マンションなど不動産の売却には、5つの方法があります。どの方法を選ぶかによって、手元に残る金額や売却までの期間が大きく異なるため、売却方法の違いを理解しておくことが重要です。
本記事では、5つの売却方法について解説します。それぞれの違いを理解し、自分に適した方法を選ぶ際の参考にしてください。
目次
不動産の売却方法は主に5種類

不動産の売却方法と聞くと、不動産会社に依頼して買主を探す「仲介」をイメージする方が多いかもしれません。しかし実際には、売却の手段は大きく分けて5種類あります。
それぞれの仕組みや特徴を把握しておくことで、自分の状況に最も合った方法を選びやすくなります。ここでは、各売却方法の基本的な仕組みとポイントを順に見ていきましょう。
仲介売却
仲介売却とは、不動産会社に依頼して買主を探してもらう、最も一般的な売却方法です。不動産会社は売主と買主の間に入り、物件の広告掲載や内覧対応、契約手続きなどを代行します。
最大のメリットは、市場価格に近い高値での売却を狙える点です。不動産ポータルサイトやレインズ(不動産流通標準情報システム)に物件情報を掲載し、幅広い購入希望者にアプローチできるため、適正価格での取引が期待できます。
一方で、買主が見つかるまでに3〜6カ月程度の期間を要するのが一般的です。物件の立地や価格帯、市場動向によっては、さらに長期化する場合もあります。内覧対応や価格交渉といった手間がかかる点も、事前に理解しておきたいところです。
「時間がかかっても、できるだけ高く売却したい」方に適した方法です。仲介での具体的な売却の流れや、かかる費用・手取りのシミュレーションなどの全体像は【関連記事:はじめてのマンション売却完全解説】で詳しくご紹介しています。
不動産買取
不動産買取は、不動産会社が売主から直接物件を購入する方法です。仲介のように買主を探す必要がないため、最短で数日〜数週間での売却が可能です。スピードを最優先したい方に適した方法です。
また、内覧対応が不要で、契約不適合責任が免除されるケースが多い点も特徴です。売却に伴う手間やリスクを抑えやすい方法といえます。
ただし、不動産会社は買い取った物件を再販して利益を得るため、買取価格は仲介売却の7〜8割程度になる傾向があります。
リースバック
リースバックとは、自宅を売却した後、買主と賃貸借契約を結び、そのまま同じ家に住み続けられる方法です。
「まとまった資金は必要だが、引っ越しはしたくない」方に適した方法です。老後資金の確保や住宅ローンの返済負担軽減を目的として利用されるケースが多く見られます。また、子どもの学区を変えたくない、近隣の人間関係を維持したいという方も少なくありません。
注意点としては、売却価格が市場相場よりやや低くなる傾向があること、また売却後は毎月の家賃が発生します。賃貸借契約の期間や更新条件は業者によって異なるため、契約内容を事前にしっかり確認することが重要です。
家賃が高めに設定されるケースもあり、数年で売却代金を使い切ってしまう可能性があります。また、定期借家契約の場合は契約期間満了後に退去が必要になるため、契約内容やリスクを事前に理解しておくことが重要です。
任意売却
任意売却は、住宅ローンの返済が困難になった際に、金融機関(債権者)の同意を得たうえで物件を売却する方法です。ローンの残債が売却価格を上回る「オーバーローン」の状態でも売却が可能になる点が、最大の特徴といえます。
住宅ローンの返済が滞ると、最終的に競売にかけられるリスクがあります。競売では市場価格の5〜7割程度でしか売却できないことが多く、売主にとって不利な条件になりがちです。しかし、任意売却であれば市場に近い価格で売却できる可能性が高く、残債の返済計画についても金融機関と交渉する余地が生まれます。
ただし、金融機関との調整が必要なため手続きは複雑で、任意売却に精通した不動産会社のサポートが不可欠です。
また、住宅ローンの滞納に伴い、信用情報機関に事故情報が登録される可能性があります。
リノベ売却
リノベ売却とは、売却前に物件のリフォームやリノベーションを行い、付加価値を高めたうえで売却する方法です。築年数が経過して設備や内装が古くなった物件でも、適切なリノベーションを施すことで、購入希望者への訴求力を高められます。
特に築20年以上の中古マンションでは、水回りや内装の老朽化が購入検討者の大きな懸念材料になりがちです。リノベーションによって物件の印象改善につながり、相場以上の価格で売却できる可能性があります。
一方で、リノベーション費用や工事期間が必要になるため、売却完了までの期間は長くなる傾向があります。工事期間中も固定資産税や管理費・修繕積立金が発生するため、負担が大きくなる点にも注意が必要です。
また、リノベーション内容が市場ニーズと合わなければ、費用を回収できません。工事期間中にマンション市場が冷え込むリスクもあるため、不動産会社としっかり相談することが大切です。
リノベ売却は魅力的な方法ですが、どのようなリノベーションが市場に受けるかを見極めるのは高度な専門知識が必要です。一心エステートは、都心エリアのバリューアップ売却に豊富な実績があり、独自のノウハウで「費用を抑えつつ、少しでも高く売れるリノベプラン」をご提案できます。
一戸建てとは違う!マンション売却方法を選ぶ「3つの特殊事情」

マンションの売却方法を決める際には、一戸建てにはない「マンション特有の事情」を考慮する必要があります。特に以下の3つのポイントは、売却の手取り額やスピードに影響します。
売却活動中も毎月かかる「管理費・修繕積立金」
仲介やリノベ売却で売却期間が長引くと、居住していない場合でも管理費や修繕積立金の支払いは継続します。特にリノベ売却は「工事期間(1〜3カ月)」に加えて「売却期間(3〜6カ月)」のダブルで維持費がかかるため、手取りが減少するリスクを計算に入れる必要があります。
買取業者にとって「マンションは買いやすい」
マンションは一戸建てと比べて査定基準が明確な傾向があり、買取価格の提示や交渉が比較的スムーズに進むケースがあります。
一戸建てと比べると、「境界線トラブル」や「雨漏りなど建物固有の不具合」に関するリスクが比較的少ない点が理由として挙げられます。また、同一マンションや周辺エリアの取引事例が豊富なケースも多く、不動産会社が査定価格を算出しやすい傾向があります。
リースバック時の管理費・修繕積立金はどうなる?
マンションをリースバックした後も、管理費や修繕積立金を負担することになるケースが多く見られます。

リースバックすると、所有権が業者に移るため、管理費・修繕積立金の支払義務は、原則として新たな所有者(買主である業者)に移ります。しかし、その負担分は「毎月の家賃」に上乗せされて高くなるのが一般的です。管理費・修繕積立金として支払うわけではなく、相当額が賃料設定に反映されるのです。
マンションの売却方法を比較

5つの売却方法について、それぞれの特徴を一覧表にまとめました。自分にとって優先度の高い項目に注目しながら、各方法の違いを確認してください。
| 項目 | 仲介売却 | 不動産買取 | リースバック | 任意売却 | リノベ売却 |
| 売却価格の目安 | ◎ 高値が期待できる(市場相場通り) | △ 相場の7〜8割(業者の再販利益分低い) | △ 相場の7〜8割(家賃設定との兼ね合い) | ○ 競売より高値(相場の8〜9割狙い) | ◎ 付加価値で高値狙い(相場以上も可) |
| 売却スピード | 3〜6カ月程度(買主探しに時間がかかる) | 最短数日〜数週間程度(業者が直接購入) | 1〜2カ月程度(手続きは比較的早い) | 1〜3カ月程度(金融機関との調整による) | 4〜9カ月程度(工期+仲介期間) |
| 仲介手数料 | あり(上限:価格の3%+6万円+税) | なし(仲介手数料不要)(業者と直接取引のため) | なし(仲介手数料不要)(業者と直接取引のため) | あり(売却代金から差し引かれる) | あり(上限:価格の3%+6万円+税) |
| 主な諸費用 | ・印紙税・登記費用(抵当権抹消) | ・印紙税・登記費用(抵当権抹消) | ・印紙税・登記費用(抵当権抹消)・毎月の家賃・更新料 | ・印紙税・登記費用(抵当権抹消)・滞納分の管理費等 | ・印紙税・登記費用(抵当権抹消)・リノベーション工事費 |
| 売却中の維持費※マンション特有 | ・管理費、修繕積立金(売れるまで自己負担) | なし(すぐに引き渡せるため) | なし(売却後は家賃負担へ移行※) | ・管理費、修繕積立金(売却代金から精算可) | ・管理費、修繕積立金(工期+売却中も発生) |
| 住み続けられるか | ×(引き渡し後は退去) | ×(引き渡し後は退去) | ◎ 賃貸として継続居住 | ×(引き渡し後は退去) | ×(工事・売却時は退去) |
| 手続きの手間 | △ 多い(内覧対応や書類準備) | ◎ 最少(内覧なし、契約もスムーズ) | ○ 比較的少ない(内覧なし、賃貸契約あり) | △ 多い(金融機関との交渉・書類) | × 非常に多い(プラン決めや施工管理) |
| こんな人におすすめ | 時間がかかってもとにかく高く売りたい方 | 周囲に知られず即座に現金化したい方 | まとまった資金が必要だけど今の家から引っ越したくない方 | 住宅ローンの返済が厳しいが競売を避けたい方 | 築古でも投資を回収し付加価値をつけて売りたい方 |
※リースバック後のマンションの管理費・修繕積立金は、一般的に「所有者(購入した業者)」が支払うことになりますが、その分が売主の支払う「毎月の家賃」に上乗せされて設定されるケースが多い点に注意が必要です。
目的別|どの売却方法を選ぶべきか
比較表を踏まえると、目的別の選び方の目安は次のとおりです。
- 高く売りたい → 仲介売却が有力
- 早く売りたい → 買取が有力
- 住み続けたい → リースバック
- ローン問題を解決したい → 任意売却
- 築古物件に付加価値をつけたい → リノベ売却
ただし、実際の売却では複数の条件が絡み合うことがほとんどです。「高く売りたいが期限もある」「住み続けたいが資金面に不安がある」など、一つの条件だけでは判断しきれないケースも少なくありません。
迷ったときは「買取保証」という選択肢も

「仲介で高く売りたいけれど、いつ売れるか分からないのは不安」
「買取のスピード感は魅力的だけど、相場より安くなってしまうのはもったいない」
このように、仲介と買取のどちらを選ぶべきか決めきれない方におすすめなのが、両者のいいとこ取りができる「買取保証付き仲介(買取保証)」という方法です。
買取保証の仕組み
買取保証とは、「一定期間(一般的には3カ月程度)は仲介として市場で高く売り出し、万が一その期間内に買い手が見つからなかった場合は、あらかじめ約束していた価格で不動産会社が買い取る」という売却方法です。
| 【ステップ①:仲介期間(約3カ月)】 まずは「仲介」で市場価格での高値売却にチャレンジ! (売れ残ってしまった場合はステップ②へ) 【ステップ②:買取を実行】 事前に約束した「保証価格(相場の7〜8割)」で不動産会社が確実に買い取り |
買取保証を選ぶ3つのメリット
- 「いつ売れるか分からない」不安を解消できる
仲介売却の最大の弱点はスケジュールが読めない点ですが、買取保証なら「最長でも〇カ月後には確実に現金化できる」という期限が確定します。そのため、新居の入居時期が決まっている住み替え(買い先行型)の資金計画が非常に立てやすくなります。
- ギリギリまで高値売却のチャンスを残せる
最初から買取を選んでしまうと相場の7〜8割の価格になってしまいますが、買取保証なら、最初の数カ月間は市場価格での売却を狙えます。市場条件が合えば、仲介として市場価格に近い売却が実現する可能性があります。
- 住み替えローンの審査が通りやすくなる
新居のローンを組む際、今のマンションがいくらで・いつ売れるかが確定していないと、金融機関の審査が厳しくなることがあります。買取保証をつけて「最低でも〇〇万円で売れる」という証明(保証書)があれば、金融機関によっては、資金計画の見通しが立ちやすくなることで審査上の安心材料となる場合があります。
注意しておきたいポイント
買取保証を利用する場合、最終的な「保証価格」は通常の買取と同等(相場の7〜8割程度)になります。また、不動産会社側も「売れ残ったら自社で買い取る」というリスクを負うため、どの物件でも引き受けてくれるわけではありません。基本的には、一定の需要が見込める駅近マンションなどで利用されることが多い手法です。
「高く売りたい」という希望と、「期限までに確実に売りたい」という安心感を両立させたい方は、不動産会社に「買取保証は可能か」を一度相談してみると良いでしょう。
マンション売却の流れ|方法選びから引き渡しまで

マンション売却は、大きく分けて以下のステップで進みます。方法によって期間や手順の細部は異なりますが、全体の骨格はほぼ共通です。
① 売却方法を選ぶ
まずは「仲介」「買取」「リースバック」「リノベ売却」のどれが自分の状況に合うかを見極めます。売却の目的・希望時期・住み替え計画によって最適な方法は変わるため、この段階での判断がその後の満足度を大きく左右します。
② 査定を受ける
不動産会社に査定を依頼し、売却価格の目安を把握します。複数社に依頼して比較するのが基本です。仲介なら「いくらで売り出せるか」、買取なら「いくらで買い取ってもらえるか」と、方法によって査定の意味合いも変わります。
③ 媒介契約・売買条件の決定
仲介の場合は不動産会社と媒介契約を結び、売り出し価格や販売戦略を決定します。買取やリースバックの場合は、提示された条件(価格・賃料・契約期間など)を確認し、合意できれば契約へ進みます。
④ 売却活動・買主の決定
仲介では内覧対応や価格交渉を経て買主を見つけます。買取・リースバックでは不動産会社が直接買主となるため、このステップが大幅に短縮されるのが特徴です。
⑤ 売買契約の締結
買主が決まったら、重要事項説明を受けたうえで売買契約を締結します。手付金の受領もこのタイミングです。
⑥ 決済・引き渡し
残代金の受領、鍵の引き渡し、所有権移転登記を行い、売却完了です。仲介では契約から引き渡しまで1〜2カ月ほどかかるのが一般的ですが、買取なら最短1〜2週間で完了するケースもあります。
仲介・買取・リースバックの違いを比較

ここからは特に検討されることの多い「仲介」「買取」「リースバック」について、具体的な比較項目ごとに解説していきます。
価格で比較
売却価格の目安を高い順に並べると、以下のようになります。
仲介 > リースバック > 買取
仲介売却は市場で広く買主を募るため、需給バランスに応じた適正価格での取引が期待できます。
リースバックは「住み続けられる」というメリットがありますが、売却価格は相場をやや下回るのが一般的です。
買取は確実性とスピードの対価として、価格面では最も低い水準となります。ただし、仲介手数料が不要なため、実際の手取り額で比較するとその差は多少縮まります。
売却スピードで比較
売却完了までの期間は、買取が最も早く、条件が合えば最短1週間〜数週間で現金化が可能。すでに購入先が決まっている住み替えや、相続に伴い早期に処分したいケースなどで選ばれています。
リースバックは買取に次いでスピーディーで、おおむね1〜2カ月程度が目安。買取と同様に不動産会社や専門業者が直接購入するため、一般の買主を探す工程が省略されます。
仲介売却は、物件の売出しから成約までに3〜6カ月程度かかるのが一般的です。人気エリアの物件や適正価格での売出しであれば早期に決まることもありますが、市場環境や価格設定によっては半年以上を要する場合もあります。
住み替えや老後との相性で比較
住み替えを伴う売却では、新居の購入時期と売却時期のタイミングが極めて重要です。
仲介売却の場合、売却完了のタイミングが読みにくいため、「売り先行」か「買い先行」かの戦略を事前に決めておく必要があります。資金計画の確実性を重視するなら売り先行、希望の新居を逃したくないなら買い先行が基本的な考え方です。
買取であれば売却時期を確定しやすく、住み替えスケジュールが立てやすいという利点があります。
リースバックは住み替えとは異なり、「自宅に住み続けながら資金を確保する」という独自のポジションが特徴です。老後の生活資金確保や、相続対策としての活用ニーズが近年増加しています。将来的に買い戻しが可能な契約もあるため、一時的な資金需要への対応策としても有効です。
手間・内覧対応で比較
売却に伴う手間の違いも、方法選びの重要な判断材料となります。
仲介売却では、購入希望者による内覧対応が必須です。室内の清掃や整理整頓、スケジュール調整、場合によってはホームステージング(家具や小物で室内を演出する手法)の準備など、一定の手間と時間がかかります。
買取は内覧が原則不要で、手続きも比較的シンプルです。手間を最小限に抑えたい方にとって最も負担の少ない方法です。
リースバックも買取と同様に不動産会社が直接取引相手となるため、一般的な内覧対応は発生しません。ただし、賃貸借契約の条件交渉や、将来の買い戻し条件の確認など、契約面での検討事項はあります。
また、リノベ売却の場合は、リノベーションの計画立案・施工管理・費用管理が加わるため、5つの方法の中で最も手間がかかります。不動産会社やリノベーション会社との連携が不可欠であり、ワンストップでサポートしてくれるパートナー選びが重要です。
目的別|あなたに合う売却方法の選び方

売却方法の違いは理解できても、「結局、自分にはどれが合うのか」が最も知りたいポイントではないでしょうか。ここでは目的別に、おすすめの売却方法を解説します。ご自身の状況に近いものを確認してみてください。
少しでも高く売りたい人 → 仲介
「時間に余裕があるので、できるだけ高い価格で売却したい」という方には、仲介売却が適しています。市場で広く買主を募ることで、需要と供給のバランスに基づいた適正価格、またはそれ以上での成約が期待できます。
成功のポイントは、適切な売出し価格の設定と信頼できる不動産会社の選定です。相場を無視した高値設定は売れ残りリスクを高め、結果的に値下げを繰り返すことで逆効果になることもあります。複数社から査定を受け、根拠のある価格設定を行うことが大切です。
急いで売却したい人 → 買取
転勤・離婚・相続など、売却に期限がある場合は買取が有力な候補です。確実に期限内の売却が見込めるうえ、契約不適合責任の免除や内覧不要といったメリットもあります。
価格面の差が気になる場合は、一定期間仲介で売出し、期限内に成約しなければ買取に切り替える「買取保証」を検討しましょう。
売却後も住み続けたい人 → リースバック
「自宅を手放したくないが、まとまった資金は必要」という方に合うのがリースバックです。とくに以下のようなケースで活用されています。
- 老後資金を確保しつつ、住み慣れた家に住み続けたい
- 住宅ローンの返済負担を軽減したい
- 子どもの学区変更を避けたい
- 将来的に買い戻す可能性を残しておきたい
契約条件(賃料・契約期間・買い戻し条件)は業者によって大きく異なるため、複数社への相談・比較が不可欠です。
住宅ローン返済に困っている人 → 任意売却
住宅ローンの返済が難しくなった場合、放置すれば競売に進む可能性があります。任意売却は競売よりも有利な条件で売却でき、残債についても金融機関と返済計画を協議できるため、生活再建の第一歩となります。
また、マンションならではの注意点として、住宅ローンの返済が難しい場合、管理費や修繕積立金も滞納しているケースが多いです。滞納金は買主に引き継がれてしまうため、仲介で売却するのは難しいと考えられます。任意売却では金融機関が認めれば、マンション売却代金から滞納分の精算が可能です。
任意売却を成功させるには、早期の相談が極めて重要。滞納が長期化するほど競売手続きが進み、任意売却に充てられる時間が短くなります。返済に不安を感じた段階で、任意売却を視野に入れて検討を始めましょう。
築古マンションを高く売りたい人 → リノベ売却
築20年以上のマンションは、設備や内装の老朽化により、そのままの状態では買い手がつきにくいケースも少なくありません。しかし、市場ニーズに合ったリノベーションを行うことで、物件の魅力を大幅に向上させ、相場以上の価格での売却を実現できる可能性があります。
リノベ売却で成功するためのポイントは、以下の5点です。
- ターゲット層に合わせたリノベーション計画を立てること
- リノベーション費用と売却価格の差額で十分な利益が見込めることを事前に試算すること
- マンションの「管理規約」と「構造」を事前に確認すること(防音のルールや、壊せない壁があるため)
- 共用部分(エントランスや外観)の築古感はカバーできない点を理解すること
- リノベーションから売却までワンストップで対応できる不動産会社を選ぶこと
自己判断でリノベーション内容を決めると、市場ニーズとかけ離れた仕上がりになり、かえって売却が長期化するリスクもあります。必ず、売却実績のある不動産会社と相談しながら進めましょう。
一心エステートでは、高値売却のための効果的なリフォームについてノウハウを持ち合わせています。ぜひお気軽にご相談ください。
マンションには「管理規約」があり、床の防音規定や間取り変更の可否が定められています。そのため、希望通りのリノベーションができないケースもあり、注意が必要です。
どの方法が最適か迷った場合は、まず複数社に査定を依頼し、それぞれの方法で提示される条件を比較するのが現実的です。1社の提案だけで判断せず、複数の選択肢の中から検討することが、後悔のない売却につながります。
売却方法選びで失敗しない3つのポイント
ここまで各売却方法の特徴と選び方を解説してきましたが、どの方法を選ぶにしても共通して押さえておきたいポイントがあります。売却後に「あの方法にすればよかった」と後悔しないために、以下の3点を意識してみてください。
価格だけで決めない
売却方法を選ぶ際、最も重視されがちなのが「いくらで売れるか」という価格面。もちろん売却価格は重要な要素ですが、それだけを基準にすると判断を誤る場合があります。
たとえば、仲介売却で高値を狙ったものの、売却が長期化して住み替え先の購入タイミングを逃してしまうケース。あるいは、維持費や固定資産税の支払いが続き、結果的に手取り額が目減りしてしまうケース。こうした事態は決して珍しくありません。
売却価格に加えて、売却にかかる期間・諸費用・税金・住み替え後の生活設計まで含めたトータルの資金計画で判断することが、満足度の高い売却につながります。
なお、マイホーム(居住用不動産)の売却では、譲渡益(売却益)から最大3,000万円を控除できる特例が使えるケースがあります。売却価格だけでなく、「税金を差し引いた最終的な手取り額」で比較することが重要です。
住み替えスケジュールから逆算する
「新居の入居日までに売却を完了させたい」「子どもの入学に合わせて引っ越したい」など、動かせない期限がある場合は、その期日から逆算して売却方法を選択する必要があります。
具体的には、仲介売却であれば成約まで3〜6カ月、その後の引き渡しまでにさらに1〜2カ月を見込むのが一般的。余裕をもったスケジュール設計が求められます。期限が迫っている場合は、買取や買取保証付き仲介を選択することで、スケジュールの確実性を高められます。
住み替えの全体像を把握したうえで売却計画を立てることが、スムーズな売却の前提条件です。
1社だけで決めない
不動産売却では、複数の不動産会社から提案を受けて比較することが非常に重要です。
査定価格は不動産会社によって異なります。同じ物件であっても、会社の得意エリアや販売戦略、抱えている顧客層によって、提示される金額や売却プランに差が出るのは自然なことです。1社の査定額だけを鵜呑みにして売却方法を決めてしまうと、より良い条件を見逃す可能性があります。
査定は無料で依頼できるのが一般的です。手間を惜しまず、納得のいくまで比較検討することをおすすめします。
不動産売却方法のよくある質問

不動産の売却方法に関して、多くの方が疑問に感じるポイントをQ&A形式でまとめました。検討段階でよくある質問を取り上げていますので、気になる項目をご確認ください。
Q. 一番高く売れる方法は?
一般的に高値での売却が期待できるのは仲介売却です。市場に広く物件情報を公開し、複数の購入希望者から申し込みを受けることで、競争原理が働きやすくなります。
ただし、築年数が経過した物件の場合は、リノベ売却によって付加価値を高めることで、そのまま仲介に出すよりも高い価格で売却できるケースもあります。物件の状態や立地によって最適な方法は異なるため、複数の方法で査定を受けて比較するのが確実です。
Q. 仲介と買取はどちらが得?
「得かどうか」は、何を優先するかによって変わります。
価格を優先するなら仲介が有利。市場価格に近い水準での売却が見込めます。一方、スピードや確実性を重視する場合は、買取が適しているケースがあります。
なお、仲介では仲介手数料が発生しますが、買取では不要となるケースが一般的です。手数料や諸費用を差し引いた手取り額では、両者の差は見かけの売却価格ほど大きくならない場合もあります。売却の目的と優先順位を明確にしたうえで判断することが大切です。
Q. 売却しながら住み続けられる?
はい、住みながら売却活動を進めることが可能です。実際、マンション売却では、住みながら内覧対応を行い、買主が決まったタイミングで引っ越すケースが多いです。
売却中は普段どおり生活できますが、購入希望者の内覧に備えて室内を整理整頓したり、スケジュール調整を行ったりする必要があります。また、売買契約後も引き渡し日までは住み続けられるため、新居探しや住み替え準備を並行して進めやすい点も特徴です。
一方、売却後も同じ家に長く住み続けたい場合は、「リースバック」という方法もあります。自宅を売却した後に賃貸借契約を結ぶことで、所有権は移転するものの、そのまま居住を継続できます。ただし、毎月の家賃が発生し、契約条件の確認が必要です。
Q. 住み替えではどの方法がおすすめ?
住み替えの場合、スケジュールの確実性と資金計画の安定性のどちらを重視するかで最適な方法が変わります。
時間に余裕があり、売却資金を新居の購入費用に充てたい場合は、仲介売却の「売り先行」が基本です。一方、新居の購入時期が決まっている場合は、買取や買取保証付き仲介で売却時期を確定させる方法が安心です。
いずれの場合も、売却と購入を一括で相談できる不動産会社を活用すると、スケジュール調整がしやすくなります。
また、住み替えで『どうしても先に新居を買いたい』という場合は、売却前でも売却益を見込んで先行購入できる特殊な住宅ローンを利用する方法もあります。詳しくは【関連記事:住み替えで先行購入が可能な仕組み】をご覧ください。
Q. 築古マンションでも高く売れる?
築年数が古いマンションでも、立地やリノベーション内容によっては高値売却が期待できるケースがあります。
近年は中古マンションの需要が高まっており、特に都心部や人気エリアでは、築20〜30年のマンションでも活発に取引されています。リノベーション済みの物件は購入後すぐに入居できる手軽さから、一定の購入層に根強い人気があります。
ただし、リノベーションの費用対効果は物件ごとに大きく異なります。費用を回収できる見込みがあるかどうか、売却実績のある不動産会社に事前相談のうえ判断するのが賢明です。築5年を超えたものから、築10年目くらいまでがおすすめです。築5年以内だと、売却して利益が出た時にかかる譲渡所得税の税率が高くなるため、5年を超えてからの売却がお得といえます。築10年くらいでは、外観も内装もキレイで、売り出した時の反響が大きい物件が多いです。
まとめ|自分に合う売却方法を選ぶことが成功の鍵

ここまで売却方法の違いを解説してきましたが、実際には「高く売りたい」「早く売りたい」「住み替え時期が決まっている」など、複数の条件が重なるケースがほとんどです。
たとえば同じマンションでも、「仲介が向く人」と「買取保証の方が安心な人」では選択肢が異なります。また、査定額や販売戦略は不動産会社によって差が出るため、1社だけの提案では判断が難しい場合も少なくありません。
マンション売却では「仲介向きだと思っていたが、実際は買取保証の方が条件に合っていた」「査定額や販売方針が会社ごとに大きく異なった」というケースも少なくありません。売却方法の判断は、実際の査定内容を比較しながら進めることで、選択ミスを防ぎやすくなります。
後悔のない売却につなげるためには、まず自分の状況でどの売却方法が現実的かを把握することが重要です。
不動産売却は、多くの方にとって人生で数少ない大きな決断。正しい知識と適切なパートナー選びで、納得のいく売却を実現してください。
