老後の住み替えに潜む恐ろしい罠とは?5つのリスクと成功のポイントを紹介

いまの住まいを売って、老後は快適に暮らせるところへ住み替えたいという方も多いでしょう。しかし老後の住み替えには、さまざまな恐ろしい罠が隠されています。

どういった罠が隠されているのか、老後の住み替えリスクについて解説します。あらかじめリスクを知っておけば、難しい老後の住み替えを成功させられるはずです。

老後に住み替える5つのリスク

老後の住み替えはリスクが高いとされています。ここでは、どのようなリスクがあるのかについてご紹介しましょう。

長生きすることによる資金不足リスク

現在の日本は少子高齢化が進む一方で、2019年時点の65歳以上の人口は3,589万人となり、総人口に占める割合(高齢化率)も28.4%となりました。2065年には25.5%となり、約3.9人に1人が75歳以上の高齢者となると推計されています。

長寿化は喜ばしいことですが、生きていくためにお金が必要です。長生きするために必要な資金を多く用意する必要があり、収入が年金だけでは貯蓄が少しずつ目減りしていくでしょう。

持ち家を購入した場合は、固定資産税や火災保険料が維持費としてかかります。しかし、賃貸住宅に住み替えると、住み続けている限り賃料を支払い続けるため、長生きによる資金不足がリスクになります。

ローン審査が通りにくいリスク

老後の住み替えで家を購入するときに住宅ローンを利用する場合は、審査が通りにくいことが予想されます。定年退職後は年収が下がるため、支払い能力が現役のときより低下すると判断されるためです。

現在の持ち家を売却した資金をあてる場合は、家の購入代金以外にかかる費用も考えて新居を購入しましょう。

賃貸住宅の貸し渋りリスク

高齢になってから賃貸住宅を借りようとしても、オーナーが貸し渋るリスクもあります。高齢者は病気や介護を受けるおそれがあるため、賃料をきちんと支払ってもらえるか心配されるためです。

単身者の場合は孤独死の懸念もあるため、家賃を支払えるとしても、受け入れてもらえないケースがあります。

地方への移住の失敗リスク

「歳を取ったら緑豊かな自然のなかでゆったり暮らしたい」。そんな夢を叶えるために都会から地方に移住して失敗する事例もあります。

実際に住んでみると、田舎は公共交通機関が発達していないため、自動車移動での生活が基本です。高齢になると運転技術も低下するため、買い物や通院などに不便を感じることが考えられます。商業施設や病院も都会のように整備されているところばかりではないため、慣れない田舎暮らしで疲弊するかもしれません。

地方では移住者がよそ者扱いを受けることも多いため、地域で孤立してしまうおそれもあります。

家財の処分が難しいリスク

住み替えるときは引っ越すため、不要な家財を処分するようになります。しかし、若いときとは違い、高齢になると部屋の片づけが思うようにできなくなるため、家財の処分が簡単ではありません。

家具や家電を捨てるときには処分の手間がかかり、体力面で厳しいといえます。引っ越し業者に依頼するにも、余計に費用がかさんでしまいます。老後の住み替えで家財を処分する可能性があるなら、少しずつ計画的に処分していきましょう。

老後に住み替える5つのメリット

リスクはあるものの、老後の住み替えにはメリットも多く存在します。ここではどのようなメリットがあるかご紹介します。

利便性のよい場所に住める

いま住んでいる住宅の立地条件がよくない場合、住み替え先に利便性のよい場所を選べます。高齢になると車の運転が厳しくなるため、なるべく公共交通機関が発達したエリアが望ましいでしょう。

スーパーや病院などの施設も、自宅から近いほうが安心・便利に暮らせます。駅から近いと子どもや孫も訪問しやすいため、家族との交流も楽しめます。

バリアフリーの住まいで生活できる

高齢になると足腰が弱くなるため、段差があると転倒しやすくなります。バリアフリー対応の家を住み替え先にすれば、老後も安心して暮らせるでしょう。

戸建ての場合、玄関ドアや室内ドアが引き戸なら、車いすになってからも自宅に住める可能性があります。玄関ドアまでのアプローチがスロープになっていて、手すりがあるとさらに安心です。

現在の家族構成にあった家でコンパクトに暮らせる

老後になると子どもも独立して、夫婦ふたりだけの生活になることが多いです。夫婦だけならそれほど大きな家は必要でないため、戸建てからマンションに住み替えるのもよいでしょう。

マンションならコンパクトな間取りも選べるため、掃除がラクになるのがよい点です。生活動線も効率的に設計されており、日常生活をスムーズに送れます。

将来的にリフォームをする必要がない

50代や60代などで新しい家に住み替えれば、将来的にリフォームや修繕をする必要がそれほどありません。家が古くなるほど修繕の機会が多くなり、高額なリフォーム費用もかかるため、思い切って新しい住まいで暮らすのもよいでしょう。新しい設備機器は最新機能を備えているものが多いため、便利な暮らしを実現できます。

資産価値の高い住まいを所有できる

資産価値が下がりにくい駅近のマンションなどに買い換えると、いざというときに現金化しやすいのがメリットです。特に都市圏のマンションは中古でも値上がり傾向が続いており、将来的に資産価値が上がる可能性があります。

老人ホームなどに入居することになり、高額な入居一時金が必要になった場合でも、資産価値が高いマンションなら売却することで資金を調達できます。そのため、子どもに金銭的な負担をかけずに済みます。

失敗させない老後の住み替え計画

老後の住み替えを失敗しないため、どのように計画を立てればよいのかについて解説します。

50代から住み替えを計画する

住み替えは体力的・資金的に余裕がないと実行するのは難しいものです。そのため、まだ現役世代である50代のうちから住み替えを計画しましょう。

50代なら住み替えに必要な資金を調達する能力があり、家財の処分をするだけの体力があります。住み替えローンも50代のうちなら、人によっては審査に通るでしょう。

60代以降になると年収が下がり、体力も衰えてくるため、できれば50代のうちに実行することをおすすめします。

資産がどれくらいあるのか調べる

住み替えには高額な費用が必要なため、自分の資産がどのくらいあるのかを確認しておきましょう。現金がさほどない場合でも、自宅の資産価値が高ければ新居の購入資金にあてることが可能です。

ただし、不動産の売却はすぐに成約できるとは限りません。現金化するまでに時間がかかる場合があるため、新居を購入するのは売却価格が確定してからがおすすめです。

高齢になっても暮らしやすい家と環境を選ぶ

老後に住み替える場合は、その家が「終(つい)の住まい」となる可能性が高くなります。そのため、高齢になっても問題なく住める家と環境を選びましょう。

バリアフリー対応で、利便性が高いエリアにある物件が望ましいです。歳を重ねると体力が落ちるため、いまの住まいよりコンパクトな家に住み替えたほうが、掃除や管理を無理なく行えます。

資金計画に余裕を持たせる

老後の収入は原則として年金が主体になるため、住み替えローンなどを利用するときは、のちのちの返済が負担にならない資金計画を立てましょう。老後は年収が低くなりますが、介護や病気などで医療・介護費が高額になるおそれがあります。

したがって、新居を購入する場合は、高額物件を選ばないのがポイントです。住み替えたあとも生活費や税金などの固定費がかかるため、無理なく老後生活を送れるだけのお金を残しておきましょう。

資産性の高い住まいを購入する

長い人生では、なにが起こるかわかりません。せっかく素敵な新居に住み替えたとしても、身体能力が衰えれば介護施設に入居することもあるでしょう。

高齢になるほど、医療費が上がることも考えられます。そうなると毎月高額な費用が必要で、いざというときには住み替え先を売却してまとまったお金を用意することになります。

なるべく高額な売却金を手にするためには、資産性の高い住まいであるのが望ましいといえます。家族に資産として残す際も、資産性の高い住まいなら負担にならないため、有効活用できるでしょう。