今回は、既存不適格建築物について解説します。
既存不適格建築物とは
既存不適格建築物とは、建築当時は合法であったが、後に法改正が行われたことにより現行の法律に適合しない建物を指します。
これらの建物は、現行法では不適合と見なされますが、建築当初は合法であったため、「違法建築物」とは異なり、法的には違法ではありません。
既存不適格建築物に対しては、建て替えや増改築、大規模修繕、模様替えを行う場合、基本的には現行法に適合する形で改修が求められます。
建築確認や完了検査が行われた建物でも、これらの検査はあくまで建築当時の法令に適合しているかどうかを確認するものであり、現行法に適合していない場合があります。そのため、所有者が自分の建物が既存不適格建築物であることに気付いていないケースも少なくありません。売却時には十分な注意が必要です。
既存不適格建築物の具体例
・容積率の超過
建築当時、容積率が300%であったものの、後に規制が変更されて200%に引き下げられた場合など、容積率が引き下げられたことで、現行法では容積率を超えている可能性があります。
容積率を超過している建物はそのまま使用することは可能ですが、建て替えを行う際には、従来の規模での建築は認められません。
・地区計画の影響
区画整理事業以前から存在していた建物については、区画整理後に新たに策定された地区計画の影響で、既存不適格となる場合があります。地区計画では、外壁後退や高さ制限、外壁の制限など、さまざまな制限が定められています。
地区計画策定前の建物がその規制に適合しているかどうかを確認することは、必ず行わなければなりません。
・耐震基準の変更
耐震基準は、1981年5月31日までに建築確認申請を受けて建てられた建物を「旧耐震」、1981年6月1日以降に建築確認申請を受けて建てられた建物を「新耐震」と呼びます。
旧耐震基準に基づいて建てられた建物は、現行の耐震基準に適合していないため、既存不適格建築物となります。
既存不適格建築物を売却する際の注意点
既存不適格建築物は、建築当時は合法であったため、売主が現行法に適合しているかどうかを判断するのが難しく、売却後に既存不適格建築物であることが判明するリスクがあります。
その場合、売主は契約不適合責任を問われる可能性があるため、注意が必要です。
耐震基準については、建築確認申請日を確認することで、既存不適格建築物かどうかを判別できます。そのため、旧耐震の建物を売却する際には、「旧耐震であること」を必ず買主に伝えるようにしましょう。
また、容積率についても現行法の規定を確認し、売却予定の建物が容積率を超過していないかを確認することが重要です。
【容積率(%)=延べ床面積÷敷地面積×100】
ただし、その他の既存不適格建築物かどうかの判断は非常に難しいため、建物を売却する際には、既存不適格である可能性があることを契約書や重要事項説明書に記載しておくと安心です。
まとめ
今回は、既存不適格建築物について解説しました。
違法建築物とは異なり、既存不適格建築物自体は違法ではありませんが、建て替えや増改築時に制約が生じることがあります。
また、現行法に照らして違法と見なされるため、違法建築物と誤解して割安で売却してしまうこともあるため、十分な注意が必要です。
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