タワーマンションが暴落すると言われる理由は?平均価格の推移や今後の値動きを解説

タワーマンションはいずれ暴落するという話題を耳にしたことのある人も多いでしょう。特に再開発が進む東京の湾岸エリアでは、湾岸2024年問題により、不動産バブルがはじける可能性が指摘されています。

不動産価格指数や新築マンションの平均価格などのデータから、タワーマンションの今後の値動きについて解説します。

タワーマンションが暴落すると言われる理由

タワーマンションの中でも、2024年以降に暴落する可能性があるといわれているのが、東京都港区や中央区、江東区東部にかけて広がるエリアの湾岸タワマンです。これまで湾岸エリアは、積極的な再開発に伴い、マンション価格の上昇が続いてきました。

そんな湾岸タワマンが暴落するという説の根拠の1つが、いわゆる湾岸2024年問題です。湾岸2024年問題とは、湾岸エリアの大規模マンションの引き渡しが2024年上旬から一気にはじまることにより、首都圏のマンション市場に生じるであろうさまざまな問題を指します。

たとえば、2024年上旬に入居がはじまった大規模マンションには、総戸数2,786邸のパークタワー勝どきミッド/サウスや、東京オリンピック・パラリンピックの選手村を改修した晴海フラッグ(HARUMI FLAG)などが挙げられます。また2025年秋には、晴海フラッグの中心にSKY DUO(スカイデュオ)というタワー棟が新たに建設される予定です。

大規模マンションへの入居が殺到すると、引き渡しに合わせて引っ越しや住み替えが行われるため、大量の中古マンションが流通します。これによって、都内を中心にマンションが一時的な供給過多となり、マンション価格が下落するという予測を湾岸2024年問題と呼んでいます。

実際の首都圏の新築・中古マンションの値動きは?

湾岸エリアをはじめとした首都圏では、本当にタワーマンションの暴落が起きているのでしょうか。

ここでは、国土交通省が毎月公表する不動産価格指数や、全国宅地建物取引業協会連合会が取りまとめた不動産市場動向調査に基づいて、首都圏の新築・中古マンションの実際の値動きを紹介します。

マンションの不動産価格指数の推移

不動産価格指数とは、全国や地域ごとの不動産価格の変動を数値化したものです。この指数は、年間約30万件にも及ぶ実際の不動産取引価格を基に算出されています。

国土交通省によると、2023年5月から2024年5月までの関東地方のマンション(区分所有)の不動産価格指数は、以下の表の通りです。

不動産価格指数対前月比
2023年5月182.4▲0.9%
2023年6月184.90.8%
2023年7月183.9▲0.1%
2023年8月185.10.4%
2023年9月188.51.9%
2023年10月188.90.5%
2023年11月187.3▲0.7%
2023年12月191.42.4%
2024年1月193.41.5%
2024年2月193.50.4%
2024年3月191.8▲1.2%
2024年4月195.21.6%
2024年5月194.60.1%

マンションの不動産価格指数は、過去1年間にわたってゆるやかに上昇していることがわかります。2024年5月の不動産価格指数は194.6ポイントとなり、2023年5月から12.2ポイントの上昇です。

タワーマンションだけのデータではありませんが、国土交通省の不動産価格指数からは、マンション価格が暴落していることは読み取れません。

新築マンションの供給戸数と平均㎡単価

全国宅地建物取引業協会連合会の不動産市場動向調査によると、2024年7月の首都圏の新築マンションの平均価格は7,847万円です。

また供給戸数と平均㎡単価の推移は、以下の表の通りです。

供給戸数(前年比)平均㎡単価(前年比)
2023年7月14.2%50.6%
2023年8月26.4%19.3%
2023年9月4.1%0.6%
2023年10月▲46.3%1.5%
2023年11月▲4.3%42.5%
2023年12月3.8%23.5%
2024年1月56.6%15.3%
2024年2月▲27.6%6.8%
2024年3月0.5%▲43.2%
2024年4月▲42.5%3.6%
2024年5月▲19.9%▲5.5%
2024年6月▲12.8%17.0%
2024年7月▲42.3%▲17.0%

首都圏では、新築マンションの供給戸数が4カ月連続で前年を下回り、むしろ減少傾向にあることがわかります。

また、2024年7月の平均㎡単価は、2カ月ぶりに前年を下回り、前年比17%の減少となりました。しかし、2024年からは上がったり下がったりを繰り返しており、大幅な価格下落には至っていません。

中古マンションの成約件数と成約単価

一方、首都圏の中古マンションの成約件数と成約単価は、以下の表の通りです。

成約件数(前年比)成約単価(前年比)
2023年7月4.3%5.0%
2023年8月0.9%10.1%
2023年9月6.7%4.8%
2023年10月7.0%7.4%
2023年11月3.7%7.6%
2023年12月3.7%7.0%
2024年1月5.0 %11.2%
2024年2月3.4%9.9%
2024年3月10.7%8.7%
2024年4月10.1%11.3%
2024年5月3.9%7.5%
2024年6月4.8%7.9%
2024年7月▲1.3%9.8%

首都圏の中古マンション市場では、2024年7月の成約件数が前年を1.3%下回ったものの、過去12カ月にわたって伸び続けています。

また、成約単価も上昇しています。2024年7月の成約単価は、51カ月連続で前年を上回り、9.8%の増加となりました。

こうしたデータから、湾岸エリアなどの一部地域で価格下落の懸念はあるものの、首都圏のマンション全体で見ると、必ずしも暴落しているとはいえないことがわかります。

不動産価格と連動すると言われる株価は2024年に入って株高に

不動産価格と一定の相関関係があると言われる株価も、今後のタワーマンションの値動きを考える指標の1つです。一般的に株価が上昇すると、資産効果が投資者の心理に影響し、マンション価格も上昇する傾向にあるからです。

2024年1月から9月までの日経平均株価は、以下の表の通りです。

始値高値安値終値
2024年1月3万3,288.29円3万6,546.95円3万3,288.29円3万6,286.71円
2024年2月3万6,011.46円3万9,239.52円3万6,011.46円3万9,166.19円
2024年3月3万9,910.82円4万0,888.43円3万8,695.97円4万0,369.44円
2024年4月3万9,803.09円3万9,838.91円3万7,068.35円3万8,405.66円
2024年5月3万8,274.05円3万9,103.22円3万8,054.13円3万8,487.90円
2024年6月3万8,923.03円3万9,667.07円3万8,102.44円3万9,583.08円
2024年7月3万9,631.06円4万2,224.02円3万7,667.41円3万9,101.82円
2024年8月3万8,126.33円3万8,647.75円3万1,458.42円3万8,647.75円
2024年9月3万8,700.87円3万8,700.87円3万5,619.77円3万7,723.91円

2024年は株高でスタートし、2月には日経平均株価が34年ぶりに当時史上最高値を更新しました。その後、株価上昇はやや軟調となったものの、5月以降は3万8,000円台で推移しています。

株式市場の好調さは、少し遅れて不動産市場(マンション価格)にも波及するため、タワーマンションをはじめとしたマンション価格に影響する可能性があります。

ただし、8月5日には日経平均株価が急落し、ブラックマンデーを超える最大の下げ幅を記録した点には注意が必要です。また日本の不動産市場は地域性が強いため、株価の上昇が即座に全国の不動産価格と連動するとは限りません。

タワーマンションの売買を検討している方は、取り扱い実績が豊富な不動産会社に相談してみるとよいでしょう。専門家としての立場から、今後の値動きや暴落の可能性についてアドバイスを行うことが可能です。

また、売却を検討するのであれば、早期のタイミングでタワーマンション等の取り扱い実績の豊富な不動産会社に装弾しておくことをおすすめします。