長年にわたり住んだ家から住み替えをする時、どのような理由があるのでしょうか。
生活拠点が変わり移住するのは金銭面や手間の面でも負担が大きいですが、そういったデメリットを把握しながらも住み替えを選択する人は多いです。
この記事では住み替えを選択した人の理由と、おすすめのタイミングについて解説します。
目次
住み替えをする理由とは
住み替えをするかどうか迷っている場合は、これまで住み替えを選択した人がどのような理由から決断したのかを知ることで、決断の一助となるでしょう。
ここでは国土交通省住宅局が公開している平成30年の「住生活総合調査結果」に記載されている内容をもとに、住み替え理由の上位5位を解説します。
第5位:結婚
新婚生活を新居でスタートさせたいと思う人は多いです。
住み替えをするにはさまざまな要素を検討しなければいけません。結婚という人生のターニングポイントをきっかけにすることで住み替えの決断をしやすくなります。
また、結婚時の住み替え先としては、将来的に子どもができることも計算して、広めの家を選択する傾向があります。
第4位:現在の家が古い
築年数が経過することで住宅性能は低下し、思わぬ故障や不具合が起きます。また、窓の目地が硬化することで断熱性能が下がり、夏場は暑く冬場は寒い居住空間になってしまいます。
特に、現在賃貸物件に住んでいる場合は、自分の判断でリフォームを行うことができません。現状よりよい居住空間を求めて住み替えを決意する人が多いです。
第3位:離婚や単身赴任による独立
好んで住み替えする人ばかりではありません。離婚や単身赴任などで住み替えせざるを得ない人も一定数います。
退去期限や入居期限がある場合には注意してください。現在の持ち家を売却するにしても、新居を選ぶにしても、時間がないことで多くの妥協が必要になります。満足のいく住み替えには、ある程度の時間が必要であると頭に入れておきましょう。
第2位:広さや部屋数が足りない
子どもが大きくなるにつれリビングに狭さを感じ、部屋数が足りないという悩みは非常に多いです。リビングは一般的に約10〜20畳ですが、大人が集まるとなると少し窮屈なイメージがあります。
また、収納の数も生活スタイルの変化で足りなくなることが多いです。このように、子どもが大きくなり居住空間が狭く感じたり、そもそも部屋数が足りないと感じるようになった場合に住み替える人は多いです。
第1位:通勤通学の利便性が悪い</h4>
最も多かった住み替え理由は、利便性の向上です。
「小学校に近い場所のマンションを購入したが、子どもが大きくなったので小学校に要がなくなった」「駅が移設となった」「転勤により通勤が大変になった」など、住んでから生活環境が大きく変わるケースがあります。
このように、不快な生活環境で暮らしていくよりかは早々に住み替えし、新天地での生活を選択するという人は多いようです。
住み替え先ごとの理由
住み替える先は大きく分けて以下の3種類になりますが、どういった理由から住み替え先を選択するのでしょうか。
- 賃貸物件
- 戸建て
- 分譲マンション
賃貸物件へ住み替える理由
持ち家に住んでいる人は、固定資産税やメンテナンス費など、ランニングコストの負担が大きくなります。
そのため住宅ローンの支払いがストレスになり、賃貸物件へ住み替えを検討する人が多いです。もし、住宅ローンを滞納してしまうと、最終的に競売にかけられ、強制退去させられてしまいます。
このように、持ち家から賃貸物件へ住み替える理由の多くに、金銭的負担があります。
分譲マンションへ住み替える理由
分譲マンションは戸建てと違い、駐車場や外壁の清掃はプロに任せられるため、管理の手間が不要です。一方で上下左右に人が住んでいる空間は騒音や臭いといったトラブルもよく起きます。
このように、分譲マンションには、住みやすいという点と人間関係トラブルが起きやすいという点が混在しています。分譲マンションの快適さを知ってる人は住み替え先の人間関係に注意を払いつつも、分譲マンションを選択することが多いです。
また、分譲マンションは駅近に建築されることが多いです。住み替え先の物件種別にこだわりはないが、駅近で探した結果分譲マンションの選択肢しかなかったということもあります。
戸建てへ住み替える理由
マンションのデメリットとして、大勢の人と共同生活を送るような生活環境と管理修繕費、間取りや部屋数の少なさが挙げられます。
このようなデメリットが看過できないと感じた場合は戸建てを選択します。戸建てであればプライバシー空間はマンションよりも確保しやすく、管理修繕費や駐車代は不要です。また、間取りや部屋数もマンションよりも充実していることがほとんどです。
このように、プライバシーや広さを重視する人は戸建てを選択します。
お得に住み替えができるタイミング
住み替えには大きな決断が必要です。なかには決断する勇気がなく、不便や不都合を感じながらも生活している人も多くいます。
ここでは決断の一助となるように、お得に住み替えができるタイミングについて紹介します。
マンションの場合は大規模修繕のタイミング
マンションの場合、数年〜十数年に一度、大規模修繕計画を行います。これまで納めてきた修繕積立金では足りないことが多く、大規模修繕計画後には特別徴収といった費用が発生するケースもあります。
その一方、大規模修繕直後のマンションはさまざまな面で資産価値が上昇するため、高値での売却が期待できます。
どちらが得になるのかは住み替え先の資産価値との兼ね合いがありますし、現在住んでいるマンションの状態によっても大きく変わりますが、ターニングポイントになることは間違いありません。住み替えに強い不動産会社に相談をして判断するようにしましょう。
築年数
築年数が10年〜20年であれば売却しやすく、比較的高値で売却できるといわれています。この理由は、オーナーの住宅ローンがある程度減っており、さらには住宅設備がリフォームせずに使用できる状態である可能性が高いからです。
築年数が20年を超えると急激に売却の難易度が上がり、価格設定も低めになります。売却費用を住み替え先の購入費用に充てる場合には、資金ショートする可能性もあるため、築年数をよく見定めたうえで売却するようにしましょう。
ちなみに、高値売却を最優先するなら築年数は浅ければ浅いほどよいです。築年数が新しい分、高値で売却はできます。しかし、中古物件を探している人は家を「安く購入したい人」です。築年数が浅く新築と価格が大きく変わらないと、ニーズと少しずれるため、買い手が現れるまでに少し時間がかかるかもしれません。
金利
2022年8月の時点では低金利政策が実施されており、通常の住宅ローンに加え、住み替えローンも非常に安い金利で推移しています。当然ではありますが、金利が安いとその分お得に家を購入できます。
金利は景気や物価、為替など、さまざまな影響を多角的に検証し決定されます。そのため、いつ利上げ政策となるかは専門家でも判断が難しいです。
そのため、住み替えを現在検討し、ローンを利用しようとしている人は、早めに不動産や銀行担当者に相談し、具体的な住み替えプランを提示してもらいましょう。
高田 一洋(たかだ かずひろ)
一心エステート株式会社代表取締役 不動産コンサルタント
【保有資格】宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/損害保険募集人資格/管理業務主任者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/住宅金融普及協会住宅ローンアドバイザー/相続診断士
1983年福井県生まれ。金沢大学工学部を卒業後、大手コンサルティング会社に入社、4年間、新規事業の立ち上げや不動産会社のコンサルティング業務に従事する。その後、当時の取引先リストグループに惹かれ入社。不動産仲介営美・営業管理職・支店長を経て、さらなる理想を追求するために一心エステートを創業。創業当初から金融機関・不動産会社へのコンサルティングを行い、ARUHI住み替えコンシェルジュでセミナー講師等を務める。豊富な不動産知識に加え20代で身に付けたコンサルティング技術、ファイナンス(お金・投資の知識)をもとに、東京都心の不動産仲介実績を積み上げている。2023年に著書「住んでよし、売ってよし、貸してよし。高級マンション超活用術: 不動産は「リセール指数」で買いなさい」を出版。