世田谷区のタワマンは働き方改革やコロナ禍に伴うテレワークの普及により、人気が再燃しています。また周辺地域では再開発が進行中で、今後住宅ニーズはより高まると予想されます。
実際、公示地価は年々高騰しており、すでにタワマンを持っている方にとっては売りどきでもあるでしょう。
かつて都内でも有数の高級住宅街として知られた東京都世田谷区。近年はさらに注目されるようになり、世田谷区内のタワマンの購入を検討する人も多いようです。なぜ今、世田谷区のタワマンに注目が集まっているのでしょうか。
目次
世田谷区ってどういうところ? エリアの特徴や住みやすさを紹介
東京都世田谷区は、2024年時点で人口約92万人と、東京でも規模が大きな地方公共団体(自治体)のひとつです。東京23区内では大田区に次ぐ広さの面積を誇り、世田谷地域、北沢地域、玉川地域、砧地域、烏山地域の5地域で構成されています。
世田谷区の各所には京王線や井の頭線、小田急線といった私鉄が数多く乗り入れており、都心へのアクセスは良好です。その一方で緑も多く、周辺には公園や商業施設も数多く点在していることから、長らく閑静な住宅街として人気を集めてきました。
参考:世田谷区「世田谷区の人口と世帯数」
時代の流れとともに人気が一時下落
かつて都心に通勤する人のベッドタウンとして人気を集めた世田谷区ですが、その人気は長く続いていたわけではありません。
総務省が実施した「平成25年住宅・土地統計調査」の結果によると、世田谷区の空き家数は大田区に次いで多い5.3万戸だったことが報告されています。
参考:東京都住宅政策本部「空き家の現状と取組」
人気住宅街だった世田谷区で多数の空き家が発生した理由は、大きく分けて2つあります。
ひとつは、時代の流れに伴う住宅ニーズの変化です。以前は、駅から遠い物件ほど都会の喧噪から離れ、静かで住みやすいという考えが定着していました。
しかし、共働き世帯が増加して家で過ごす時間が少なくなった今では、通勤や買い物に便利な駅チカ物件へのニーズが急増。私鉄が中心で、都心までやや時間のかかる世田谷区の人気が低迷する原因のひとつになりました。
もうひとつは、世田谷ブランドならではの物件の高騰です。高級住宅街として人気を博してきた世田谷区の物件は、人気の高さに比例して価格も高騰し、手が届きにくいエリアとなってしまいました。
一方で、日本の景気は長らく低迷を続けており、高級住宅街である世田谷を諦め、ほかのエリアを選ぶ人が増えてきたという背景があります。
コロナ禍を機に注目を集める世田谷区
世田谷区は以前から人気の高い住宅地として知られ、近年も注目を集めています。その背景として挙げられるのが、働き方改革と新型コロナウイルス感染症の流行です。
働き方改革とコロナ禍の影響を受けて、ここ数年で多くの企業がテレワークを導入するようになりました。新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行した今では、多くの企業がオフィスへの出社を再開していますが、テレワークとのハイブリッドスタイルを導入している会社も多いようです。
在宅勤務の増加に伴い、閑静な住宅環境を求める人が増え、世田谷区のような閑静で住みやすい住宅街が注目を集めるようになったと考えられます。
再開発が人気の後押しに
世田谷区の人気が高まっている背景には、再開発による後押しもあります。
たとえば三軒茶屋駅の周辺では、商業・業務・文化など多様な機能を備える拠点を築くためのまちづくりが進められています。
また下北沢駅の周辺は「商業や文化などの地域資源を生かした拠点」、二子玉川駅の周辺は「自然環境、暮らし、にぎわいの調和を図れる拠点」という位置づけでまちづくりが進んでいます。
こうした世田谷エリアの広域にわたる再開発は、企業や人を呼び込む大きな要因となり、住宅ニーズが高騰する一因にもなっているようです。
なお、再開発は今後も進んでいく見込みで、将来的にはさらに人気が上昇することが予想されます。
世田谷区の公示地価とマンション価格
世田谷区の最近の公示価格およびマンション価格について解説します。
公示地価
世田谷区の直近3年の公示地価は、以下のように推移しています。
2022年:64万600円/m²
2023年:65万5,800円/m²
2024年:68万2,700円/m²
以上のデータを見ると、ここ3年で世田谷エリアの公示地価が年々上昇していることがわかります。
参考:国土交通省「令和4年地価公示」「令和5年地価公示」「令和6年地価公示」
世田谷区内のマンション価格
世田谷区におけるマンション(用途地域や間取り、築年数の制限なし/成約時期1年以内)の価格(取引情報)は、約600万~1億6,800万円となっています。
一般的に駅から近く、かつ専有面積が広い物件ほど価格が高い傾向にあるようです。
なお、築年数が古い物件が1億円以上で取引されているケースもあります。
世田谷区内で人気のタワーマンション
世田谷区内には複数のタワーマンションがありますが、ここでは特に注目されている物件を3つご紹介します。
1. 二子玉川ライズタワーアンドレジデンスタワーウエスト
二子玉川ライズタワーアンドレジデンスタワーウエストは、地上28階建て、総戸数283戸の規模を誇るタワーマンションです。
最寄り駅である二子玉川駅からは徒歩約6分の好立地にあります。駅からは車の通行がない歩行者専用通路があり、安心・安全に行き来できるところが特徴です。
なお、二子玉川駅には東急大井町線と東急田園都市線が乗り入れており、渋谷駅や自由が丘駅などにもアクセスしやすいでしょう。
また24時間有人管理体制を導入しているほか、ICカードシステムも完備するなど、セキュリティ対策がしっかりとなされています。
さらに共用施設も充実しており、ゲストルームやフィットネスルームのほか、キッズルームやラウンジ、コンシェルジュサービスといったホテル並の設備・サービスを備えているところも魅力です。
2. ザ・パークハウス三軒茶屋タワー
ザ・パークハウス三軒茶屋タワーは、三軒茶屋駅から徒歩9分の場所にある地上30階建てのタワーマンションです。
総戸数は158戸で各室の間取りは1LDK~3LDK、面積は41~121m²台と多種多彩なラインナップとなっています。国道に面しているため自動車でのアクセスもしやすい物件で、地下には防犯カメラ付きの駐車場が60台分確保されています。
さらに共用施設として、眺望のよいビューラウンジやゲストルームが設置されており、住民も来客も快適に過ごせると評判です。
また、日々の暮らしや生活をサポートするコンシェルジュサービスも提供。困ったときに頼りになる存在が常駐していることから、若年層だけでなくシニア層にも人気の高い物件となっています。
3. エルザ世田谷
エルザ世田谷は千鳥烏山駅から徒歩7分のところにある、総戸数366戸、29階建てのタワーマンションです。
市街地の環境の整備改善に資すると認められる総合設計制度採用のマンションとなっており、タワマンでありながら近隣付近の街並みと調和した構造になっているところが特徴です。
共用施設として、ホテルのフロンサービスに似たレセプションサービスや、グランドピアノが設置されているプレミアラウンジ、ゲストに泊まってもらえるゲストスウィートなどを完備。
また東に向かって大きく開かれたコーナーウインドウからは、新宿から渋谷方面を一望できる素晴らしい眺望を堪能できます。
マンション周辺は長年かけて植樹された多彩な緑に囲まれているほか、駐輪場の屋根や中低層棟の屋上の一部を緑化するなど、癒やしの外観を意識しているところも魅力です。

一心エステート株式会社代表取締役 不動産コンサルタント
【保有資格】宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/損害保険募集人資格/管理業務主任者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/住宅金融普及協会住宅ローンアドバイザー/相続診断士
1983年福井県生まれ。金沢大学工学部を卒業後、大手コンサルティング会社で新規事業立ち上げや不動産会社のコンサルティング業務に4年間従事。その後、リストグループで不動産仲介営業・営業管理職・支店長を経て、一心エステート株式会社を創業。創業当初から金融機関・不動産会社へのコンサルティングを行い、東京都心を中心に不動産仲介実績を積み上げている。2023年に著書「住んでよし、売ってよし、貸してよし。高級マンション超活用術: 不動産は「リセール指数」で買いなさい」を出版。