近年、不動産投資の選択肢としても注目を集めているタワーマンション。
都心の一等地に位置することが多いタワーマンションは、資産価値が高く投資対象として魅力的に見えます。
しかし、本当にタワーマンション投資は収益性の高い投資なのでしょうか。タワーマンション投資のメリット・デメリットを詳しく解説し、成功するためのポイントを詳しく紹介します。
目次
タワマン投資のメリットとデメリット
不動産投資において、タワーマンションは他の物件とは異なる特徴を持っています。
そのため投資する判断を行う前に、その特徴を理解することが重要です。
タワーマンション投資における主要なメリットとデメリットについて、詳しく解説していきます。
タワマン投資の5つのメリット
タワーマンション投資には、他の不動産投資にはない独自の利点があります。
これらの特徴を理解することで、投資判断の材料として活用できます。
資産価値の維持
タワーマンションの大きな特徴の一つは、資産価値が比較的維持されやすい点です。
一等地に建設されることが多く、立地の価値が下がりにくいことがその主な理由です。
また、建物自体の品質が高く、経年劣化にも強いため、築20年を超えても価格が大きく下がらないケースも少なくありません。
特に都心部の大規模タワーマンションは、建物自体のブランド価値も相まって、長期的な資産価値の維持が期待できます。
高所得者層への需要
タワーマンションの主な需要層は、経済的に余裕のある高所得者です。
安定した収入を持つ会社経営者や専門職の方々が多く入居するため、家賃の滞納リスクが比較的低いことが特徴です。
また、外資系企業の役員や駐在員などの需要も根強く、良質な賃貸需要が見込めます。
相続税対策効果
都心部のタワーマンションは相続税対策としても効果的です。
不動産の評価額は土地と建物に分かれており、建物部分の評価額は経年による減価償却の影響を受けます。
タワーマンションは建物部分の割合が高いため、相続税評価額を低く抑えられるといわれています。
さらに、賃貸運用による収入も相続税対策に活用することが可能です。
立地の優位性
タワーマンションは、交通の便が良く利便性の高い場所に多く建設されています。
そのため駅から徒歩圏内であることが多く、商業施設やオフィス街にも近接しているため、安定した賃貸需要が期待できます。
また、眺望の良さやステータス性も、物件の価値を高める要因となっています。
充実した設備・セキュリティ
最新のタワーマンションには、24時間体制の警備システムや高機能なオートロック、防災設備など、充実したセキュリティシステムが標準で装備されています。
また、共用施設としてフィットネスジム、ラウンジ、キッズルームなどが併設されていることも多く、これらの付加価値は一般的なマンションにはないメリットです。
特に、そのタワーマンションにしかない設備や施設がある場合は、入居者への良いアピールポイントとなります。
タワマン投資の3つのデメリット
メリットがある一方で、タワーマンション投資にはデメリットも存在します。
投資の判断をする際は、以下のリスクを考えて慎重に対応してください。
高額な初期投資
タワーマンション投資の最も大きいデメリットは、購入時に必要となる資金が極めて高額になることです。
都心部にある物件では1億円を超えることも珍しくありません。高額な投資は融資の審査も厳しく、投資家が参入しにくい原因となっています。
また、頭金の準備も通常の不動産投資より高額となるため、資金計画を綿密に立てることが大切です。
低い投資利回り
タワーマンションの賃貸利回りは、一般的な不動産投資と比較すると低めの傾向があります。
これは購入価格が高額である一方で、賃料収入がそれに比例して高くなりにくいためです。
日本不動産研究所のデータによると、賃貸住宅一棟(ファミリータイプ)の期待利回りは4〜5%となっています。
一方、タワーマンションの実質利回りは2〜3%程度にとどまることも少なくないようです。
ただし、この低い利回りは物件の資産価値の安定性と価格がトレードオフ(得るものと失うもののバランス)の関係にある、といえるでしょう。
リスク分散の難しさ
タワーマンション投資は初期投資の金額が高額なため、複数物件への分散投資が困難です。
一つの物件に投資が集中すると、空室リスクや賃料下落リスクの影響をダイレクトに受けやすくなります。
また、建物の大規模修繕は基本的に物件の所有者が負担するため、予想以上の費用負担が発生する可能性も考慮しておきましょう。
タワマン投資の収益性は本当に高い?
タワーマンション投資の収益性を正確に把握するためには、さまざまな要素を総合的に判断する必要があります。
ここでは、タワーマンションの実際の収益性について詳しく見ていきましょう。
期待できる利回りの相場
タワーマンションの投資利回りは、立地や物件の特性によって大きく異なります。
都心にある超高層タワーマンションの場合、表面利回りは3〜4%程度、実質利回りは2〜3%程度が一般的です。
これはアパート投資の利回り(6〜8%)と比較すると低い数値ですが、その分、安定性や将来的な資産価値の維持が期待できます。
維持費用の詳細
タワーマンションの維持費用は、物件の規模や設備によって異なりますが、一般的に以下のような費用が発生します。
まず、月々の管理費は専有面積1㎡あたり200〜500円程度が相場です。仮に専有面積が80㎡の場合は、16,000円〜40,000円となります。
これに加えて、タワーマンションは修繕積立金として管理費と同程度の金額が必要です。
また、固定資産税や都市計画税なども考慮する必要があり、賃料収入から差し引かれる経費となるため、投資計画を立てる際は必ず試算しましょう。
実質的な収支計算方法
タワーマンションで実質的な収支を計算する場合は、以下の要素を考慮する必要があります。
収入面では、月額賃料に加えて、駐車場使用料などの付帯収入も考慮しなくてはいけません。
一方、支出面では管理費、修繕積立金、固定資産税などの経常的な支出に加えて、将来的な修繕費用や空室損失なども含みます。
計算式としては、年間の家賃収入-年間経費-ローンの返済金額-税金(修繕費が発生した場合は追加)で、大まかな収支を確認できるでしょう。
成功するタワマン投資家の特徴
タワーマンション投資で成功を収めている投資家には、いくつかの共通点が見られます。
ここでは、成功するためのポイントを詳しく解説していきます。
投資計画の立て方
不動産投資で成功する投資家は、長期的な視点で投資計画を立てています。
具体的には、10年以上の長期保有を前提とし、その間の収支計画を詳細に立てることが重要です。
また、自己資金の割合を一定以上確保し、無理のないローン返済計画を立てることも成功のポイントといえるでしょう。
タワーマンション選びにおいては、立地や建物のグレードだけでなく、管理組合の運営状況や修繕計画なども慎重に確認することが大切です。
物件管理のポイント
良好な物件管理は、安定した家賃収益を確保するための重要な要素です。
入居者とのコミュニケーションを大切にし、クレームや要望には迅速に対応することで、長期の入居を促進することができます。
また、定期的な物件の点検や修繕を行い、資産価値の維持に努めることも重要です。
特にタワーマンションの場合、管理組合の話し合いにも積極的に参加し、建物全体の維持管理状況を把握しておくことが推奨されます。
失敗しないための心構え
タワーマンション投資で失敗しないためには、以下のような心構えが重要です。
- 無理な投資は避け、確実に返済できる範囲で投資を行う
- 短期的な利益を求めるのではなく、長期的な資産形成という視点を持つ
- 市場動向や経済情勢の変化に常に注意を払う
- 必要に応じて投資戦略の見直しを行う
上記のことを意識して投資を行うと失敗しにくくなるでしょう。
タワマン投資の出口戦略
タワーマンション投資の成功には、適切な出口戦略を持つことも非常に重要です。
ここでは、できるだけ損害が少ない状態で売却するためのポイントを解説します。
売却のタイミング
タワーマンションを売却するタイミングは、市場環境や物件の状態、個人の資金需要など、さまざまな要因を考慮して決定する必要があります。
一般的には、大規模修繕工事の完了後や、不動産市況が好調な時期は売却の好機といわれています。
また、物件の築年数が10年を経過する前に売却することで、より高値での売却が期待できる場合もあります。
想定される売却価格の計算方法
タワーマンションの売却価格を試算する際は、近隣の類似物件の取引事例を参考にすることが重要です。
また、築年数による減価償却や、大規模修繕の実施状況、管理状態など価格に影響を与える要因を考慮しなくてはいけません。
市場環境も売却価格に大きく影響するため、不動産市況の動向にも注意を払う必要があります。
売却時の注意点
タワーマンションの売却では、以下のような点を考慮しておきましょう。
- 譲渡所得税など売却時にかかる税金を把握しておく
- 金利や売却価格の変動リスクを想定しておく
- 仲介手数料など売却時の諸経費を現金で用意しておく
- タワーマンションの売却実績がある不動産会社を探す
上記で挙げた内容を考慮して、事前にきちんと計画を立てることが重要です。
不動産投資の初心者など自分で計画を立てられる自信がないときは、信頼できる不動産投資の専門家に相談してみましょう。
高田 一洋(たかだ かずひろ)
一心エステート株式会社代表取締役 不動産コンサルタント
【保有資格】宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/損害保険募集人資格/管理業務主任者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/住宅金融普及協会住宅ローンアドバイザー/相続診断士
1983年福井県生まれ。金沢大学工学部を卒業後、大手コンサルティング会社に入社、4年間、新規事業の立ち上げや不動産会社のコンサルティング業務に従事する。その後、当時の取引先リストグループに惹かれ入社。不動産仲介営美・営業管理職・支店長を経て、さらなる理想を追求するために一心エステートを創業。創業当初から金融機関・不動産会社へのコンサルティングを行い、ARUHI住み替えコンシェルジュでセミナー講師等を務める。豊富な不動産知識に加え20代で身に付けたコンサルティング技術、ファイナンス(お金・投資の知識)をもとに、東京都心の不動産仲介実績を積み上げている。2023年に著書「住んでよし、売ってよし、貸してよし。高級マンション超活用術: 不動産は「リセール指数」で買いなさい」を出版。