「マンションは何階に住むかで快適さが変わる」といわれるほど、階数選びは重要です。騒音、災害リスク、虫の出やすさ、周囲の目線など、住んでみて「気にしておけばよかった」と後悔した人も少なくありません。
そこで各階ごとのメリット・デメリットを比較しながら、「避けた方がいい階」と「自分に合った階」の選び方のコツをわかりやすく解説します。
目次
マンションの階別メリット・デメリット、住んではいけない人
マンションの階数によって、住み心地や利便性には大きな違いがあります。
低層階は玄関からの出入りがスムーズで、災害時にも避難しやすいという安心感がありますが、日当たりや防犯面で不安を感じる人もいます。反対に上層階は、眺望の良さや騒音の少なさが魅力ですが、エレベーターが混雑しやすかったり、風が強く洗濯物が飛ばされやすかったりといった悩みもあります。
どの階が合うかは、日々の生活で何を重視したいかによって大きく変わります。それぞれのメリットとデメリットについて、詳しくみていきましょう。
1階のメリット・デメリット
マンションの1階は、出入りがしやすく生活動線が良いことから、小さな子どもがいる家庭や高齢者に人気があります。専用庭のある物件も多く、戸建て感覚で暮らせる点も魅力です。
一方で防犯性や湿気、日当たりの問題など、住む人によってはデメリットが気になる場合もあります。
1階のメリットは以下のとおりです。
- 階段やエレベーターを使わないため出入りがしやすい
- 小さな子どもや高齢者にとって安心な動線
- 専用庭やテラス付きの物件もあり、のびのびと過ごせる
- 上階からの水漏れ被害が起こりにくい
続いてデメリットも見てみましょう。
- 通行人の視線が気になり、カーテンを開けづらい
- 空き巣被害など、防犯面のリスクが高め
- 湿気やカビが発生しやすく、虫も入りやすい
- 洪水・浸水などの災害リスクが最も高い
生活スタイルや地域環境によって向き不向きが分かれるため、1階を選ぶ際は、防犯対策や湿気対策の有無をしっかり確認することが大切です。
住んではいけない人
1階は利便性が高く、子育て世帯や高齢者には暮らしやすい環境ですが、誰にでも向いているとは限りません。ライフスタイルや性格によっては、1階の特徴がストレスの原因になることもあります。
特に以下のような人は、1階を選ぶ際に慎重な検討が必要です。
- 日中、カーテンを開けて開放的に過ごしたい人
- 外からの視線に敏感な人やプライバシーを重視する人
- 防犯意識が高い単身女性や高齢者
- 湿気やカビに敏感な体質・アレルギー体質の人
- 浸水などの災害リスクに不安を感じる人
このような項目に該当する場合、快適に過ごせなかったり、安心して過ごせなかったりするため、1階ではなく他の階を検討するほうが安心です。
低層階のメリット・デメリット
2〜3階程度の低層階は、利便性と安心感のバランスが取れており、子育て世帯や高齢者にも人気があります。ただし、上層階と比べると見劣りする点もあるため、自分の暮らし方に合うかどうかを見極めることが大切です。
まずは低層階のメリットから見てみましょう。
- エレベーターを使わなくても出入りしやすい
- 階段での移動も無理がなく、災害時にも避難しやすい
- 子どもの足音などの生活音が階下に響きにくい
- 高層階に比べて管理費や修繕積立金が抑えられる傾向がある
続いて、デメリットも確認しておきましょう。
- 日当たりや眺望は上層階に比べて劣る
- 通行人の声や車の音が部屋に届きやすい
- 周囲の建物や植栽で視界が遮られることがある
これらの特徴をふまえて、何を優先したいかを整理しておくことが重要です。
住んではいけない人
低層階は生活しやすい反面、静かな環境や開放感を重視する人にはあまり向いていません。たとえば、外の騒音に敏感な人や、見晴らしのよい景色を楽しみたい人にとっては、日常的なストレスを感じやすくなる可能性があります。また、プライバシーを確保したい人にとっても、通行人の目線や周囲の建物が気になってしまうことがあります。
さらに、防災意識の高い人や、地震・洪水などのリスクを心配する人にとっては、さらに上層階のほうが安心材料が多いと感じるでしょう。日当たりや眺望、外部環境への敏感さが暮らしの質に直結する人は、低層階は避けたほうが無難です。
中層階のメリット・デメリット
おおむね4~8階にあたる中層階は、利便性と快適性のバランスが取れた階層です。上階ほどエレベーターを待たずに済み、1階ほど外の視線や防犯面の不安も少なくなります。
中層階のメリットを挙げてみます。
- 外の視線が届きにくく、プライバシーを保ちやすい
- 日当たり・風通しともに安定している
- 階段でも避難できる程度の高さで、災害時にも安心
- エレベーター利用時の混雑が比較的少ない
続いて、デメリットも見てみましょう。
- 高層階ほどの眺望や静けさはない
- 建物や周辺環境によっては採光が制限される場合も
- 上階と比べるとプレミア感が薄く、資産価値は標準的
中層階は万人向けといわれることも多く、家族世帯や在宅ワーカーにもバランスの取れた選択肢です。ただし、周囲の建物の影や騒音状況によって快適性が変わるため、現地の確認が重要です。
住んではいけない人
中層階はバランスの良さが魅力です。しかし、絶対に高い場所からの景色を楽しみたい人や、静けさを何より重視する人にとっては、やや物足りなさを感じる可能性があります。
また、災害時に階段の上り下りが難しい高齢者や、車椅子利用者などバリアフリーを重視する方は、万が一の際にエレベーターが使えない場合に備え、より低層階を選んだほうが安心です。
さらに、ペットを飼っていて頻繁に外に出る方や、小さな子どもと一緒に暮らす家庭は、外出のたびにエレベーターを利用する中層階がやや不便に感じることもあります。ライフスタイルや優先順位に応じて判断しましょう。
上層階のメリット・デメリット
上層階は、マンションの中でも人気が高いフロアです。特に眺望や日当たり、静けさを重視する人にとって魅力的な選択肢となります。
上層階のメリットは次のとおりです。
- カーテンや窓を開けたときの景色が楽しめ、日当たりや風通しが良好
- 車や通行人の騒音が少なく、静かな暮らしがしやすい
- 虫が入りにくく、衛生的に保ちやすい
- 資産価値が高く、売却時に有利になりやすい
一方、デメリットは次のようなことが考えられます。
- エレベーターに頼る生活となり、災害時に不便
- 家賃や購入価格が高めに設定されやすい
- 荷物の運搬や引っ越しに時間と費用がかかる
- 高所恐怖症の人や小さな子どもがいる家庭では不安がある
上層階は快適さや特別感が得られる一方で、ライフスタイルによっては不便さを感じる場面もあるため、事前にしっかり検討することが大切です。
住んではいけない人
上層階は眺望や静けさなどに優れています。しかし、高所が苦手な人にとっては、窓の外を見るたびに不安やストレスを感じることがあります。
また、小さな子どもがいる家庭や高齢者のいる世帯では、非常時の避難に時間がかかるうえ、日常的な外出時にもエレベーターへの依存が大きいため、動線を不便に感じやすいかもしれません。
そのほか、防災意識が高く「いざというときにすぐ逃げたい」と考える人にとっても、上層階は不安を感じるでしょう。快適さよりも利便性や安心感を重視する人には、上層階は不向きです。
マンションの階を選ぶときに失敗しないコツ
マンション選びでは「どの階に住むか」がとても重要です。階数によって日当たりや騒音、眺望、防犯性、災害時のリスクまで大きく変わるためです。購入後に思っていたのと違う、と後悔しないために、自分の暮らし方や価値観に合った階を選ぶことが大切です。
ここでは、自分にとって何を優先すべきかを整理する方法や、災害リスク・日当たりの見極め方、将来的な資産価値についてまで、階選びで失敗しないためのポイントを紹介します。
モデルルームの印象だけに左右されず、総合的に判断するためのヒントをチェックしてみましょう。
マンションに求める優先順位を決める
階数選びで迷ったときは、まず自分にとって何が大切かを明確にすることが大切です。
たとえば、小さな子どもがいる家庭なら階段の上り下りが少ない低層階が便利ですし、日当たりや眺望を重視するなら上層階が向いています。騒音が気になるなら中層階という選択もあります。
「通勤のしやすさ」「静かな環境」「防犯性」など、何を優先したいのかを家族で話し合っておくと、階数だけでなく間取りや立地選びも含め、物件選びに一貫性を持てるでしょう。
周辺環境と災害リスクをチェックする
マンションの階数を選ぶ際には、建物そのものだけでなく、立地のリスクも見逃さないようにしましょう。
たとえば川沿いや低地に建つマンションの1階や2階は、台風や大雨の際に浸水被害を受けることがあります。また、地震の揺れやすさや液状化リスクなども地域によって差があります。
購入前にはハザードマップや自治体の防災情報を確認し、万が一のときに備えた視点で階数を検討することが大切です。災害リスクが少ない立地であれば、低層階でも安心して暮らせると判断できるケースもあります。
日当たり・眺望・風通しをモデルルームだけで判断しない
モデルルームは、一般的には理想の条件で設計されており、実際の住居とは異なることがあります。特に日当たりや眺望、風通しは、階数や方角、周囲の建物の影響によって大きく変わるポイントです。
「高層階=眺めが良い」とは限らず、隣に高い建物があれば視界が遮られることもあります。購入予定の部屋がモデルルームと違う階・向きであれば、必ず現地での確認を行いましょう。
図面や眺望シミュレーションだけで判断せず、実際の状況を自分の目で確かめることが失敗しないコツです。
将来の資産価値も視野に入れて階数を選ぶ
マンションの階数は、将来的な資産価値にも影響します。一般的に中層〜上層階のほうが人気があり、売却や賃貸に出す際に有利になる傾向があります。特に眺望や日当たり、静かさなどの条件がそろっている部屋は需要が高く、価格も安定しやすいです。
一方で、1階や低層階は流動性がやや低く、値下がりしやすい場合もあるため注意が必要です。
住居として長く住むつもりでも、将来の売却や相続を視野に入れておくと万が一のときにも安心です。購入前に周辺エリアの資産価値の傾向や、過去の価格推移も確認しておくとよいでしょう。