50代は住み替えの最後のチャンス?住み替え先の選び方や考え方も紹介

子どもの独立などを理由に50代で住み替えを検討する方は多いです。一方で60代以降になると住み替えを検討する人が減ることから、住み替えは50代が最後のチャンスだといわれています。

住み替えは50代が最後だといわれる理由や住み替えに失敗しないポイントを解説します。

50代は住み替えの最後のチャンス?

50代は住み替えをする最後のチャンスだといわれていますが、その理由について解説します。

年齢を重ねるごとに住み替えのニーズが減少する

住宅金融支援機構の「高齢者の住宅ニーズ等の分析」によると、「住宅に対して望む相談ニーズ」において50代〜70代で最もニーズが高いのはリフォームで、住み替えは50代が18.6%、60代が17%、70代が2.5%です。

住宅金融支援機構「高齢者の住宅ニーズ等の分析」より

この結果から、住み替えのニーズは年齢を重ねるごとに減少していることがわかります。さらには「将来の住宅について」においても「何もしない」という回答は年齢を重ねるごとに増加しています。

住宅金融支援機構「高齢者の住宅ニーズ等の分析」より

現在50代の人が住み替えを検討している場合であっても、60代になれば意欲がなくなる傾向があることがわかります。

60代以降の住み替えはそもそも難しい

そもそも60代になって住み替えの意欲があったとしても、住宅ローンの返済計画が厳しいという現状があります。一般的な金融機関には「借入時年齢」と「完済時年齢」という制限が設けられており、代表的な金融機関の制限は以下のとおりです。

金融機関名借入時年齢(歳)完済時年齢(歳)
三菱UFJ銀行7080
みずほ銀行7181
三井住友銀行7080
りそな銀行7080
フラット357080
ろうきん6676
PayPay銀行6580

多くの銀行は60代になっても借入自体はできますが、完済時年齢は80歳までと設定されていることが多く、返済期間が短くなってしまいます。

仮に3,000万円のマンションを自己資金1,000万円+借入2,000万円で購入した場合、月々の返済額は以下のとおりです。(元利均等、固定金利0.5%、ボーナスなしの場合)

借入時年齢(歳)月々返済額(円)
5059,837
6087,586
70170,902

上記のとおり、80歳という年齢制限がある金融機関で借入をした場合では借入が遅くなるにつれて月々の返済額が高くなります。このように、60代を超えて住み替えを検討した場合には資金計画が成り立たなくなるおそれがあります。

50代の住み替えは選択肢が多い

50代での住み替えには多くの選択肢が残されています。50代といえば定年まで10年以上残っており、働き手としても現役です。返済能力が高いと判断されるため、60代以降と比べるとよい条件での借入が可能で、余裕をもった返済計画を組むことができます。

また、精神面でも住み替えという一大イベントに意欲的に向き合える年齢でもあるため、住み替えは50代までに検討することをおすすめします。

50代の住み替え先の選び方・考え方

50代で住み替えをするためには、どのような選択肢があるのでしょうか。50代で住み替えをする際の選択肢や考え方について解説します。

購入か賃貸か

住み替え先を検討するうえで、そもそも家を購入するのか賃貸住まいに変更するのかという判断をする必要があります。

購入であれば住宅ローンの返済もしくは自己資金を使用することになり、賃貸であれば賃料の支払いが必要です。どちらにおいても当然費用負担は発生しますが、老後のことを考えると購入がおすすめです。なぜなら、賃貸の入居には年齢制限があるケースが多いからです。

賃貸のオーナーは孤独死などの事故が発生した場合、多額の修繕費を使い部屋の修復をしなければなりません。また、状況によっては「事故物件」扱いとなり、家賃を下げざるをえません。つまり、賃貸オーナーにとっては高齢者の入居は大きなリスクを抱えることになります。

なかには、「亡くなる前に退去してください」というオーナーもいますし、「建て壊す予定がある」などとうそをついて退去を促すケースなどもあります。このような状況にならないためにも住み替え先は購入するのがおすすめです。

戸建てかマンションか

住み替え先を購入するにしても、戸建てにするかマンションにするのかという選択があります。次に挙げるメリットとデメリットを理解したうえで、どちらが自身のライフスタイルに合うのかを検討しましょう。

物件の種別メリットデメリット
戸建て駐車代が不要庭がある部屋数が多い1つ1つの部屋が大きい固定資産税が高くなる外壁塗装などのメンテナンス費用が必要階段の昇降が必要掃除工数が多くなる
マンション駅近であることが多い購入費用が戸建てより安いバリアフリーに対応しているリフォーム費用が安い掃除が簡単管理修繕費が必要駐車代が必要ペット飼育不可の可能性がある

購入した物件をリフォームするかどうか

中古物件を購入してリフォームをするという選択肢もありますが、リフォームの内容には注意が必要です。リフォームすることで物件の価値を上げることができますが、その効果は長くはありません。リフォームすることで価値が上昇するのはリフォームをしてから数年程度でしょう。

そのため、将来売却する場合であっても相続させる場合であっても、リフォームが物件の価値に大きな影響を与えることはないため、必要以上のリフォームには注意しましょう。

50代の住み替えは失敗できない

60代以降になると住み替えの意欲がなくなっていくため、50代での住み替えは最後であり、失敗ができません。50代での住み替えに失敗しないポイントを紹介します。

バリアフリーを考慮した住み替えにする

50代であれば健康面や体力面での不安は少ないため、バリアフリーを考慮せずに物件選びをする人がいます。しかし、そう遠くない老後に向けてバリアフリー住宅を選択する、またはリフォームなどで対応することが重要です。

必要を感じる年齢になってからバリアフリー対応にするという選択肢もありますが、そのときは、50代よりも年収が大きく減っていることが多いです。そのため、老後の資金を使って工事費用を捻出する必要があります。老後に資金面の不安を残さないためにも、住み替え検討時にバリアフリーを検討しましょう。

借入額と自己資金のバランスは十分に考慮する

住宅ローンの借入時年齢は、高齢になればなるほど月々の返済額が高くなります。しかし、だからといって自己資金を多く使いすぎると、いざというときに使える資金が足りなくなるおそれがあります。

20代や30代であれば両親や兄弟に借りるなどの対処法がありますが、50代だとそれも難しいでしょう。無理な返済計画は組まずに、50代の住み替えは若いときの住み替え以上に借入額と自己資金のバランスを重要視しましょう。

最後は不動産をどのように扱うのかを決めておく

住み替え後の不動産を相続させるのか、それとも老人ホームなどに入所し売却するのかは、住み替え時に決めておくことが重要です。

たとえば、そのまま相続させるのであれば相続後も利用できるように、立地がよかったり間取りの使い勝手がよかったりする物件を選ぶ必要があります。一方で売却する前提であれば、相続人のことを考えることなく物件を選択できます。

これから購入する物件を、将来どのように処分するのかを決めておくことは、50代で住み替えをする際には重要だといえます。

早めに不動産会社へ相談する

戸建てを購入するかマンションを購入するかなど、住み替えには検討しなければいけない項目がたくさんあります。そのため、なるべく早めに不動産会社へ相談し、どのような選択肢があるのかをアドバイスしてもらいましょう。

不動産会社は、住み替えに失敗した人も成功した人もたくさん見ています。豊富な経験をもとにアドバイスを受けることが失敗しない住み替えへの一番の対策となるでしょう。