住まいとして人気のタワーマンション(タワマン)のなかでも、特に都心部の物件は人気が高いです。
しかし、一部の中古物件は新築より売れにくいようです。中古のタワマンが売れない理由や、売却を検討するのであれば早期に売却した方がよい理由をお伝えします。
目次
中古のタワマンが売れない理由
中古のタワーマンションが売れない理由としては、中古でも価格が高い点や立地が良くない点などさまざまあります。
中古のタワマンが売れにくいかどうか、売れにくくなる理由について詳しく見ていきましょう。
中古のタワマンは売れにくいのか
タワマンは新築マンション市場では売れている傾向にありますが、中古になると売れにくくなります。
誰も入居したことがなくても築年数が1年経過している未入居物件や、築年数が1年未満でもすでに一度誰かが入居している築浅物件は中古の扱いになります。
中古のタワマンが売れにくくなる理由
中古のタワマンが売れにくくなる理由として、主に下記のような理由が考えられます。
- 立地・景観が良くない
- 築年数が古い
- 中古でも価格が高い
それぞれの理由について、対策とともに見ていきましょう。
立地・景観が良くない
中古のタワマンが売れにくくなる理由として、立地・景観が良くない点が挙げられます。駅や学校から遠い立地や工業地帯など眺望が良くない場合は、なかなか買い手がつかないでしょう。
また、購入時は利便性の高い地域でも周辺環境の変化によって眺望が変わってしまったり、学校が遠くなってしまったりする可能性もあります。タワマンを購入する際にはゆくゆく売却も見据えて物件を選定しましょう。
加えて、タワマン周辺の都市開発などの情報が入手できると、将来的に高額で売却できるかどうか判断材料になります。
築年数が古い
中古タワマンは築年数が古くなるほど売れにくくなります。東日本不動産流通機構(レインズ)の情報によると、東京都の中古マンションで成約される割合が高い築年数は築5年〜築20年となっています。
出典:東日本不動産流通機構(レインズ)「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)」
特に大規模修繕が行われる約15年後には大きく下がりやすいです。タワマン購入時点で売却も視野に入れている場合は、築年数が浅い段階での売却を検討することが対策になります。
中古でも価格が高い
中古のタワマンといっても、立地や条件の良い物件であれば価格が高いため、売れにくくなります。
中古マンションの購入を検討している人は、安く買いたいという心理があります。タワーマンションを検討する人は収入が高いケースが多く、中古マンション自体が検討外です。
中古のタワマンは早期に売ったほうがいい?
タワマンは駅周辺や都市開発が行われている地域に立地することが多く、利便性が良いです。また眺望の良さのほか、共用スペースが充実していたり、セキュリティがしっかりしているのもメリットといえます。
そのため、ファミリー層や都心の利便施設を重視するシニアなどにおすすめの物件です。
中古になったタワマンは、早期に売却したほうが良いといわれています。
タワマンを早期に売ったほうがいい理由
中古のタワマンを早期に売却したほうが良い理由としては、下記の3つが挙げられます。
- 築古だと高額な修繕費用がかかる
- タワマンは住人が多いのでストレスがたまる
- 低層階だと日当たりが悪い
それぞれの理由について、詳しく見ていきましょう。
築古だと高額な修繕費用がかかる
引用:国土交通省 令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査
中古のタワマンが売れにくい理由として、築年数が15年以上経過している場合は、大規模修繕が直近に迫っている可能性が高く、修繕費が割高になりやすいです。
国土交通省の令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査では、マンションの大規模修繕は1回目が平均で約15年経過後に実施しており、2回目、3回目になるにつれ修繕周期が短くなっています。
そのため、築年数が古いほど大規模修繕が必要になる機会が増え、毎月発生する修繕費も増加していきます。教育資金や老後資金の貯蓄が必要な世代にとっては修繕費の増加は受け入れ難いでしょう。もちろん売りにくくもなります。
タワマンは住人が多いのでストレスがたまる
タワマンとは一般的に20階以上の超高層マンションを指しますが、戸数も通常のマンションに比べると多く、沢山の人が住んでいるためストレスがたまりやすい環境です。通常のマンションよりも軽量に作られているため、生活音などが聞こえやすいです。
そのため、騒音トラブルに発展する可能性があるでしょう。また、地上階へ降りるまでに時間がかかったりといったことも頻繁にあります。低層のマンションや一軒家では感じることのないストレスを抱えてしまうでしょう。
低層階だと日当たりが悪い
タワマンといえば高層階で日当たりがいい部屋が人気ですが、低層階で日当たりが悪い場合は中古のタワマンでもより売れにくいです。タワマンを購入するメリットとして、日当たりや眺望の良さが挙げられます。
低層階では周辺の建物などで日陰になりやすく、眺望も良いとはいい難いです。すぐに地上階に降りられるなどのメリットもありますが、売却してもなかなか買い手がつきにくいでしょう。
タワマン売却は不動産会社選びが重要
売れにくい中古のタワマンを売却するには、不動産会社選びが重要です。ここでは、不動産会社選びが重要な理由と、選び方や注意点について詳しく見ていきましょう。
中古のタワマン売却で不動産会社選びが重要な理由
中古のタワマン売却で不動産会社選びが重要な理由は、一般的な住宅と比較して高額な取引になる点やタワマン特有の市場動向がある点です。
専門的な知識や経験が豊富な不動産会社であれば適正な価格で売買してもらえるほか、早期に買い手が見つかるような戦略やネットワークをもち合わせています。
タワマンでなかなか売却できないのは価格設定が誤っていたり、購入意欲の高い顧客にアプローチできていなかったりが考えられます。タワマンの売却実績が豊富な不動産会社を選ぶと良いでしょう。
タワマン売却を依頼する不動産会社の選び方・注意点
中古のタワマンを売却するには不動産会社選びが重要であることが分かりました。では、中古のタワマン売却を依頼する場合における不動産会社の選び方や注意点について詳しく見ていきましょう。
買取保証つきの会社を選ぶ
中古のタワマンを売却するためには買取保証つきの不動産会社を選ぶと良いでしょう。買取保証つきとは、仲介で売れなかった場合にあらかじめ取り決めていた額で不動産会社が買い取ることです。
中古のタワマンは売れにくいため、仲介のみだといつ売却されるのか分からず次の住まいの準備や引っ越しなども進められません。買取保証つきであれば早く現金化できるので、売却後の計画も立てやすいです。ただし、仲介に比べ安値で売却になるケースが多い点に留意しましょう。
タワマン売却が得意な会社を選ぶ
中古のタワマンを売却するには、タワマン売却が得意な会社を選びましょう。不動産会社といっても、マンションの売却が得意なところや賃貸物件を主に取り扱っているところなどさまざまです。
物件の種類ごとに得意不得意があるため、タワマンを主に取り扱っている不動産会社を選ぶと良いでしょう。また、タワマンは特有の市場動向があり、専門知識も必要になります。検討している不動産会社がある場合は、これまでにタワマンの売却実績がどのくらいあるのかをあらかじめ調べておきましょう。
複数の不動産で査定を受ける
中古のタワマンを売却するには、1つの不動産会社だけに査定するのではなく、複数の不動産会社から査定を受けて比較しましょう。
タワマンの査定は査定方法などが不動産会社によって異なり、同じ物件でも査定額が変わる可能性があります。
最低でも2〜3社程度査定してもらい、比較してみると良いです。また、自分でも周辺にあるタワマンの相場を把握することで適正な価格設定ができます。
高田 一洋(たかだ かずひろ)
一心エステート株式会社代表取締役 不動産コンサルタント
【保有資格】宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/損害保険募集人資格/管理業務主任者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/住宅金融普及協会住宅ローンアドバイザー/相続診断士
1983年福井県生まれ。金沢大学工学部を卒業後、大手コンサルティング会社に入社、4年間、新規事業の立ち上げや不動産会社のコンサルティング業務に従事する。その後、当時の取引先リストグループに惹かれ入社。不動産仲介営美・営業管理職・支店長を経て、さらなる理想を追求するために一心エステートを創業。創業当初から金融機関・不動産会社へのコンサルティングを行い、ARUHI住み替えコンシェルジュでセミナー講師等を務める。豊富な不動産知識に加え20代で身に付けたコンサルティング技術、ファイナンス(お金・投資の知識)をもとに、東京都心の不動産仲介実績を積み上げている。2023年に著書「住んでよし、売ってよし、貸してよし。高級マンション超活用術: 不動産は「リセール指数」で買いなさい」を出版。