10年後のマンション資産価値はどれくらい?価格相場や維持するためのポイントを解説

10年後、自分のマンションの価値はどうなっているのでしょうか。

マンションをすでに購入した方はもちろん、これから購入を検討している方にとっても、「10年後の資産価値」がどうなっているかは大きな関心事です。

築10年時点でのマンションの価格相場や下落率の傾向を、データをもとに解説しつつ、資産価値をできるだけ維持するための具体的なポイントも紹介します。

  1. <h2>10年後のマンションの資産価値は何によって決まる?</h2>

マンションの資産価値は、「築年数・立地・管理状態・景気動向」など多くの要素に影響を受けます。

10年後という時間軸を見据えた場合、物理的な劣化だけでなく、社会情勢や人口動態の変化、エネルギー政策や都市開発の進捗など、多角的な視点が必要です。それぞれが資産価値にどのような影響を与えるのか、見ていきましょう。

  1. <h3>マンションの築年数</h3>

不動産流通機構2024年10~12月のレポートによると、築年数が進むにつれてマンションの売却価格は下落傾向にあることがわかります。

  • 築5年までの平均価格:7,619万円
  • 築5年から10年までの平均価格:7,342万円
  • 築10年から15年までの平均価格:6,698万円
  • 築15年から20年までの平均価格:6,336万円

参考:不動産流通機構「首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況【2024年10~12月】

上記比較を見るとわかるように、10年を超えると500万円以上の違いがあることがわかります。

  1. <h3>マンションがあるエリアの人口</h3>

総務省統計局の調査によれば、「2024年10月1日の日本の総人口は約1億2,380万人」であり、「2014年の約1億2,724万人」と比較して、10年間で約344万人の減少となりました。(参考:経済省統計局「人口推計(2024年(令和6年)10月1日現在)」)

人口が減少すれば住宅需要も減少し、特にファミリー層の減少により広い間取りのマンションのニーズが低下する可能性があります。一方で単身世帯が増えることで、ワンルームや1LDKなどの需要が安定する可能性もあるため、世帯構成の変化を見据える必要もあるといえるでしょう。

単身世帯の増加が顕著になるなど偏りが大きくなった場合、価格競争が激化する可能性も視野に入れなければなりません。

  1. <h3>マンションの老朽化問題</h3>

マンションの築年数が進むと、老朽化により修繕費や管理費が増加するだけでなく、需要が低下するリスクもあります。

特に地方や郊外では、人口減少と相まって買い手がつきにくくなることも想定されます。国土交通省の調査によると、マンションの大規模修繕は12〜15年ごとに実施されるのが一般的で、1戸あたりの費用は100〜125万円の割合がもっとも多い結果となりました。

参考:国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査

  1. <h3>景気や金利の変化</h3>

景気や金利の変動も資産価値に大きく影響します。

日銀が政策金利を引き上げると、住宅ローンの金利が上昇する影響を受け、買主の購買意欲が下がり、結果として中古マンションの価格が下落傾向になりがちです。

一般的な推移としては、日銀が引き上げた分、金融機関も利率を引き上げる傾向があります。

4,000万円のローンを組んだ場合、0.25%引き上げとなると月あたりの負担増は4,500円です。年間5万4,000円、35年にすると189万円の負担増となるため、購入意欲にも大きく影響してしまうのです。

  1. <h3>政策・都市計画の動向</h3>

都市再開発やインフラ整備などの公共政策は、マンションの資産価値に大きな影響を及ぼします。

  • 新駅の設置
  • 道路整備
  • 複合商業施設の建設
  • 学校建設

上記のような開発が行われると、大きくプラスの影響となる可能性があります。その地域の利便性が向上するため、地価やマンション価格が上昇するためです。

市区町村の都市計画マスタープランなどを確認し、再開発エリアの将来性を把握して物件を購入するのも、賢い方法といえるでしょう。

  1. <h3>エコリフォームやエネルギー対策</h3>

近年、省エネ法の強化やZEH-M(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス・マンション)の普及が進んでおり、省エネ性が高い住宅は資産価値の維持に貢献するとされています。

経済産業省資源エネルギー庁の資料によれば、省エネ法にもとづき2025年度以降、一部で集合住宅でも省エネ基準への適合が義務化される見通しです。こうなると、この基準に満たない物件は資産価値が下がり、それ以上に適合した物件であれば、資産価値が落ちにくいということになります。

  1. <h2>10年後もマンションの資産価値を維持するコツ</h2>

マンションの資産価値を10年後も維持するには、「立地・管理体制・修繕履歴・設備仕様」といった要素を総合的に考慮する必要があります。ここでは資産価値を下げにくくするための、具体的なポイントを見ていきましょう。

  1. <h3>マンションの資産価値を左右する7つのポイント</h3> 

マンションの資産価値を左右するポイントを紹介します。

  • 管理体制が整っている
  • 共用部分の清掃や美観が保たれている
  • 外観やエントランスが劣化していない
  • 修繕積立金が適正に設定されている
  • コンシェルジュやパーティールームなどの付加価値設備がある
  • 間取りが適度で住みやすい
  • 低層で落ち着いた立地

それぞれ詳しく見ていきましょう。

  1. <h4>管理体制が整っている</h4>

マンションの管理会社による定期的な点検や管理組合の活動が活発であると、物件全体の品質が保たれ、資産価値が下がりにくくなります。

  1. <h4>共用部分の清掃や美観が保たれている</h4>

廊下・エントランス・ゴミ置場などの「共用部分」が清潔なほど、内覧時に高評価を得やすくなります。

  1. <h4>外観やエントランスが劣化していない</h4>

マンションの第一印象を決定づける外観やエントランスの劣化は、価値下落の要因になりやすいため、塗装や植栽などの手入れが必要です。

  1. <h4>修繕積立金が適正に設定されている</h4>

安すぎる修繕積立金は将来的な不足を招き、大規模修繕が計画通りに行えなくなるおそれもあるため、長期修繕計画にもとづいた積立が必要です。

  1. <h4>コンシェルジュやパーティールームなどの付加価値設備がある</h4>

物件の魅力を高める共用施設は、物件選びの大きな決め手になり、特に都心部では需要のある要素とされています。

  1. <h4>間取りが適度で住みやすい</h4>

過不足ない部屋数・広さ(床面積)は長期的なニーズの安定につながり、家族構成の変化にも柔軟に対応できます。

  1. <h4>低層で落ち着いた立地</h4>

騒音や人通りが少なく閑静な住宅街に立地する低層マンションは、ファミリー層や高齢者層から安定した支持を得やすいため、おすすめです。

立地条件が良いマンションを購入する

立地条件が良いかどうかは、築10年時点でのマンションの資産価値を決める最重要項目でもあります。以下のような条件がそろっていると、将来的に資産価値を維持しやすいでしょう。

  • 最寄り駅まで徒歩10分以内
  • 学校や病院など生活インフラが整っている
  • スーパーや商業施設が充実

最寄り駅まで徒歩10分以内

駅近物件は利便性が高く、ニーズも安定しています。交通アクセスが良い物件は、資産価値も下がりにくくなります。

  1. <h4>学校や病院など生活インフラが整っている</h4>

教育施設や医療機関が近くにあれば、ファミリー世帯や高齢者にも安心の住環境となり、入居希望者の幅も広げられます。

  1. <h4>スーパーや商業施設が充実</h4>

日々の買い物が徒歩圏内でできるかどうかは、生活のしやすさに大きく影響するため、資産価値の下支えになることは間違いありません。

定期的な修繕とメンテナンスを行う

マンションの価値を維持するには、設備や外観のメンテナンスが重要です。

「築年数に応じた修繕が適切に行われているか」は、購入希望者にとって大きな判断材料のひとつです。修繕履歴が残っていない物件は不安材料となるため、記録の保存も忘れず積極的に行いましょう。

  1. <h3>利便性が向上するエリアの物件を購入する</h3>

将来的に利便性が高まると予測される地域の物件は、資産価値の維持に欠かせないポイントのひとつです。

再開発計画や新駅の設置、インフラ整備が予定されているエリアは、地価が上昇する可能性も高いエリアといえます。購入前に、マンション所在地の市区町村の「都市計画マスタープラン」や「開発予定情報」を確認することをおすすめします。