住み替えを検討しているがマンションが売れない場合は、ダブルローンが有効でしょう。ダブルローンを組むと、いま住んでいるマンションが売れていなくても新居への住み替えができます。
しかし、ダブルローンには多くの注意点があります。この記事では、マンションが売れないときの住み替え方法や、ダブルローンを利用するときの注意点を解説します。
目次
マンションが売れない!住み替えはどうする?
住み替える場合は、いま住んでいるマンションを売却し、売却代金でローンを完済したり新居の購入資金に充てたりするのが一般的です。そのため、いま住んでいるマンションが売れなくては次のステップに進めません。
しかし、マンションがすぐに売れるとは限りません。住み替えしたいけど、マンションが売れない場合の対処法を紹介します。
不動産買取に切り替える
買い手がなかなかつかない場合は、不動産買取への切り替えを検討しましょう。不動産買取は市場にて買い手を探すのではなく、不動産会社に直接買い取ってもらう売却方法です。
不動産会社は買取後にリノベーションなどを施し、付加価値を付けて再販します。そのため、古いなどの理由で買い手がつかなかったマンションでも、不動産買取なら買い取ってもらえる可能性は高いです。また、不動産会社の買取査定額に納得ができれば、早くて数日から数週間でマンションを現金化できるというメリットもあります。
しかし、不動産買取は市場で売却する場合に比べて売却価格が約2〜3割安くなる傾向にあります。売却価格が安くなることは大きなデメリットでもありますが、即金ができるため次の購入計画が立てやすくなります。
媒介契約を結んでいる不動産会社を変える
高く売りたいから不動産買取は避けたいならば、媒介契約を結んでいる不動産会社を変えるのもひとつの手です。売却活動は不動産会社によって異なります。つまり、不動産会社を変えることですぐに買い手がつく可能性もあります。
しかし、媒介契約には期限があるので確認が必要です。一般媒介契約を除く専任媒介契約と専属専任媒介契約は3カ月が上限と決められています。そのため、媒介契約を結んで3カ月未満の場合は契約の解除ができません。
契約期間などの詳細は媒介契約書に記載されています。見てもわからない場合は媒介契約を結んでいる不動産会社に直接聞いてみましょう。
ダブルローンを組む
ダブルローンとは、いま住んでいるマンションのローンと新居のローンを2重で組むことを指します。ダブルローンを利用することでマンションが売れていなくても、新居のローンを組むことができ、住み替えが可能になります。
ダブルローンを組むことができれば、売却のことを気にしなくて済むので欲しい物件があればすぐに購入できます。また、新居を先に購入することで、仮住まいが不要になります。
メリットの多いダブルローンですが、注意点も多いので利用するかどうかは慎重に検討する必要があります。
ダブルローンの危険性や注意点
ここでは、ダブルローンの危険性や注意点について詳しく解説していきます。
ローンが二本になる
ダブルローンを利用することで、当然ではありますが既存のローンに加え、新居のローンの返済もしなければいけません。住宅ローンの返済金額がどちらも10万円と仮定した場合は合計で20万円を毎月支払わなければいけません。
また、マンションがなかなか売却できなければ、固定資産税などの維持費も二重に発生します。このように負担がとても重たくなるため、あらかじめ返済ができるのかどうかを検討し、新居のローンは可能な限り少額返済で済むように計画しましょう。
利用条件・借入審査が厳しい
ダブルローンの利用条件や審査基準は厳しくなります。返済能力の有無はもちろんのこと、返済比率も考慮されます。
返済比率は一般的には30%以内に抑えることがよいとされています。返済比率とは年収に対する年間の返済額のことです。たとえば、年収が500万円で返済比率が30%とすると、年間の返済額は150万円となります。
ダブルローンを組むことで、この返済比率が30%を超えてくると、審査が厳しくなるでしょう。そのため、マンションのローン残債や返済比率次第では、新居のローンが借りられない、または借りられる金額が少額になってしまいます。
住宅ローン控除が使えない
ダブルローンを組んだ場合、住宅ローン控除をいまのマンションと新居の両方で受けることはできません。住宅ローン減税は居住していることが条件となるため、新居に移ったタイミングで、いまのマンションに対しての住宅ローン減税は適応外となります。
しかし、新居に対しての住宅ローン減税は、適用されます。住宅ローン控除を利用するためには、返済期間が10年以上であることが条件です。ダブルローンで返済期間が短い場合は利用できない場合もあるので注意しなければいけません。
ダブルローンの期間は?短くするポイントとは
いま住んでいるマンションを売却できるまでは、二重にローンが発生し続けますが、ダブルローンの期間はどのくらいになるのでしょうか。
ダブルローンが発生し得る期間と、ダブルローンの期間を短くするためのポイントを解説します。
ダブルローンの期間
ダブルローンが発生する期間は、マンションが売却できるまでの期間です。一般的に、マンションの売却期間は、約4カ月〜6カ月です。そのため、新居の購入後に売却活動を始めたのであれば、単純に約4カ月〜6カ月はダブルローンの期間が発生すると考えられます。
ただ、物件次第ではなかなか売却できない可能性も考えられます。4カ月〜6カ月という期間はあくまでも、スムーズな売却ができた場合です。売却が難航した場合は、数年単位でダブルローンが発生するおそれもあります。そのため、早期売却を目指すのはもちろんのこと、長く売却できないことも考慮して資金計画を立てるとよいでしょう。
ダブルローンの期間を短くするために値引きを検討する
ダブルローンの期間をできるだけ短くするために、売却価格の値引きを検討しましょう。単純ではありますが、周辺相場よりも安く売られていれば、買い手が現れやすくなります。
しかし、極端に安くするのは避けましょう。相場より極端に安いと買い手から事故物件なのではないかと勘ぐられ、敬遠されてしまうからです。
また、値引きする際に注意したいのが、ダブルローンは売却価格がローン残債を上回るもしくは、売却後に全額を完済する必要がある点です。これは設定されている抵当権を抹消する必要があるからです。抵当権はローンを完済しなければ抹消できません。そのため、値引きすることによって、残債の一括返済ができなくなるのは避けましょう。自己資金やローン残債、周辺相場などを考慮して総合的に判断するとよいでしょう。
マンション売却の実績豊富な不動産会社を選ぶ
マンションをできるだけ早く売却するためには、売却実績が豊富な不動産会社に相談をすることが大切です。
マンション売却の実績が豊富であるということは、マンションの売り方を知っているということです。また、売り方を知っているだけでなく、マンションを探している顧客も多く抱えていることでしょう。
実績豊富な不動産会社を選ぶことで、スムーズなマンション売却、住み替えができます。
高田 一洋(たかだ かずひろ)
一心エステート株式会社代表取締役 不動産コンサルタント
【保有資格】宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/損害保険募集人資格/管理業務主任者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/住宅金融普及協会住宅ローンアドバイザー/相続診断士
1983年福井県生まれ。金沢大学工学部を卒業後、大手コンサルティング会社に入社、4年間、新規事業の立ち上げや不動産会社のコンサルティング業務に従事する。その後、当時の取引先リストグループに惹かれ入社。不動産仲介営美・営業管理職・支店長を経て、さらなる理想を追求するために一心エステートを創業。創業当初から金融機関・不動産会社へのコンサルティングを行い、ARUHI住み替えコンシェルジュでセミナー講師等を務める。豊富な不動産知識に加え20代で身に付けたコンサルティング技術、ファイナンス(お金・投資の知識)をもとに、東京都心の不動産仲介実績を積み上げている。2023年に著書「住んでよし、売ってよし、貸してよし。高級マンション超活用術: 不動産は「リセール指数」で買いなさい」を出版。