戸建てからマンションへの住み替えは、立地の利便性やメンテナンスの手間を減らすなど、生活スタイルの変化に合わせたメリットが多々あります。その一方で、管理費の負担やリフォームの制限など、注意が必要な点もあります。
戸建てからマンションへ住み替えを検討しているときに、知っておきたい基本的なメリットと注意点を解説します。
メリットたくさん!戸建てからマンションへの住み替え
戸建てとマンションでは、建てられる立地や建物の構造、生活環境などに違いがあります。住み替えを考える場合は、戸建てとマンションの違いを十分に理解して検討を進めましょう。そこで、ここでは戸建てからマンションへ住み替える代表的なメリットを5つ紹介します。
マンションの魅力を十分に理解し、自分の生活に向いているのか判断してください。
駅から近い場合が多い
マンションは駅や市の中心部に建てられることが多く、郊外の低層住宅が広がっているような場所には建てられていません。これには理由があり、用途地域といって建てられる建物は各地域によってその種類が制限されています。
そのため、マンションなどの高層の建物は、繁華性の高い中心部に建てられることが多くなっています。
日常生活で駅をよく利用する人や、スーパーマーケットなどの施設から近いほうがよい人にとって、マンションは利便性の高い住宅となるでしょう。
日常的に階段を使わない
メゾネットタイプの部屋を除けば、マンションだと日常的に階段を利用する機会は減ります。そのため、老後の住み替え先としてマンションを選択する人も少なくありません。
身体の負担を少しでも減らしたい人にとって、マンションはおすすめの住み替え先になるでしょう。
戸建てに比べて防犯性が高い
最近のマンションでは、オートロックがついている建物がほとんどです。オートロックの場合は、無関係の人が簡単に出入りできなくなるため、戸建てに比べて防犯性が高くなります。
また、管理体制がよいマンションでは、エントランス付近に管理人が待機していることが多く、怪しい人物に対しては声掛けや通報などを行ってくれるでしょう。
小さい子どもがいるなど防犯面に配慮したい人は、オートロックつきで管理会社が日勤または常駐しているマンションへの住み替えがおすすめです。
建物のメンテナンス・清掃は管理会社がする
戸建ての場合は、屋根・外壁などのメンテナンス、外構周りの清掃は自分の管理で行わなくてはなりません。そのため、計画的に資金を貯めて備える必要があります。
マンションの場合は、毎月の管理費のなかから管理会社への委託費用が支払われているため、日々のメンテナンスや清掃は管理会社が行ってくれます。
また、修繕積立金を原資として、10~15年ほどの間隔で大規模修繕工事が行われます。大規模修繕工事を行うことで、外壁のメンテナンスはもちろん、建物の防水性や耐震性も維持できるため、自分で計画的にメンテナンスをしたくない人はマンションがおすすめです。
長期的な目で見ると資産性が高い
戸建てに比べてマンションは資産性を維持できます。戸建ては、築20年を過ぎるとその価値はほとんどなくなり、築30年を過ぎた場合は土地の価値のみで価格査定されることも少なくありません。
それに比べてマンションの場合は、築年数による減価が少なく、場合によっては分譲時よりも値上がりするケースもあります。
価値の落ちないマンションを選ぶには、売却時に売れやすいマンション・部屋を選択しておく必要があります。
売れやすいマンションの特徴は次のとおりです。
- 眺望をさえぎる建物がない
- 管理体制が良好
- 駅徒歩7分以内
- 中心部へのアクセスがよい
- 地域のニーズに合った間取り
マンションへの住み替えを検討する際は、上記にあてはまるマンションを選ぶとよいでしょう。
マンションに住み替えるときの注意点
住み替えるときはさまざまな条件があるため、あらかじめ注意が必要です。また、マンションへ住み替える場合は、マンションのメリットだけでなく、デメリットも十分に理解しておく必要があります。ここではマンションへ住み替える場合の注意点を5つ紹介します。
住宅ローンを完済する必要がある
住宅ローンを借りていると、購入した家には抵当権が設定されています。この抵当権を抹消しない限り、次の家を住宅ローンで購入できません。
抵当権は金融機関が債務者に対して、不動産を担保として設定する権利のことです。住宅ローンの返済中はこの抵当権が設定された状態になっているため、完済して抵当権を外してもらわなくてはなりません。
そのため、住宅ローンの残債がある家を売却するには、その家の売却代金を受け取ると同時に、ローンを完済して抵当権の抹消手続きを行う必要があります。
管理費・修繕積立金などがかかる
マンションは住宅ローンの返済に加えて、日々のランニングコストがかかります。管理費と修繕積立金です。管理費は、管理会社が日々行うメンテナンス・清掃のための費用として使われ、修繕積立金は10~15年おきに行われる大規模修繕工事のために積み立てられていきます。
自由にリフォームできない
マンションの場合は戸建てのように、リフォームやリノベーションを自由に行えません。管理規約によって、リフォームできる内容や範囲が定められています。たとえば、窓枠、床材の質、間取りの制限などがあります。
さらに、コンクリートに直接配管が埋め込まれている居室の場合は、水回りの場所を変えられないことがあるため注意しましょう。
このようにさまざまな注意が必要になるため、リフォームを行うときは不動産会社への確認が欠かせません。
エレベーターの待ち時間がある
50戸に対して1台のエレベーターが目安とされていますが、マンションによってはそれでも混雑することがあります。朝のラッシュ時間(午前7時~9時)は特に混雑するおそれがあるため、その時間帯に出かける場合は待ち時間を考慮する必要があるでしょう。
ペットの飼育に制限がある
多くのマンションでは、ペットの飼育を制限しています。ペットを飼っている人は、希望する住み替え先のマンションでペットが飼育できるかどうか、もしくは飼える頭数に制限があるかどうか、あらかじめ管理会社に確認しておきましょう。
老後も安心して住めるマンションのポイント
近年、長年住んだ戸建てから、マンションへ住み替える人が増えています。子どもの独立や退職を機に、老後の住み替え先としてマンションを検討する人が多いのです。ここでは老後も安心して住めるマンションのポイントを5つ紹介します。
マンションといってもさまざまな立地やタイプがあるため、老後の生活に合った物件を選べるよう注意しましょう。
医療機関が近い
老後の生活では、健康管理や病気に気を配る必要があります。そのため、近くに医療機関があると安心でしょう。急な体調不良や定期的な健康チェックにも便利で、安心して生活を送れます。
家族・親戚にすぐ会える
家族や親戚が近くにいると安心感を持って生活できます。また、孫の顔なども見やすいため、老後の住み替え先は家族や親戚がいる地域に近いところを選ぶとよいでしょう。
生活利便性が高い
老後の住み替えでは、日常生活に必要な施設やサービスへのアクセスがよい場所を選ぶことが重要です。スーパーマーケットや公共交通機関などが近くにあると、快適に過ごせるでしょう。
セキュリティ面が充実している
老後の住み替えでは、セキュリティ面を重視しましょう。近年、高齢者を狙った特殊詐欺などが増えてきているため、入れる人を確認できるオートロックつきのマンションがおすすめです。
バリアフリーで段差が少ない
身体的な制約があっても安心して暮らせるよう、バリアフリーのマンションを選ぶことも重要です。段差の少ない住まいは、日々の負担を軽減してくれるでしょう。
高田 一洋(たかだ かずひろ)
一心エステート株式会社代表取締役 不動産コンサルタント
【保有資格】宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/損害保険募集人資格/管理業務主任者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/住宅金融普及協会住宅ローンアドバイザー/相続診断士
1983年福井県生まれ。金沢大学工学部を卒業後、大手コンサルティング会社に入社、4年間、新規事業の立ち上げや不動産会社のコンサルティング業務に従事する。その後、当時の取引先リストグループに惹かれ入社。不動産仲介営美・営業管理職・支店長を経て、さらなる理想を追求するために一心エステートを創業。創業当初から金融機関・不動産会社へのコンサルティングを行い、ARUHI住み替えコンシェルジュでセミナー講師等を務める。豊富な不動産知識に加え20代で身に付けたコンサルティング技術、ファイナンス(お金・投資の知識)をもとに、東京都心の不動産仲介実績を積み上げている。2023年に著書「住んでよし、売ってよし、貸してよし。高級マンション超活用術: 不動産は「リセール指数」で買いなさい」を出版。