住み替えによる仮住まいガイド|住民票の手続きと費用の目安

住み替えを行うにあたって、仮住まいが必要になることがあります。できるだけ仮住まいの期間は短くしたいものの、住み替え先の都合によってはどうしようもありません。仮住まいをできるだけスムーズに進めるために知っておきたいことを紹介します。

仮住まいでも住民票の手続きは必要?

住み替えの都合で一旦仮住まいするときは、住み替えの内容にもよりますが、その期間は1カ月、長ければ半年程度に及ぶこともあります。そのような場合、住民票を移した方がいいのか悩む人も多いのではないでしょうか。

1年以内の仮住まいなら手続き不要!

住み替えに伴う仮住まいのように一時的な引っ越しで、想定される期間が1年未満の場合は必ずしも住民票を異動する必要はありません。

一方、通常であれば、住民票は異動のあった日から14日以内に提出する義務があります。正当な理由もなく住民票の異動を届け出ない場合は、最悪5万円以下の過料が科されるため注意が必要です。また、短期間とはいえ、住民票を異動しないとデメリットも発生します。

住民票を異動しないデメリット

住民票を異動しない最大のデメリットは、仮住まい先の自治体の住民向けサービスを受けられないことです。

住民票を異動しない限り、印鑑証明書や住民票といった公的書類は、もとの自治体に赴かないと取得できません。さらに福祉サービスが利用できないうえに、たとえば子ども医療費の助成といった還付手続きの必要なものがあれば、もとの自治体での手続きが必要です。

ほかにも仮住まい先の公共施設の利用にも制限があるでしょうし、選挙に関しても住民票のある自治体を基準にした投票になります。さらに自治体のサービス以外にも確定申告、運転免許証の更新といった手続きは、住民票のある地域でしかできません。

1年未満の仮住まいで住民票の異動義務がないものの、短い期間だとしてもデメリットを十分に考慮して、住民票を異動するかどうか検討しましょう。

そのほかの仮住まいで必要な手続き

住民票を異動するかしないかに関わらず、仮住まい先で通常の生活を送るには、いくつか必要な手続きがあります。

電気・ガス・水道の契約

電気・ガス・水道といった基礎的な生活インフラは、仮住まい先でも利用するための手続きが必要です。同時に仮住まい中に、もとの住まいでの利用がないのであれば、解約や休止の手続きも忘れないようにしましょう。

供給する事業者が同一であれば変更手続きになりますが、事業者が変われば、解約と新規開設になり、手間が増えますので注意が必要です。

手続きの詳細は供給事業者のWebサイトなどで確認できますので、事前に調べて滞りなく手続きするよう心がけましょう。

郵便物の転送手続き

郵便物は郵便局に「転送届」を提出しておけば、1年間は仮住まい先に転送してもらえます。電気・ガスといった生活インフラと違って手続きを忘れがちですが、もともと住んでいた自治体からの通知など重要な郵便物があるかも知れませんので、確実に手続きを済ませましょう。

ただし、宅配便などで郵便局を介さない荷物は届かないこともありますので、普段からやり取りの多い親戚や親しい知人にはできるだけ仮住まい先を連絡しておくことも大切です。

インターネットや電話の契約

電話やインターネット回線も毎日使う、欠かせない生活インフラの一部です。携帯電話は手続き不要ですが、固定電話やインターネット回線は手続きをしないと利用できません。

工事が必要な場合もあり、その際は現地立ち合いなどの日程調整も必要です。とくに3月や4月といった引っ越しの多い時期は混み合うため、事業者のWebサイトで必要な手続きを確認し、早めに手続きを済ませましょう。

子どもの学校や保育園の手続き

子どもの学校や保育園などは私立学校などを除き、居住地が学区や自治体を越えて変わる場合は転校や転園が必要です。ただし、仮住まいのように短い期間であれば、学校や保育園次第で学区外など遠方から通えるかもしれませんので、直接学校や自治体に相談してみましょう。

しかし、いずれにしても学校や保育園までの距離が遠くなってしまうと、通学・通園が不便になることは避けられません。子どもの学校は優先的に考える必要がありますので、転校や転園をしなくて済むように、学区内で仮住まい先を探す検討も必要です。

勤務先への報告、通勤手当などの是正

仮住まい中の手続きとして見落としがちなのが、勤務先への住所変更の報告です。一見必要ないように思われがちですが、たとえば通勤手当を支給されている場合は、正しい現住所を報告していないと、手当が実際の費用から少なくなってしまったり、多くもらい過ぎてあとで返還する羽目になったりします。

期間が短いからと侮らず、必要な報告を行い、職場での手続きを確認しましょう。

運転免許証、クレジットカードなどの住所変更

運転免許証やクレジットカードは短期間でもとの住所に戻るのであれば、とくに手続きをしなくても問題はないでしょう。ただし、運転免許証更新連絡書など大切な通知があるかもしれませんので、いずれにしても郵便局の転送手続きは確実に行う必要があります。

仮住まいにはどれくらいの費用がかかる?

仮住まいの費用がどれくらいかかるかは、住み替えを検討するうえでの大切なポイントです。費用をしっかり想定しておかないと、住み替え全体の予算にも支障が出ますので、しっかり把握しておきましょう。

引っ越し費用の目安

仮住まいをする場合は、引っ越しが2回必要になります。荷物量・移動距離などに応じて、作業時間・運搬費用が異なるため、家族での引っ越しであれば、1回あたりの費用相場は10~40万円程度と、金額にかなり幅があります。

また、2~4月、10月の引っ越しの繁忙期と、それ以外の時期で費用にかなり差が生じるため、時期の選択も重要です。引っ越し業者によっても費用が違いますので、必ず複数の事業者の見積もりを比較して、依頼する業者を決めましょう。

仮住まい先の家賃(敷金、礼金など)

短期間の仮住まい先として、実家などを利用する以外は賃貸物件が想定されるため、賃料に加え、敷金・礼金が必要になります。

たとえば「仮住まい期間6カ月、家賃10万円、敷金・礼金3カ月」であれば、最低でも10万円×6カ月+10万円×3カ月=90万円が必要です。ほかにも賃貸物件の仲介手数料や各種保険料などが経費として加わります。

もちろん、ウィークリーマンションなど敷金・礼金がない物件も選択肢のひとつですが、ファミリー向けの物件が少ないため、まずは賃貸物件で想定しましょう。

荷物保管にかかる費用

荷物が多過ぎて仮住まい先に収まらないときは、あえて面積の大きい賃貸物件を探すのでではなく、一時的なものと割り切ってトランクルームなどを利用するのもひとつの方法です。

トランクルームの利用には初期費用や月々の使用料などがかかりますが、地域や大きさ、屋内・屋外の違いによって異なります。大きさによっては月数万円程度必要ですが、賃貸物件の賃料や荷物の量なども考慮して検討しましょう。

仮住まいの費用を抑えるポイント

仮住まいの費用を抑えるポイントはいくつかありますが、まず次の4点を考えることが大切です。

  • 仮住まいの期間をできるだけ短くする
  • 引っ越しの時期を見定める
  • コストが少ない賃貸物件を探す
  • 住み替えを機に、不必要なものは極力処分する

まず、仮住まいの期間をできるだけ短くできれば、それだけ賃料を抑えられます。新築での住み替えであれば、居住部分の工事を優先し、庭などの外構工事をあと回しにして仮住まいの期間を短くすれば、その期間だけ賃料を削減可能です。

引っ越し料金は時期によって大きく差がありますので、引っ越し業者の閑散期に行えば、費用は少なくできます。また、仮住まいで利用する賃貸物件も通常は敷金・礼金などがかかりますが、なかには短期入居を前提とした敷金・礼金なしの物件が見つかることもあります。

住み替えの計画段階で、関わっているハウスメーカーや不動産会社に仮住まいに向いた物件を紹介してもらうのもひとつの方法です。

そして、最後に心がけて欲しいのは、不要な荷物の整理です。長年同じ家に住んでいると、知らないうちに不要な荷物が多くなりがちです。荷物量は引っ越し費用や、仮住まい先の面積、トランクルームの費用などあらゆる面に影響します。

処分費も必要になりますが、一方でリサイクル業者が買い取ってくれるものもありますので、住み替えを機に不要な家具や荷物などを整理してみてはいかがでしょうか。