マンションを貸す際の費用と注意点を解説。メリット・デメリットも紹介

マンションを所有している方の中には転勤や住み替えなどで、一時的に空き物件となってしまうケースも少なくありません。

そんなとき、資産を有効活用する方法として、マンションを賃貸に出すことを検討される方も多いでしょう。

マンションを貸す際に必要な費用や準備、注意すべきポイントなど、詳しく解説していきます。

マンションを貸すときの具体的な費用

マンションを貸し出す際、初期費用とは別に継続的な費用が発生します。

まずは、マンションを貸し出す際の費用について詳しく見ていきましょう。

仲介手数料

不動産会社に入居者の募集を依頼する場合、仲介手数料が発生します。

一般的な仲介手数料の相場は、賃料1ヶ月分+消費税となっています。

つまり、月額賃料が10万円の物件であれば、11万円の仲介手数料が必要です。

ただし、仲介手数料の金額は、地域や物件の条件によって変動する場合があるため注意しましょう。

賃貸管理手数料

賃貸管理会社に物件の管理を依頼する場合、毎月の管理手数料が発生します。

一般的な管理手数料の相場は、月額賃料の3%〜8%程度です。

物件の管理をすべて委託する全部委託方式と、管理業務を一部だけ委託する一部委託で費用が異なります。

入居前の準備費用

入居者を迎え入れる前に、物件を良好な状態に整備する必要があります。

良質な入居者の確保と、適正な家賃設定を実現するために重要な要素ですので、詳しく見ていきましょう。

リフォーム費用

リフォームの範囲は物件の状態によって異なりますが、一般的に必要となる工事としては、壁紙の張り替えやフローリングの補修、水回り設備の更新などがあります。

また、エアコンや給湯器などの設備機器が古い場合は、入居前に交換しておくことよいでしょう。

マンション1室のリフォームを行ったときの具体的な費用の目安は、以下の通りです。

リフォーム内容費用の目安
壁紙の張り替え20〜50万円
フローリングの張り替え20〜50万円
キッチン設備の更新30〜60万円
トイレの設備更新10〜30万円
バスの設備更新40〜100万円

ただし、これらの費用は部屋の広さや使用した建材、施工方法によって異なります。

クリーニング費用

入居者の募集前には、専門業者によるクリーニングが必須です。

以下は、マンションの間取りごとにクリーニングの費用をまとめたものになります。

間取り費用の目安(税込)
1R・1K16,000円~26,000円
1DK・2K23,000円~30,000円
1LDK・2DK29,000円~40,000円
2LDK・3DK36,000円~43,000円
3LDK・4DK43,000円~55,000円
4LDK・5DK50,000円~68,000円

クリーニング費用は、物件の広さや選択したサービス内容によって大きく変動するため、上記の金額はあくまで目安です。

しかし、室内を清潔な状態を保つことで内見時の印象が良くなり、早期の成約につながるでしょう。

マンションの運営費用

マンションを貸し出した後も、継続的に発生する費用があります。

適切な予算計画を立てることで、長期的な資産価値の維持につながります。

修繕費

入居者の有無に関わらず、設備の故障や経年劣化による修繕が必要になることがあります。

エアコンの修理や給湯器のメンテナンス、水道管の補修など、予期せぬ修繕が発生する可能性を考慮することが大切です。

年間の修繕費として、家賃収入の10〜15%程度を見込んでおくとよいでしょう。

管理費・修繕積立金

分譲マンションを賃貸に出す場合でも、管理費や修繕積立金の支払いは継続します。

物件の規模や築年数によって異なりますが、一般的な2LDKの場合、管理費は月額1〜2万円前後、修繕積立金が月額8,000円〜1.5万円程度となることが多いでしょう。

これらの費用は、マンション全体の維持管理や将来の大規模修繕のために必要不可欠なものです。

火災保険料

賃貸用物件として使用する場合は、オーナーも火災保険への加入が必要です。

居住用と賃貸用では保険料が異なり、一般的に賃貸用の方が保険料は高い傾向にあります。

保険の補償内容によって費用は異なりますが、1室の場合は年間5〜60万円程度の保険料を見込んでおく必要があるでしょう。

マンションを貸すメリット・デメリット

マンションを賃貸に出す決断をする前に、第三者に貸すメリットとデメリットを十分に理解しておくことが重要です。

ここでは、主な利点と注意点について詳しく解説していきます。

家賃収入が得られる

マンションを貸す最も大きなメリットは、定期的な家賃収入が得られることです。

適切な管理と運営を行うことで、安定した副収入源となり得ます。

また、この収入を住宅ローンの返済に充てることで、資産形成の一助とすることも可能です。

購入する前に、家賃収入から各種費用を差し引いた収支を事前に計算しておくことが重要です。

資産を手放さずに保持できる

一時的に使用しないマンションでも、売却せずに保有し続けることができます。

将来的な市場価値の上昇や、自身やご家族が将来の使用できる可能性を残しておけることは、大きなメリットと言えるでしょう。

特に都心部の物件は、長期的な資産価値の維持が期待できます。

節税効果が期待できる

マンションを賃貸に出すことで、さまざまな経費を計上することが可能です。

管理費、修繕費、減価償却費などを経費として計上することで、確定申告時の節税効果が期待できます。

特に、不動産所得として計上される家賃収入に対しては、経費を適切に管理することで、節税のメリットを最大限に活用できます。

空室リスクがある

マンションの賃貸経営で特に注意が必要なのが空室リスクです。

国土交通省の「令和5年度マンション総合調査」によると、マンションの空室が3カ月以上の割合は34%となっています。

入居者がマンションから退去した後、次の入居者が決まるまでの期間は家賃収入が得られません。

このリスクを最小限に抑えるためには、立地や設備などの物件の競争力を維持し、適切な家賃設定を行うことが重要です。

入居者トラブルの可能性

入居者の質が悪いと家賃の滞納や、騒音問題、契約違反など、予期せぬトラブルが想定されます。

これらの問題に適切に対応するためには、信頼できる管理会社との連携が不可欠です。

また、入居者の審査基準を明確にし、契約内容をしっかりと確認することで、トラブルのリスクを軽減できます。

管理の手間と時間がかかる

マンションの賃貸経営では定期的な設備のメンテナンスや、突発的な修繕への対応など多くの管理業務が必要となります。

これらの業務を全て自身で行うには手間と時間がかかるため、専門の管理会社に依頼する方も少なくありません。

管理業務を専用の会社に依頼する場合は、管理手数料などのコストを考慮することが重要です。

マンションを貸す前の準備

賃貸経営を始める前にはさまざまな準備が必要です。

ここでは、マンションを貸す際に重要な準備の項目について解説していきます。

住宅ローンが残っている場合の対応

物件に住宅ローンが残っている場合、ローンの借り換えや条件の変更をするケースもあるため、金融機関への確認が必要です。

多くの場合、住宅ローンは賃貸利用に関する制限や条件が設定されています。

マンションを貸すときは事前に金融機関に相談し、必要な手続きや条件の確認を行うことで、将来的なトラブルを防ぐことにつながるでしょう。

収支シミュレーションの重要性

マンションの賃貸経営を始める前に、詳細な収支シミュレーションを行うことは非常に重要です。

想定される家賃収入から、管理費、修繕費、保険料などの経費を差し引き、実質的な収益を計算します。

また、将来的な修繕費用や空室期間なども考慮に入れ、長期的な視点での収支計画を立てることが必要です。

事前に決めておくべき禁止事項

入居者とのトラブルを防ぐため、物件の利用に関する規則や禁止事項を明確にしておくことが重要です。

ペットの飼育可否、楽器の演奏、転貸や事業利用の可否など、重要な項目については賃貸借契約書に明記しておきます。

また、マンションの管理規約との整合性も確認し、不安な場合は不動産会社や管理会社に相談しましょう。

物件の現状確認と写真撮影

マンションを貸す前に物件の現状を確認し、写真による記録を残すことが重要です。

壁や床の傷、設備の状態など細かな部分まで確認し、写真に残しておくことで、退去時のトラブル防止につながります。

特に、高額な修繕が必要となる可能性のある水回りの設備については、専門家による点検を行うことをおすすめします。

賃貸管理会社の選び方

分譲マンションを賃貸として運営する場合、一般的な賃貸住宅とは異なり、特有のノウハウが必要とされます。

そのため、賃貸管理会社を選ぶときのポイントを紹介します。

管理会社に依頼すべき業務

分譲マンションの場合、賃貸管理会社には以下のような業務を依頼することになります。

  • 入居者の募集や審査
  • 契約手続きや説明
  • 家賃の集金代行
  • 建物の維持管理
  • 入居者からの問い合わせ対応

多岐にわたる業務を一括して任せることができます。

また、24時間対応の緊急連絡体制を持つ管理会社を選ぶことで、突発的なトラブルにも迅速な対応が可能です。

管理会社の選定ポイント

管理会社を選ぶときは、分譲マンションの賃貸管理の経験が豊富な会社を選びましょう。

管理規約や居住者とのコミュニケーションなど、分譲マンション特有の課題に精通している会社を選ぶことが重要です。

また、管理会社の財務状況や評判、担当者の対応なども重要な選定ポイントとなります。

費用対効果の見方

管理会社に支払う手数料は単なるコストではなく、物件の価値を維持・向上させるための投資として捉えるとよいでしょう。

良質な入居者の確保や適切な維持管理により、長期的な収益の安定化が期待できます。

管理会社の選定にあたっては、提供されるサービスの内容と手数料のバランスを十分に検討し、最適な選択を行うことが重要です。

マンションならではの特徴を理解し、適した管理会社を選択することが、不動産投資の成功の鍵となるでしょう。