築30年のマンション購入で避けるべき後悔!売れない場合の対策も

築30年のマンションを買うと後悔する理由には、「想像以上にコストがかかる」など複数のパターンがあります。

築30年のマンションで後悔しやすいケースや、その対策を詳しく解説します。

築30年のマンションを買うと後悔する?

築30年のマンションを買って後悔しないためには、事前にどんなリスクがあるのかを把握しておくことが大切です。

実際によくある後悔のパターンを、3つのシーンに分けてご紹介します。

  • 想像以上にコストがかかって後悔するパターン
  • 建物の欠陥で後悔するパターン
  • 資産価値の低さで後悔するパターン

また、「あと何年安心して住めるのか?」「将来的に売却はしやすいのか?」といった、築年数の経ったマンションを選ぶ上で気になるポイントについても、あわせて解説していきます。

想像以上にコストがかかって後悔するパターン

コスト面での後悔には、

  • 修繕積立金に関する後悔
  • 設備の修理費用に関する後悔

があります。

修繕積立金が値上がりした

修繕積立金が徐々に値上がりすることを知らずに購入すると、毎月の維持費が家計を圧迫することがあります。

マンションの修繕積立金の積立方式には、大きく分けて

  • 【均等積立方式】計画期間中の修繕積立額を最初から最後まで均等にする方式
  • 【段階増額積立方式】修繕計画期間の開始当初は積立額を抑え、段階的に増額していく方式

の2種類があり、均等積立方式が全国のマンション全体の40.5%、段階増額積立方式が47.1%を占めています。(※)

購入を検討しているマンションが段階増額積立方式を採用している場合は、必ず値上がりの時期と金額を確認しましょう。

また、必要な修繕費用は建物の劣化の進行具合や物価の変動によっても変わっていくため、国土交通省は長期修繕計画を5年ごとに見直すよう推奨しています。

購入前には直近の総会議事録なども見せてもらい、最新の数字を確認してください。

(※)参考:国土交通省|令和5年度マンション総合調査結果からみたマンションの居住と管理の現状

設備の修理費用が高くついた

給湯器や浴室乾燥機など、住宅設備の寿命は約10年と言われています。

そのため、住み始めてすぐに故障する場合もあります。

建築当時の住宅設備は、すでに生産終了しているケースも多く、修理よりも交換のほうが現実的なことも多いでしょう。

個人間の売買契約では、3カ月間を契約不適合期間と定めることが多いため、3カ月以内の不具合なら売主の責任で修理・交換してもらえます。

建物の欠陥で後悔するパターン

建物の劣化や欠陥で後悔するのは、以下のようなケースです。

  • 配管の経年劣化により、水回りのトラブルが発生した
  • 専有部分の不具合が気になった

給排水管の劣化により、水回りのトラブルが発生した

築30年のマンションでは、給排水管の劣化によるトラブルも起こりやすくなります。

なぜなら、給排水管は交換を考える目安が30年と言われており、築30年のマンションは錆びや詰まりが発生しやすくなる時期と重なるからです。

こうしたリスクを避けるためには、「長期修繕計画に基づいて高圧洗浄を実施している」「具体的な交換工事の予定がある」など、適切な建物管理を実施しているマンションを選んでください。

専有部分の不具合が気になった

フローリングの床鳴りなど、購入後に不具合が発覚することもあります。

内覧時に部屋の状態を見ても、短時間ですべての不具合に気づくのは難しいでしょう。

その場合、「建物状況調査(インスペクション)」を実施している物件なら、目視で分からない不具合を知った上で購入するかどうか判断可能です。

参考:国土交通省|建物状況調査(インスペクション)活用の手引き

資産価値の低さで後悔するパターン

資産価値の低さで後悔するパターンは次の2つです。

  • 売りたくなっても買い手が見つからない
  • 売却価格が低い

売りたくなっても買い手が見つからない

築30年以上のマンションは、築年数が古いという理由だけで敬遠されることもあり、いざ売却となった時に時間がかかる場合があります。

売却価格が低い

仮に買い手が見つかったとしても、築年数が経っているからという理由で値引き交渉を受ける場合も少なくありません。

特に、立地や周辺環境で競争力が劣るマンションは、「価格でしか勝負できない」という状況に陥りやすくなります。

とはいえ、すべての築30年マンションが売却に不利というわけではありません。駅から近い、人気エリアにある、管理がしっかりしているといった物件は、築年数にかかわらず高いニーズがあります。

住める年数

築30年のマンションと聞くと、「あと何年住めるのだろう?」と不安な人もいるのではないでしょうか。

たとえば、鉄筋コンクリート(RC)造のマンションの法定耐用年数は47年とされていますが、これはあくまで減価償却の計算に用いるものであり、実際に住める年数を示しているわけではありません。

国土交通省の調査によれば、RC造のマンションの平均寿命は約68年とされています。(※1)

さらに、外壁の修繕や設備の更新といった適切なメンテナンスを継続的に行えば、100年以上の居住も可能だという意見もあります。(※2)

つまり、築30年のマンションでも、建物の管理状態が良好で必要な修繕が適切に行われていれば、あと30年〜70年ほど住み続けられる可能性があるということです。

(※1)参考: 国土交通省|期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について

(※2)参考:国土交通省|「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書取りまとめ後の取組紹介

築30年のマンションは本当に売れないのか?

「築30年のマンションは将来売れないのでは?」と考える人もいるかもしれませんが、立地や管理状態、リノベーションなどの付加価値があれば十分に売却できる可能性があります。

売却を前提に購入を検討している場合は、「どんな物件なら将来的に売りやすいか」まで見据えることが重要です。

物件選びや資金計画、買うべきタイミングについても、信頼できる不動産会社に相談しながらマンション購入を進めていきましょう。

築30年以上のマンションを購入するメリット

築年数が経過しているマンションには、新築や築浅物件にはないメリットがあります。

主なメリットを3つご紹介します。

価格が手頃である・値崩れしにくい

最大のメリットは、何と言っても価格でしょう。

東日本不動産流通機構のデータによると、築16〜20年のマンションの平均成約価格は5,250万円、築26〜30年は2,832万円、築31年以上は2,193万円です。

新築や築浅の物件に比べて建物価格が下がっている分、手頃な価格で購入可能です。

また、築16年から30年にかけて価格の下落幅が大きいのに対して、築30年を超えると価格の下げ幅が小さくなっているのが見て取れます。

つまり、築30年前後の段階で購入すれば、将来の売却損が出にくいといえます。

参考:公益財団法人東日本不動産流通機構|築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)

立地条件がよい

30年前に建てられたマンションは、

  • 駅徒歩圏内
  • ターミナル駅に出やすい
  • 人気エリア
  • 公園に隣接しており眺望が変わらない

など、今から新築を建てたくても土地が残っていないような好立地にあることが少なくありません。

立地を重視する人には、特に魅力的な選択肢といえるでしょう。

税金の負担が少ない

築30年のマンションは、新築や築浅物件と比べて固定資産税の負担が軽くなる可能性があります。

これは、固定資産税が「建物」と「土地」のそれぞれの評価額に基づいて課税される仕組みになっており、建物部分の評価額が築年数と共に下がるためです。ただし、土地部分の評価額は、時間の経過で下がることはありません。

土地の価格は、その時々の人気により変動するため、再開発などで地域の時価が上がると評価額も上昇します。そのため、逆に税額が上がることもあります。

このように、築年数が経過したマンションだからといって必ず税金が安くなるとは限りませんが、建物の評価額が下がることで、全体としては固定資産税の負担が軽くなりやすいのは確かです。

税金面での正確な見積もりや節税のポイントを知りたい場合は、不動産に強い税理士と提携している不動産会社に相談するのがおすすめです。

築30年以上マンションが売れない理由と対策

築30年を超えるマンションは買い手が見つかりにくく、売却まで時間がかかりがちです。

ここでは、売れにくい理由と、売却のための具体的な対策を解説します。

築30年のマンションが売れにくい理由は、次の3つです。

  • 設備の老朽化が不安
  • 住宅ローン控除がないと思われている
  • 耐震性が低いと思われている

設備の老朽化が不安

築年数が経過したマンションでは、給排水管などの設備が老朽化している可能性があり、買主は購入後のトラブル発生を不安視しています。

管理組合が定期的にメンテナンスを実施していたり、設備を交換した履歴がある場合は、その記録を提示しましょう。

また、リノベーション済みで設備が交換されている物件であれば、その点を積極的にアピールすることが重要です。

住宅ローン控除がないと思われている

「築30年のマンションは住宅ローン控除が使えない」と思い込んでいる人が一定数います。

この誤解が、購入をためらう理由の1つになっています。

住宅ローン控除とは、マイホームの購入のために住宅ローンを利用した人を対象にした、税金の負担を軽くする制度です。

実は、最近まで築30年のマンションは住宅ローン控除の対象外でしたが、税制が変わり、2025年現在は問題なく減税の優遇措置を受けられます。

不動産会社が制度の詳細を買主側に説明し、誤解を解くことで、購入を前向きに検討してもらえるでしょう。 

耐震性が低いと思われている

築30年のマンションが売れにくい理由のひとつに、「古い建物は耐震性が低いのでは?」という買主の不安があります。

実際には、築30年のマンションは「新耐震基準」(1981年6月1日から適用。震度6強クラスの地震でも人命に危害を及ぼすような倒壊被害を生じない設計)に沿って建てられています。

築年数だけを見ると耐震性に不安を抱く人もいますが、安全性は十分にあります。

重要なのは、不動産会社がこの点を正しく説明し、買主に安心してもらうことです。

築30年のマンションを選ぶ際のチェックポイント

築30年のマンションで理想の暮らしを実現するために、次の3点は必ずチェックしましょう。

  • リノベーションの制限がないか
  • 長期修繕計画と積立金の状況
  • 共有部分の管理状態

リノベーションの制限がないか

築30年のマンションは、リノベーションによって室内を自分好みに変えられる点が大きな魅力です。

古さを感じる内装も、リノベーションすることで快適な住空間に生まれ変わり、資産価値の向上にもつながります。その結果、将来的に売却しやすくなる可能性も高まるでしょう。

ただし、すべての物件で自由にリノベーションできるとは限りません。

建物の構造や管理規約によって、間取りの変更やキッチン・浴室など水回りの移動が制限されることもあります。購入を検討する際は、リノベーションの知識や実績が豊富な不動産会社に相談するのがおすすめです。

希望するリノベーションが実現可能かどうかを事前に確認できるだけでなく、先々の売却まで見据えたプロならではの提案も受けられるでしょう。

長期修繕計画と積立金の状況

建物は何もしなければ老朽化が進行してしまい、安心して住み続けられなくなります。

建物の安全性や資産価値が保たれているかどうかを知るためには、これまでの大規模修繕の履歴をチェックしてください。国土交通省では、外壁の塗装や屋上防水を含む大規模修繕工事の周期を12〜15年毎としています。(※)

そのため、築30年のマンションであれば、少なくとも2回以上の大規模修繕が実施されていれば1つの安心材料になります。

(※)参考:国土交通省|長期修繕計画標準様式長期修繕計画作成ガイドライン長期修繕計画作成ガイドラインコメント

共有部分の管理状態

共有部分の管理状態から、そのマンションの管理の質が見えてきます。

エントランス、エレベーター、ゴミ置き場、駐輪場などの手入れが行き届いているかどうかをチェックしましょう。植栽が伸び放題になっていないか、防犯カメラが適切に設置されているかなども、住民の意識や管理体制を推し量る目安になります。

築30年のマンションは、価格面や立地面で魅力的な物件が多い反面、管理状態やリノベーションの自由度など、購入前に確認すべきポイントもあります。

物件選びで後悔しないためには、中古マンションに精通し、税制、住宅ローンなどの知識が豊富な不動産会社に相談することが大切です。

特に、リノベーションに強みのある不動産会社であれば、リノベーションに適した物件選びからおまかせできます。

「築30年」という数字だけで不安にならず、プロの視点を取り入れて検討することで、納得の住まい選びを実現してください。