マンションの住み替えにかかる費用の目安|思わぬ出費に注意

マンションの住み替えには、思わぬ出費がともないます。売却時と購入時にそれぞれ仲介手数料や印紙税などがかかるほか、住宅ローンの繰り上げ返済手数料や抵当権抹消費用、譲渡所得税なども発生します。

住み替えるときにかかる、さまざまな費用について解説します。住み替えの資金計画を立てるときの参考にしてください。

住み替えでは売却・購入で費用がかかる

マンションを売却して新居を購入する場合、売却時と購入時にそれぞれ仲介手数料や印紙代などの費用がかかります。中古マンションを購入するためにかかる費用は売買価格の6~9%といわれており、たとえば3,000万円のマンションであれば、180~270万円になります。

売買代金で住宅ローンを完済できないときは、自己資金を充当するか、住み替えローンなどの利用を検討する必要があります。したがってマンション売却する前に、資金計画を慎重に立てておかなければなりません。

マンション売却にかかる費用

マンションを売却する際には、手数料や税金などの諸費用がかかります。ここでは、代表的な費用や税金について紹介します。

仲介手数料

不動産会社にマンションの売却の仲介を依頼する場合は、成約時に仲介手数料を支払うことになります。なお、成約価格に応じて仲介手数料の上限額が定められており、求める計算式は以下の通りです。

成約価格仲介手数料の上限額
400万円超成約価格×3%+6万円+消費税
200万円超400万円以下物件価格×4%+2万円+消費税
200万円以下物件価格×5%+消費税

たとえば、マンションを3,000万円で売却したときの仲介手数料の上限額は、以下のように計算します。

3,000万円×3%+6万円+消費税=105.6万円(税込)

ちなみに、不動産会社に買い取ってもらうときだと、仲介手数料はかかりません。

繰り上げ返済手数料

マンションの所有権を買主へ移転する前に住宅ローンを完済する必要があり、そのときに繰り上げ返済手数料がかかります。

繰り上げ返済の手数料は金融機関によって異なりますが、窓口で手続きするときとインターネットを利用して手続きするときでも異なります。実際の手数料は、借り入れしている金融機関に確認しましょう。なお一般的には、5千~3万円が相場です。

抵当権抹消費用

買主へ引き渡す前に住宅ローンの抵当権を抹消する必要があり、登録免許税と司法書士への報酬がかかります。

登録免許税は不動産1個につき1,000円のため、たとえばマンションであれば土地・建物で2,000円程度です。また司法書士への報酬は1~2万円が相場ですが、依頼先によって異なることもあります。

印紙税

不動産売買契約書は課税文書のため、印紙を貼って印紙税を納める必要があります。なお、2024年3月31日までは軽減措置があり、税額は以下の通り軽減されます。

たとえば、マンションを3,000万円で売却するときの印紙税額は2万円(軽減措置適用の場合は1万円)です。

成約価格通常の税額軽減後の税額(2024年3月31日まで)
10万円超50万円以下400円200円
50万円超100万円以下1千円500円
100万円超500万円以下2千円1千円
500万円超1,000万円以下1万円5千円
1,000万円超5,000万円以下2万円1万円
5,000万円超1億円以下6万円3万円
1億円超5億円以下10万円6万円

譲渡所得税

マンションを売却して譲渡益を得たときは、譲渡所得税がかかります。しかし、購入時の価格と売却時の単なる差額ではなく、マンションを取得する際や譲渡にかかった経費を差し引けます。

課税対象となる、譲渡所得金額を求める計算式は以下の通りです。そして譲渡所得金額に所有期間に応じた税率を乗じて、譲渡所得税を計算します。

譲渡所得金額=売却価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除

譲渡所得税=譲渡所得金額×税率

マンションを売った年の1月1日に所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」、5年未満は「短期譲渡所得」となり、税率はそれぞれ以下の通りです。

譲渡所得税譲渡所得税の税率(所得税・復興特別所得税・住民税)
長期譲渡所得税20.315%
短期譲渡所得税39.63%

なお、居住用の不動産を売却して譲渡益が発生した場合でも、一定の条件を満たすと最高で3,000万円を控除(居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例)できます。

したがって、マイホームのマンションを売却する場合、この3,000万円の控除の適用を受けることで、基本的には譲渡所得税がかからないケースの方が多いでしょう。なおこの適用を受けるためには、翌年の確定申告が必要です。

マンション購入にかかる費用

マンションを購入するときにも、手数料や税金などの諸費用がかかります。ここでは、代表的な費用や税金を紹介します。

仲介手数料

マンションを購入する際に、不動産会社へ仲介を依頼した場合は、仲介手数料がかかります。なお、購入時にかかる仲介手数料は、売却時にかかる仲介手数料と計算式と同じです。

ちなみに新築マンションを売主である不動産会社から直接購入する場合は、仲介ではないため仲介手数料がかかりません。

不動産登記費用

マンションを購入する場合、所有権移転登記費用がかかります。内訳は登録免許税と司法書士への報酬です。所有権移転登記にかかる、登録免許税を求める計算式は以下の通りです。

所有権移転登記にかかる登録免許税=マンションの価額(固定資産税評価額)×税率

中古マンションに対する税率は本来2%ですが、住宅用のマンションであれば0.3%(土地は1.5%)に軽減されます(2024年3月31日まで)。固定資産税評価額は時価の7割程度だといわれていますが、正確な金額は不動産会社に確認しましょう。

司法書士は地域などによっても異なりますが、10万円前後が相場です。

印紙税

売買契約書は通常2部作成し、売主・買主がそれぞれ印紙税を納めることになります。つまり購入する際も、売却時と同じように印紙税がかかります。

不動産取得税

不動産取得税とは、不動産を購入した際に1度課税される税金です。地方税であり、購入後しばらくすると、所在地の自治体から納税通知書が送られてきます。不動産取得税を求める計算式は、以下の通りです。

不動産取得税=マンションの課税標準額×税率

住宅用不動産に対する税率は、本来土地・建物ともに4%ですが、2024年3月31日までは一定の条件を満たすことで3%になります。また宅地は課税標準額が2分の1になります。マンションの課税標準額は、不動産会社に確認してみましょう。

住宅ローン関連

住宅ローンを借り入れて新居を購入する場合は、金融機関の手数料がかかります。一般的に手数料は3~5万円程度ですが、ほかに借入金額や期間に応じて保証料がかかります。

保証料を金利に上乗せできることもあるため、実際にかかる費用は金融機関に相談してみましょう。

売主との精算金(固定資産税や管理費等)

固定資産税は、1月1日の所有者が納税義務者になります。途中で切り替わることがないため、通常決済日に売主と買主で精算するのが一般的です。

なお、マンションの管理費や修繕積立金も同様に、決済日に売主・買主で精算します。

仮住まい、引っ越しなどその他の費用にも注意!

マンションを売却してから新居を購入する場合、仮住まいをする必要があり、その場合は仮住まいの家賃や初期費用がかかります。また、2回引っ越すことになるため、忘れずに資金計画に含めておきましょう。

仮住まいの家賃、敷金、礼金、手数料

仮住まいといっても、通常借りるときと同じように敷金や礼金、仲介手数料がかかります。地域や物件によって敷金や礼金のルールは異なりますが、一般的には以下の通りです。家賃の5カ月分程度は想定しておきましょう。

  • 礼金:家賃の1カ月分
  • 敷金:家賃の1~2カ月分
  • 仲介手数料:家賃の0.5~1カ月分+消費税
  • 保証料:家賃の0.5カ月分
  • 火災保険料:2~3万円程度
  • 前家賃:家賃1カ月分

引っ越し代

引っ越し会社や距離、家財道具の量によって引っ越し代は変わります。また繁忙期は高くなる傾向があるため、複数の引っ越し会社に見積もりを依頼することをおすすめします。

たとえば、3~4人家族の場合10~15万円が相場ですが、引っ越し先が都外(県外)になると15~20万円かかることもあります。