マンションを賃貸に出すとき経費計上できる費用を解説!支出を減らすには?

マンションを賃貸に出すとき、どんな費用なら経費として計上できるのでしょうか。税金対策として支出を減らす方法を知っておくことで、収益を最大化できます。

賃貸経営における経費計上にはポイントがあり、うまく活用することで経営がぐっと楽になりますので、ぜひ参考にしてください。

マンションを賃貸に出すときに経費計上できる費用

所有するマンションを賃貸物件とする際には、以下の費用が経費として計上可能です。

減価償却費建物や設備の購入費用を耐用年数に応じて分割したものを計上
固定資産税・都市計画税所有不動産に毎年課税される税金
管理費・修繕積立金共用部分の維持管理や将来的な修繕のために管理組合に支払う費用
損害保険料火災保険や地震保険など、賃貸物件にかける保険の保険料
管理委託費賃貸物件管理を管理会社へ委託時に支払う費用
修繕費賃貸物件の設備・内装の修理と交換にかかる費用
ローン利息物件購入・リフォームで借り入れたローンの利息支払い充当分
測量費・登記費用不動産の測量や所有権移転登記などにかかる費用
税理士報酬確定申告や税務相談のために税理士に支払う報酬
広告宣伝費入居者募集のための広告掲載やチラシ作成にかかる費用

それぞれ詳しく解説していきます。

減価償却費

減価償却費とは、建物・設備の購入費用を耐用年数に応じて分割したもので、大家が経費として計上可能な費用です。

建物購入費用は一度に全額を経費にするのではなく、法定耐用年数にもとづいて毎年一定額を経費として計上します。耐用年数の目安は、木造住宅で22年、鉄筋コンクリート造で47年です。

購入費用を耐用年数で割ったものが、1年分の減価償却費となります。耐用年数(正式には法定耐用年数といいます)については、主な減価償却資産の耐用年数表|国税庁でご確認ください。

固定資産税・都市計画税

固定資産税・都市計画税は、所有する不動産に対して毎年課税される税金で全額経費として計上可能です。

標準税率は所有不動産の課税標準額の1.4%が固定資産税、0.3%が都市計画税です。課税標準額が2,000万円とした場合、固定資産税は28万円、都市計画税は6万円となります。

参考:東京都主税局

管理費・修繕積立金

管理費はマンションの共用部分の維持管理にかかる費用です。また、修繕積立金は将来必要になるであろう修繕のために管理組合に支払う費用で、管理費も修繕積立金も経費として計上可能です。

相場は月額1〜3万円です。

損害保険料

損害保険料に含まれるのは、火災保険・地震保険といった賃貸物件にかける保険の保険料です。これも経費として計上可能ですが、契約期間により計上方法が異なります。

  • 1年ごとの契約:全額経費計上可能
  • 長期契約の場合:契約期間で按分して計上

損害保険料は年間1~2万円程度が一般的でしょう。

管理委託費

管理委託費とは賃貸物件管理を管理会社に委託する場合に支払う費用で、全額を経費計上可能です。入居者対応や家賃収集、建物の維持管理などを委託する際の費用で、家賃の5~10%が相場です。

修繕費

修繕費とは賃貸物件の設備・内装の修理と交換にかかった実費で、給湯器やエアコンの交換・修理、壁紙張替えなどが該当します。

年間数万円から数十万円程度が一般的でしょう。

ローン利息

ローン利息は物件購入・リフォームで借り入れたローンの利息支払い充当分で、経費として計上可能です。

元金部分は経費計上できませんが、利息部分は経費として計上可能なので忘れず計上してください。年間数十万円から数百万円程度かかるケースが多いでしょう。

測量費・登記費用

測量費・登記費用は不動産の測量や所有権移転登記などにかかる費用で、これもすべて経費として計上できます。

測量費は数十万円、登記費用(登録免許税・司法書士報酬含む)が数万円から十数万円程度かかるのが一般的です。

税理士報酬

税理士報酬は確定申告や税務相談のために税理士に支払う報酬で、これも経費計上可能です。

不動産所得に関する税務処理を依頼する際の費用で、年間数万円から十数万円程度が一般的です。

広告宣伝費

広告宣伝費とは、入居者募集のための広告掲載やチラシ作成にかかる費用で、経費として計上可能です。賃貸情報サイトへの掲載料・広告代理店への支払いが該当します。

1回あたり数千円から数万円程度が一般的でしょう。

マンションを賃貸に出すときに売上計上される費用

所有マンションを賃貸物件とした場合に、売り上げとして計上する費用は以下のとおりです。

礼金大家に返還義務のない、借主から貸主へ謝礼として支払う一時金
敷金退去時の原状回復費用や未払い家賃の補填費用として入居時に借主から預かる保証金
契約更新料関東地方に多い費用で、賃貸契約の更新時に発生する費用
家賃物件の使用に対して毎月支払われる基本的な賃料
管理費・共益費共用部分の維持管理・清掃・保守に充てられる費用
駐車場の賃料物件に付随する場合に、貸し出す駐車スペースの賃料
駐輪場の賃料物件に付随する場合に、貸し出す駐輪スペースの賃料

それぞれ詳しく解説します。

礼金

礼金は入居時に借主から貸主へ謝礼として支払われる一時金で、大家に返還義務のない、売り上げ計上すべき費用です。

家賃10万円とした場合の礼金相場は、10〜20万円(家賃の1カ月もしくは2カ月分相当)です。

敷金

敷金は退去時の原状回復費用・未払い家賃補填費用として、入居時に借主から預かる保証金ですが、これも売り上げ計上します。

一般的には預り金として売り上げ計上し、退去時に修繕費として計上します。敷金の相場は家賃の1〜2カ月分です。

ただし、退去時の原状復帰のための修繕費用を上回った場合は、借主に返却されるべきものです。

契約更新料

契約更新料とは契約期間終了後に、更新する際に発生する費用で、関東地方で主に発生するものです。

一般的には、家賃の1カ月分もしくは2カ月分相当が多いでしょう。

家賃

家賃は物件の使用に対して毎月支払われる費用ですが、これも当然ながら売り上げとして計上します。

物件の立地・広さ・築年数・設備の充実度によるため、相場は物件ごとに適切な判断が必要です。

管理費・共益費

管理費・共益費は共用部分の維持管理・清掃・保守に充てられる費用で、これも売り上げとして計上します。

月額数千円から1万円程度が相場です。

駐車場の賃料

駐車場の賃料は物件に付随する場合に、貸し出す駐車スペースの賃料で、売り上げとして計上すべきものです。

相場は設備・立地により大きく異なるため、適宜判断・価格設定しなくてはなりません。

駐輪場の賃料

駐輪場の賃料も物件に付随する場合に貸し出す駐輪スペースの賃料で、売り上げ計上します。

月額数百円から数千円程度が相場でしょう。

マンションを賃貸に出すときの経費を抑えるポイント

自身が所有するマンションを、賃貸とする場合に経費を抑えて運営するには、以下の5つのポイントを押さえておくのが有効です。それぞれ詳しく解説していきます。

  • 減価償却費を正しく計算する
  • 評価額が適正か確認する
  • 管理費・修繕費の最適化を図る
  • 保険料の適正化を図る
  • 不動産会社に相談する

減価償却費を正しく計算する

減価償却費は、建物の取得価額と法定耐用年数にもとづいて計算すべきものですが、「中古物件は、耐用年数の計算方法が異なる」など条件が複雑な面もあります。

適切な減価償却を行うと、毎年の経費として節税効果が期待できます。

評価額が適正か確認する

固定資産税や都市計画税は、毎年の評価額にもとづいて課税されるので、評価額が適正でないと「過剰な税負担」となっています。

地方公共団体(自治体)の評価額に疑問がある場合、評価替えのタイミングで専門家に相談し対処を仰ぐことも有効ですので、ぜひ検討してください。

管理費・修繕費の最適化を図る

適切な業者選びや修繕計画は、マンションの管理や修繕にかかる費用を抑制するために大切です。複数社から見積もりを取り、サービス内容と費用を比較検討すると、無駄な支出を防げます。

保険料の適正化を図る

賃貸物件に必要な火災保険や地震保険などの保険料は、契約内容や保険会社によって大きく異なります。

定期的に保険内容を見直し、過剰な補償がないか確認して、保険料が削減できないか検討しましょう。また、長期契約の場合、経費計上の方法にも注意が必要です。

不動産会社に相談する

「ここまでお伝えした4つのポイントを自分で対処するのは難しい」「時間的余裕がない」場合には、プロとして信頼できる不動産会社に相談することをおすすめします。

最新の市場動向や節税対策・経費削減のアドバイスを得られます。また、物件のあるエリアに精通した不動産会社であれば、賃料最適化・空室対策も踏まえ、収益最大化のための提案も受けられるでしょう。