マンションの価格は新築時が最も高く、築年数の経過とともに下落する傾向にあります。
ただ築10年のマンションは中古市場で人気が高く、「売り時」を迎えているケースもあります。
築10年マンションの値下がり率の真実から、価値が落ちにくい物件の条件、そして少しでも高く売るための具体的なコツまで解説します。
目次
築10年マンションは値下がりするのか?
「築10年」と聞くと、新築時の価格からどれくらい値下がりするのか不安に思う方も多いのではないでしょうか。マンションの価格は新築時が最も高く、築年数の経過とともに下落する傾向にあります。
しかし、築10年のマンションは値下がり率が緩やかになり、中古市場では需要が高いことから「売り時」の1つとされています。
近年の不動産市場全体の価格上昇も後押ししており、一概に「値下がりする」とは言えない状況です。この章では、実際のデータをもとに、築10年マンションの価格動向や売却のメリット・デメリットについて詳しく解説します。
築10年マンションは売れやすく価格も高い
結論として、築10年の中古マンションは価格の下落率が緩やかになり、中古市場での需要も高いことから、高値での売却が期待できる資産と言えます。
一般的にマンションの価格は、新築時をピークに最初の10年間で大きく下落し、その後は緩やかに下落していく傾向があります。つまり、築10年は価格が安定し始めるタイミングなのです。また、設備や内装が比較的新しく、大規模修繕もまだ先であるため、新築にこだわらない買主にとっては非常に魅力的な物件となります。
実際に、東日本不動産流通機構(レインズ)が公表したデータを参照すると、その傾向は明らかです。例えば、築0〜5年のマンションと築6〜10年のマンションの価格差が約650万円であるのに対し、築6〜10年と築11〜15年の価格差は約530万円に縮小しています。
このように、新築から10年までの下落幅と比較して、11年目以降の下落幅は小さくなる傾向にあります。資産価値が大きく落ち込む前の築10年というタイミングは、売却において有利な条件が揃っていると言えます。
| 築0〜5年 | 築6〜10年 | 築11〜15年 | 築16〜20年 | 築21〜25年 | 築26〜30年 | 築31〜35年 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 中古マンション | 7,808万円 | 7,156万円 | 6,619万円 | 5,972万円 | 5,320万円 | 3,835万円 | 2,455万円 |
| 差額 | – | 652万円 | 537万円 | 647万円 | 652万円 | 1,485万円 | 1,380万円 |
4,000万円するマンションの10年後の値下がり率
新築時に4,000万円だったマンションは、10年後には元の価格の約70%〜80%、つまり2,800万円〜3,200万円前後で取引されるのが1つの目安です。
一般的に、マンションの価格は10年間で20%〜30%下落すると言われています。この下落率を当てはめて計算すると、以下のようなシミュレーションができます。
- 20%下落した場合: 4,000万円 × (1 – 0.20) = 3,200万円
- 30%下落した場合: 4,000万円 × (1 – 0.30) = 2,800万円
もちろん、これはあくまで一般的な目安の数値です。実際には、マンションの立地(駅からの距離など)や建物の管理状態、周辺環境の変化、さらにはその時々の市況によって価格は大きく変動します。
そのため、所有するマンションの正確な価値を知るためには、この計算は参考程度にとどめ、不動産会社による専門的な査定を受けることが不可欠です。
築20年後のマンション価格と値下がり率
築20年が経過したマンションは、新築時の価格と比較しておおよそ半額、つまり約50%の資産価値になるのが一般的です。
築10年から20年にかけての価格下落は、最初の10年間に比べて非常に緩やかになるという特徴があります。新築から10年で30%下落した物件が、次の10年間でさらに30%下落するわけではありません。価値の減少スピードが鈍化し、価格が底堅くなってくる時期とされています。
ただし、築20年という年数は、買主が設備の古さや、間近に迫る「大規模修繕工事」の費用負担を懸念し始めるタイミングでもあります。そのため、同じエリアの新しい物件と比較されると、価格面で不利になる可能性も出てきます。
結論として、築20年のマンションは価格下落が安定期に入るものの、建物のメンテナンス状況や管理体制の良し悪しが、その後の資産価値を大きく左右する重要な時期であると理解しておきましょう。
築10年マンションの価格は上昇し続けている
個々のマンションは築年数に応じて価値が下がるのが原則ですが、不動産市場全体の価格が上昇しているため、10年前に購入した価格よりも高く売れるケースが増えています。
これは、新築マンションの価格高騰や建築費の上昇が主な理由です。新築の価格が上がることで、状態の良い中古マンションに注目が集まり、中古市場全体の価格も押し上げられています。つまり、築年数の経過による価格下落を、市場全体の価格上昇が上回っている状況です。
実際に東日本不動産流通機構(レインズ)のデータを見ると、首都圏における中古マンションの平均価格は、この10年間でほぼ一貫して右肩上がりに上昇を続けています。これは特定の築年数に限った話ではなく、築10年や築20年といった物件も例外ではありません。
そのため、「10年経ったから価値が下がっているはず」と単純に考えるのではなく、現在の市場価格を正しく把握することが重要です。購入時より高く売却できる可能性も十分にあることを知っておきましょう。
築10年でマンションを売るメリット
築10年というタイミングでマンションを売却することには、金銭面や手続き面で多くのメリットが存在します。
まず、資産価値が大きく下落する前に高値で売却しやすい点が挙げられます。前述の通り、築10年頃から価格の下落は緩やかになりますが、まだ比較的新しい物件として市場での需要は高く、買い手が見つかりやすい理想的な時期です。
また中古マンション市場では築10年以内の物件が少なく希少なため、希望する価格で早く売れることが多いでしょう。
大規模修繕工事の前に売却できる点も見逃せません。一般的に大規模修繕は築12年〜15年で行われることが多く、修繕積立金の増額や一時金の負担が発生する可能性があります。その前に売却することで、余計な出費と手間を回避できます。
居住用として購入した場合、住宅ローン控除(減税)が終わる時期と重なることも多いです。税制的なメリットが一区切りつくこの時期は、住み替えを検討する合理的なタイミングと言えるでしょう。
築10年でマンションを売るデメリット
メリットがある一方で、築10年でのマンション売却にはデメリットも存在します。
最も注意したいのが、住宅ローンの残債割れリスクです。10年という期間では、売却価格が住宅ローンの残高を下回ってしまう可能性があります。その場合、差額を自己資金で補填しなければならず、想定外の出費となるため、売却前にローン残高を正確に把握しておくことが必須です。
売却自体に仲介手数料や税金などの諸費用がかかることも忘れてはいけません。
たとえ購入時より高く売れたとしても、これらの費用を差し引くと手元に残る金額は思ったより少なくなることがあります。住み替え先の購入費用も考慮し、慎重な資金計画を立てることが重要です。
築10年や20年でも値下がりしにくいマンションの条件
マンションの資産価値は、築年数だけで決まるわけではありません。たとえ築10年や20年が経過しても、特定の条件を満たす物件は価格が下がりにくく、むしろ周辺の相場とともに価値が上がることもあります。
これらの物件に共通するのは、立地や建物の品質といった、時間が経っても色褪せない普遍的な魅力です。この章では、将来にわたって資産価値を維持しやすいマンションの具体的な条件を、1つひとつ詳しく解説していきます。
駅からの距離と交通の利便性
マンションの資産価値を大きく左右するのは、最寄り駅からの距離と交通の利便性です。
一般的に、駅から徒歩10分圏内、特に5分以内といった「駅近」物件は、常に高い需要があります。
通勤・通学の利便性は多くの人にとって譲れない条件であり、買い手や借り手が見つかりやすいため、価格が安定しやすいのです。建物の価値は年々減少しても、土地の価値、つまり立地の優位性は失われません。
さらに、複数の路線が乗り入れている駅や、都心部へアクセスしやすいターミナル駅、急行や特急の停車駅であれば、その価値はさらに高まります。
生活利便性の高い周辺環境
日々の暮らしやすさに直結する周辺環境の充実度も、マンションの価値を支える重要な要素です。
スーパーやコンビニ、ドラッグストアといった商業施設が徒歩圏内に揃っていることはもちろん、子育て世帯にとっては保育園や小中学校、公園が近くにあるかどうかが物件選びの決め手になります。
また病院や郵便局、銀行といった公共施設が充実しているエリアは、世代を問わず安心して暮らせるため、根強い人気があります。
日々の生活が完結するような利便性の高いエリアは、需要が安定しているのです。
災害リスクが低いエリアと構造
近年、防災意識の高まりから、自然災害のリスクが低い土地に建てられていることも、マンションの価値を保つ上で非常に重要視されています。
自治体が公開しているハザードマップを確認し、洪水による浸水や土砂災害、地震時の液状化などの危険性が低いエリアを選ぶことは、安心して暮らすための必須条件です。地盤が強固な高台にある物件は、中古市場でも人気が高く、資産価値が落ちにくい傾向にあります。
また、建物の構造も重要です。1981年6月以降の「新耐震基準」を満たしていることはもちろん、より厳しい基準が設けられた2000年以降に建てられたマンションは、安全性の面で大きな付加価値となり、将来にわたって評価され続けます。
築10年マンションを少しでも高く売るコツ
築10年のマンションが持つ価値を最大限に引き出し、少しでも高く売却するためには、物件の魅力だけに頼るのではなく、戦略的な売却活動が不可欠です。
物件の価値を正しく評価し、効果的にアピールしてくれる不動産会社をパートナーに選ぶことが成功の鍵を握ります。この章では、マンションを高く売るために実践したい具体的なコツと、不動産会社の選び方について詳しく解説します。
販売力のある不動産会社に依頼する
マンションを高く売るために重要なのは、販売力のある不動産会社をパートナーに選ぶことです。同じ物件であっても、どの会社に依頼するかで売却価格や売れるまでの期間は大きく変わります。
販売力とは、単に会社の規模や知名度だけを指すのではありません。物件の魅力を最大限に引き出す広告戦略(質の高い写真や紹介文、効果的な媒体の活用など)を立て、購入希望者に的確なアプローチと交渉ができる能力のことです。
優れた不動産会社は、周辺の相場や過去の取引事例を詳細に分析し、説得力のある査定価格を提示してくれます。そして、その価格で売却するための具体的な販売計画を提案してくれるでしょう。
複数社で査定を受ける
販売力のある不動産会社を見つけるために、必ず複数の会社(3〜4社が目安)に査定を依頼しましょう。
不動産会社によって、得意なエリアや物件種別、持っている顧客情報などが異なるため、同じマンションでも査定価格には数十万円、時には数百万円もの差が出ることがあります。1社だけの査定では、その価格が本当に適正なのかを判断できません。高すぎる価格は売れ残りの原因に、低すぎる価格は大きな損につながる可能性があります。
複数の査定結果を比較することで、マンションの客観的な相場観を養うことができます。また査定価格の根拠や今後の販売戦略について各社の担当者から話を聞くことで、その会社の知識や熱意、人柄まで比較検討できます。
マンション売却を依頼する不動産会社の選び方・注意点
複数の不動産会社から査定結果が集まると、今度は「どの会社に依頼するか」を決める段階です。ここで注意したいのは、単純に一番高い査定価格を提示した会社を選ぶのが正解とは限らない、ということです。
信頼できるパートナーを見極めるためには、価格だけでなく、いくつかの重要なポイントをチェックする必要があります。以下に、会社選びの具体的な注意点を解説します。
エリアでの実績を確認する
不動産会社を選ぶ際は、その会社があなたのマンションの所在地エリアでどれくらいの販売実績を持っているかを必ず確認しましょう。
不動産売却は、その土地の相場観や顧客層をどれだけ深く理解しているかが成功を左右します。全国展開している大手だからといって、必ずしもそのエリアに精通しているとは限りません。逆に、地域密着型の中小企業が圧倒的な情報網と実績を持っているケースも多々あります。
査定を依頼した際には、「このマンションや周辺エリアでの取引実績はありますか?」と直接質問してみてください。具体的な実績をすぐに提示でき、地域の魅力や最新の市場動向について詳しく語れる担当者は、そのエリアに強い証拠です。その地域ならではの強みを的確に買主へアピールしてくれるため、より良い条件での売却が期待できます。
仲介手数料の値引き交渉はしないほうがいい
売却時には数十万〜百万円以上になることもある仲介手数料。少しでも安くしたいと考えるのは自然ですが、安易な値引き交渉はしないでおきましょう。
仲介手数料は、不動産会社があなたのマンションを売るための広告宣伝費や人件費、そして成功報酬です。この手数料を値切ってしまうと、不動産会社の利益が減り、販売活動への熱意が下がる可能性があります。広告費を十分にかけられなくなったり、他の正規手数料の顧客が優先され、あなたの物件への対応が後回しにされたりする恐れがあるのです。
結果として、売却まで時間がかかったり、交渉力が弱まって買主から値下げ要求を受け入れざるを得なくなったりしては本末転倒です。手数料を数万円値引くよりも、正規の料金を支払い、担当者に気持ちよく働いてもらって、物件を数十万円高く売ってもらうほうが、最終的に手元に残るお金は多くなります。
迷ったら担当者の人柄で選ぶ
査定価格や販売戦略に大きな差がなく、どの会社に依頼するか決めかねてしまった場合は、最終的に「この人になら任せられる」と心から思える担当者かどうかで判断しましょう。
マンション売却は、契約すれば終わりではありません。販売活動が始まってから売買契約、そして引き渡しまで、数ヶ月にわたる長い付き合いになります。その間、内覧の調整や価格交渉の報告、さまざまな手続きの相談など、担当者とは密に連絡を取り合うことになります。
こちらの質問に迅速かつ丁寧に答えてくれるか、メリットだけでなくデメリットも正直に伝えてくれる誠実さがあるか、そして何より、あなたの大切な資産を託すパートナーとして信頼できるか。最終的には、数字やデータだけでは測れない「人柄」や「相性」が、ストレスなく満足のいく売却活動を行えるかどうかの鍵となります。
マンションの売却は大手と中小どちらに依頼するべきか
不動産会社の選択において、「大手」と「中小(地域密着型)」のどちらが良いかという疑問を多くの人が抱いています。それぞれにメリット・デメリットがありますが、結論としては、会社の規模よりも「その物件やエリアに強い会社か」が重要です。
大手不動産会社は、知名度の高さによる安心感や、豊富な広告費を活かした集客力が魅力です。一方で、営業スタイルが画一的であったり、担当者の異動が頻繁だったりして、必ずしもそのエリアに深い知見があるとは限らない側面もあります。
それに対し、中小・地域密着型の会社は、そのエリアに特化しているからこその強みがあります。長年の営業活動で築いた独自の顧客網や、地域の特性を熟知した上での的確な価格設定・販売戦略は、大手には真似できない大きなメリットです。一軒一軒の売却に真摯に向き合ってくれる、親身で小回りの利く対応も期待できます。
広告力に不安を感じるかもしれませんが、近年は不動産ポータルサイトが普及したため、会社の規模による情報格差はほとんどなくなりました。会社のブランド名だけで判断せず、査定時の提案内容やエリアでの実績をしっかりと見極め、最適なパートナーを選びましょう。
