東京都港区は平均世帯年収が全国1位で、高所得者が住む街というイメージが強いです。そんな港区でマンションを売却する場合、売却価格はどのくらいなのでしょうか。
今回は、東京都港区のマンション売却価格の相場、売却の流れや注意点を紹介します。
目次
東京都港区のマンション売却価格の相場
国土交通省の「土地総合情報システム」より過去5年間のデータを集計し、平均売却価格や平均平米単価を紹介します。
年度 | 平均売却価格(万円) | 平均面積(平米) | 平均平米単価(万円) |
---|---|---|---|
2017 | 6,657.8 | 51.0 | 130.4 |
2018 | 6,634.2 | 49.2 | 134.9 |
2019 | 6,986.6 | 50.6 | 138.1 |
2020 | 7,429.1 | 49.2 | 150.9 |
2021 | 8,307.1 | 52.2 | 159.1 |
2021年の東京都港区で取引されたマンションの平均売却価格は約8,307万円、平均平米単価は約159万円でした。2017年の平均売却価格は約6,657万円と、ここ5年間で1,600万円以上上昇していることがわかります。
売却価格の変化をより正確に知るために、平均平米単価の推移にも着目してみましょう。

平均平米単価はここ5年間で約30万円上昇しています。平均売却価格、平均平米単価ともに上昇しており、港区のマンション価格は上昇傾向にあることがわかります。
港区でマンションを所有し、売却を検討している方は一度不動産の査定依頼をしてみるとよいでしょう。予想以上の査定価格が提示されるかもしれません。
プロが語る港区のマンションが値上がりする3つの理由
東京都港区でマンションを売却する前に知っておきたいこと
東京都港区は高所得者層が多く住み、ほかのエリアにない特徴があります。港区でマンションを売却する前に知っておくべきポイントについて解説します。
世帯数の動向
「港区ホームページ/人口・世帯数」より港区の過去10年間の世帯数の推移は以下のとおりです。
年度 | 世帯数 |
---|---|
2013 | 132,474 |
2014 | 134,387 |
2015 | 137,180 |
2016 | 138,942 |
2017 | 141,710 |
2018 | 143,898 |
2019 | 145,865 |
2020 | 147,693 |
2021 | 146,527 |
2022 | 145,951 |
2021、2022年は新型コロナウイルスの影響で都心を離れる人が増え、港区も世帯数は減少しています。しかし、2022年12月1日時点の世帯数は149,627人となっており、新型コロナウイルスの落ち着きとともに世帯数も回復しています。
このように港区は人口集中が継続するエリアで買い手が不足することがなく、マンションを売却しやすいエリアだといえるでしょう。
平均年収
2021年度の「市町村税課税状況等の調」によると港区の平均年収は約1,185万円と全国1位の結果でした。
東京都のなかでも平均年収が400万円を下回るエリアは多く存在することから、いかに港区が特殊なエリアであるかがわかります。
港区には高所得者が多いことから、マンションの購入検討をしている買主の年収も高いと予想できます。そのため、マンションを売却するための計画についても高所得者層に向けた販売活動が必要です。
東京都港区ではどのような販売計画を立てればよいか
東京都港区の世帯数は増加傾向にあり、さらに年収の高い買主が多いです。年収が高い方は予算の設定幅が広いです。そのため、価格よりもマンションの付加価値で差別化を図る必要があります。
たとえば、マンションに付随する託児所や24時間稼働のダストステーション、住民限定のペットサロンやジムなどです。これらは、通常の年収層にはあまりプラスポイントにはなりません。しかし、時間を有効活用したいと考える人にとっては非常に魅力的な設備です。
そのため、マンションに付随する設備などの付加価値を重点的にアピールするとよいでしょう。
港区のマンションで高く売れる条件やスペック

代表取締役高田 一洋
これには面白い理由があって、マンションの売買対象面積って2次元なんですよ。でも、実際に住むのは3次元の空間なんです。横と奥行きだけじゃなくて、高さもあるわけです。例えば、天井が20cm違うだけで、圧迫感が全然違うんです。
タワーマンションが人気なのも、この天井高が関係してます。一般的な板状のマンションだと天井高2.45mか2.5mくらいなんですが、タワーマンションはさらに平均で5cm高いんですよ。これが住み心地に大きく影響してくるんです。
それから、開口部の大きさも重要です。最近のタワーマンションは開口部が本当に大きいんです。昔のマンションだと、開口部が人の背丈くらいしかなかったんですが、今は全然違います。住友不動産のタワーマンションではダイナミックパノラマウインドウっていう名前で売り出してますが、基本的にガラス張りで、これがすごく受けてるんです。
東京都港区でマンションを売却する流れ
港区でマンションを売却する流れは以下のとおりです。
- 不動産会社へ売却の相談
- 査定を受け、売り出し価格の設定
- 販売活動、契約締結
- 引渡し
不動産会社へ売却の相談
売却の第一ステップは不動産会社への相談です。不動産会社はマンション売却に関するコツやノウハウを持っているため、早い段階で相談することで無駄を省くことができます。
売却する物件や売却する背景などを不動産会社に説明することで、より具体的なアドバイスを受けられます。
また、そもそも売却できるマンションかどうかを確認するためにも、早い段階での不動産会社への相談は非常に重要だといえます。
査定を受け、売り出し価格の設定
売却するマンションと号室、専有面積がわかれば不動産会社は査定ができます。マンションの査定は戸建てや土地とは違い、個々の不動産が持つ影響が査定価格に影響する可能性は低いです。
たとえば戸建てであれば木の腐食や白蟻被害によって査定価格が変わり、土地であれば形状や接道幅、方位によって変わります。
しかし、マンションの査定は部屋の中が極めて劣悪でない限り、同じマンションのほかの部屋と同じような成約価格になります。そのため、売主がマンション売却を不動産会社に相談したタイミングで査定価格を提示してもらえるでしょう。
そして、提示してもらった査定価格をもとに売り出し価格を決定します。査定価格よりも大幅に高い売り出し価格にすると販売が長期化してしまうおそれがあります。売り出し価格は不動産会社のアドバイスを参考に慎重に決定しましょう。
販売活動、契約締結
売り出し価格と売却計画が決まれば、いよいよ販売開始です。ここでは販売活動と契約締結について解説します。
販売活動
不動産会社は撮影した部屋の写真をインターネットに掲載し、反響取得を目指します。反響があれば内覧へと誘導します。
売主は内覧候補日から予定を調整し、内覧希望の買主を迎え入れます。内覧時にはマンションや設備のポイントを説明します。不動産会社も同席するため、売主は不動産会社の説明に補足する程度で結構です。
買主がマンションを気に入れば申込書が提出されます。
契約締結
契約締結時には通常印紙代が必要です。契約書の原本が不要であればコピーをもらいますが、その際は印紙代が不要です。確定申告時も契約書はコピーでも対応できるため、原本でなければ困ることもありません。そのことを踏まえたうえで、契約書の原本が必要かどうかを決めておきましょう。
また、契約時には買主から手付金を渡されます。手付金は定められた期日までに何らかの理由で契約を解除したい場合に使用されます。売主の事情で解除する際には手付金を買主に返還し、さらに同額を支払う必要があります。そのため、指定期間を経過するまでは使わずに保管しておきましょう。
なお、買主から契約解除の申し入れがあった場合、買主は手付金放棄が条件となります。その場合は手付金をそのまま受領しますが、契約自体がなくなるため販売活動を再開する必要があります。
引渡し
マンションは不動産売買契約から約1カ月後に引渡しを行いますが、引渡しと所有権移転は同じタイミングで行うのが一般的です。
また、引渡し日には売主と買主、不動産会社買主の銀行担当者、司法書士が銀行に集合し、書類の確認と所有権移転の説明、そして入金を実行します。そのため、引渡し日は銀行と法務局の両方が空いている日である必要があり、平日の午前中に実施されるケースが一般的です。
つまり、売主は仕事を休むなどの調整をする必要があるため、事前に引渡し日を確認しておくようにしましょう。
港区のマンション売却を依頼する不動産会社を見極めるポイント

代表取締役高田 一洋
具体的に何が違うかというと、例えば、価格設定の精度です。時々見かけるんですが、異常に安い価格で出してる物件があるんです。3カ月間の取引の平均を取って査定価格にしているケースがあります。でも、今の港区の不動産相場って、3カ月前の価格ではもう全然通用しないんですよ。それこそ一昔前の金額になってしまう。
都心の相場を知らない不動産会社に依頼すると、本来の価値よりも安く売ってしまう可能性が高いんです。特に港区の物件は相場が独特で、一般的な不動産会社では適切な価格設定が難しいんです。だから、評判の良い、都心の高級物件を専門に扱う不動産会社を選ぶことが重要です。

一心エステート株式会社代表取締役 不動産コンサルタント
1983年福井県生まれ。金沢大学工学部を卒業後、大手コンサルティング会社で新規事業立ち上げや不動産会社のコンサルティング業務に4年間従事。その後、リストグループで不動産仲介営業・営業管理職・支店長を経て、一心エステート株式会社を創業。創業当初から金融機関・不動産会社へのコンサルティングを行い、東京都心を中心に不動産仲介実績を積み上げている。2023年に著書「住んでよし、売ってよし、貸してよし。高級マンション超活用術: 不動産は「リセール指数」で買いなさい」を出版。
【保有資格】
宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/損害保険募集人資格/管理業務主任者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/住宅金融普及協会住宅ローンアドバイザー/相続診断士
代表取締役高田 一洋
1つ目が人口の増加、2つ目が外国人人口の増加です。そして3つ目が、超高額物件の出現なんです。
特に、2024年竣工した「麻布台ヒルズ」の最高価格が200億円以上ということで、マンション価格の天井をぶち壊しました。今までは、目に見えない価格の上限みたいな圧力があったんですけど、それを突き破るんじゃなくて、もう完全に無視して上に行っちゃった感じですね。それまでは40億円とかが最高額だったのが、一気に上限が突き破られたんです。
この価格の突き抜けで、今まであった目に見えない価格の上限への圧力が、一気に上まで押し上げられた印象があります。これに加えて、人口増加と供給戸数の減少も大きな要因になってます。実は、最近になって、港区の供給棟数と供給戸数が激減してるんです。
つまり、人が集まってきているのに、新しいマンションの供給が追いついていない。これが希少価値を高めている大きな要因になってるんです。