも選択肢の一つです。親世帯と子世帯が共同生活を送ることで、生活の手助けや経済的な支え合いができます。また、子どもや孫との触れ合いも増え、家族の絆を深めることもできるでしょう。
地域によっては、共同生活を支援する制度や施設などもあるため、子ども世帯にさりげなく相談してみてはいかがでしょうか。
援助が必要な場合は老人ホーム
高齢になった際、介護や援助が必要な場合は老人ホームへの入居が必要です。介護施設には専門のスタッフが常駐しており、医療や介護などの適切なサービスが提供されているため安心して生活できます。また、施設内でのレクリエーションや交流活動など、コミュニケーション不足とはほど遠い充実した日々を過ごせるのもメリットの一つでしょう。
老人ホームには、さまざまなニーズに応じた複数のタイプがあります。自分や家族の状況に合わせて選択することが重要です。
高田 一洋(たかだ かずひろ)
一心エステート株式会社代表取締役 不動産コンサルタント
【保有資格】宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/損害保険募集人資格/管理業務主任者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/住宅金融普及協会住宅ローンアドバイザー/相続診断士
1983年福井県生まれ。金沢大学工学部を卒業後、大手コンサルティング会社に入社、4年間、新規事業の立ち上げや不動産会社のコンサルティング業務に従事する。その後、当時の取引先リストグループに惹かれ入社。不動産仲介営美・営業管理職・支店長を経て、さらなる理想を追求するために一心エステートを創業。創業当初から金融機関・不動産会社へのコンサルティングを行い、ARUHI住み替えコンシェルジュでセミナー講師等を務める。豊富な不動産知識に加え20代で身に付けたコンサルティング技術、ファイナンス(お金・投資の知識)をもとに、東京都心の不動産仲介実績を積み上げている。2023年に著書「住んでよし、売ってよし、貸してよし。高級マンション超活用術: 不動産は「リセール指数」で買いなさい」を出版。