東京都の空き家対策の最新情報!今利用できる補助金や助成制度も解説

東京都内では近年、空き家問題が深刻化しており、地域の景観や防犯面への影響が懸念されています。しかし、空き家を有効活用するための補助金や助成制度が充実してきているのをご存じですか。

本記事では、東京都が取り組む最新の空き家対策や、今すぐ活用できる具体的な補助金・助成制度についてわかりやすく解説します。

東京都の空き家の現状

日本全国で空き家の数が年々増加しており、空き家率も上昇しています。東京都も例外ではなく、空き家問題は深刻化しており、対策が急務となっています。

これらの空き家は防災上のリスクだけでなく、景観の悪化や周辺住民への迷惑など、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。

特に、腐朽や破損した空き家は倒壊の危険性があるため、早急な対策が必要です。

東京都では「東京都における空き家施策実施方針」を策定し、都内全域で効果的な空き家対策を展開しています。

既存住宅市場での流通促進、地域資源としての空き家の利活用、そして利活用が難しい空き家の除去を主な目的としています。

参考:東京都住宅政策本部「東京における空き家施策実施方針

空き家数と空き家率の推移

総務省の「住宅・土地統計調査」によると、2018年時点で東京都内の空き家件数は約81万戸に達しています。

空き家率は全国的に過去30年間増加を続けていますが、東京都では1998年からほぼ横ばいで推移しており、現状では約10戸に1戸(10.6%)が空き家となっています。

さらに、東京の人口は2030年にピークを迎え、その後は減少が続くと予測されています。同様に世帯数も2040年を境に減少すると見込まれており、この世帯数の減少に伴って、都内の空き家の増加が懸念されています。

早急に対策が必要な空き家の数は?空き家の腐朽・破損状況

空き家の中でも腐朽・破損しているものは、防災や防犯上のリスクが高く、景観の悪化や周辺住民への迷惑など、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。

「腐朽・破損あり」の空き家とは、壁や柱など建物の主要部分が壊れた状態を指し、これらの空き家が地域環境に悪影響を及ぼさないよう、修繕や除却などの適切な管理が必要です。

2018年の「住宅・土地統計調査」によると、東京都内には約81万戸の空き家があり、そのうち約12万戸(約14.8%)が「腐朽・破損あり」とされています。

東京都の過去の空き家対策と今後の取り組み

東京都の空き家対策は2015年に実施された空き家等対策の推進に関する特別措置法(空家特措法)などにもとづいて、地域の実情を把握している区市町村が主体となって進められ、実態調査とさまざまな対策計画が実施されています。

また、国も空き家の発生抑制や活用促進、適切な管理・除却の促進に向けた取り組みを強化しており、具体的には「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」といった税制の特例措置を講じています。

「東京都における空き家施策実施方針」は、2030年までに全区市町村が空き家等対策計画を策定するなどの目標や施策展開の方向を示しています。

実態調査と対策計画の現状

これまで、空家特措法等にもとづき、区市町村が主体となって空き家対策が進められており、東京都は区・市町村の取り組みに対し技術的・財政的な支援を行っています。

その成果として、約8割の区市町村が空き家の実態調査を実施し、約6割が空き家対策計画を策定するなど、空き家対策は一定の進展を見せています。

2019年度からは「エリアリノベーション推進支援事業」により、区市町村と民間事業者が連携して特定のエリアで空き家の集中的な活用や再生を推進する取り組みが行われ、財政支援を受けています。

また、2020年度からは「民間空き家対策東京モデル支援事業」が始まり、先端技術を活用した空き家対策や、空き家の発生抑制に向けた取り組みが展開されています。

さらには、「東京空き家ガイドブック」や「東京既存住宅ガイドブック」を発行し、空き家の利活用に関する情報や事例を積極的に発信し、セミナーやワンストップ相談業務を通じて普及啓発を図り、民間事業者への支援を行っています。

空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除

税制においては、空き家の発生を抑制するための特例措置として「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」が導入されています。

この特例は、居住用として使用されていた空き家を相続した相続人が、相続開始から3年以内に空き家を売却する場合に、その譲渡所得から3,000万円を特別控除するというものです。

2023年度の税制改正により、対象となる条件が緩和され、適用期間も2027年12月31日までに延長されることになりました。

この制度を利用することで、空き家所有者は税負担を軽減し、スムーズに空き家を売却できるようになります。

参考:国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)

2030年度末までに全区市町村が空家等対策計画を策定

東京都は、2022年3月に改定した「東京都住宅マスタープラン」において、「空き家対策の推進による地域の活性化」を目標のひとつとしています。

具体的には、2030年度末までに全区市町村が空き家対策計画を策定することを政策指標とし、その達成に向けた取り組みを進めています。

これにより、東京都全体の空き家対策を一層強化し、空き家問題の解決を目指しています。

東京都の空き家対策で利用できる補助・助成制度

東京都では、空き家の適正管理や解体を支援するために、いくつかの補助制度や助成制度があります。

例えば、空き家の所有者が空き家を解体する際に、費用の一部を補助する制度や、空き家の問題解決に向けた専門家の無料派遣を行う事業などがあります。

以下では、東京都で利用できる補助制度や助成制度の一部を紹介します。

この他にも、区市町村ごとに空き家に関する支援制度がありますので、東京都住宅政策本部の「東京都空き家ポータルサイト」などを参考に、自身の空き家に適用できる補助・助成制度を確認してみてください。

東京都空き家家財整理・解体促進事業補助金

空き家状態の早期解決、および空き家の利活用等を推進するため、空き家の「家財整理」または「解体」にかかる費用の一部を補助します。

東京都空き家家財整理・解体促進事業補助金の補助対象者と交付額

都内に所在する空き家の家財整理都内に所在する空き家の解体
補助対象者東京空き家ワンストップ相談窓口に相談し、都内の空家の家財整理、または解体を実施する空き家所有者
補助金の交付額補助率 2分の1(上限5万円)補助率 2分の1(上限1万円)

参考:東京都住宅政策本部「東京都空き家家財整理・解体促進事業

老朽建築物等対策支援事業(板橋区)

板橋区では、空き家や老朽建物の問題解決に向けたアドバイスなどを行う専門家の無料派遣や、建物などの除却にかかる費用の助成支援を実施しています。

老朽建物等対策専門家派遣支援事業
派遣される専門家建築士、不動産鑑定士、弁護士、司法書士・行政書士
対象者法人を除く所有者または管理者
対象建物板橋区内にある老朽建物等
回数同一の派遣対象者につき3回程度
時間1回あたり2時間を限度
派遣先原則板橋区内
老朽建物等除却費助成事業
対象者①建築物を所有し、除却しようとする個人
対象建物①特定空家等または特定老朽建築物として認定された建築物②不良住宅であること③木造の建築物で住宅部分の延床面積が1/2以上④建築物等の全てを除却すること⑤助成対象の承認を受けて、除却工事に着手するもの⑥建築物または工作物の除却にかかる費用に関する他の助成金または補助金を受けていないこと
助成金額①接道のある敷地の場合 補助率5/10 (上限100万円)②接道のない敷地の場合 補助率8/10 (上限200万円)

参考:板橋区「老朽建築物等対策支援事業

空き家適正管理助成制度(葛飾区)

空き家の適切な管理を促進するため、所有者らが空き家の管理を委託した際の費用の一部を助成します。また、空き家の敷地内にある、樹木のせん定にかかった費用も一部助成します。

空き家適正管理助成制度(葛飾区)

管理委託助成樹木せん定助成
対象者区内の空家(戸建て、または共同住宅)の所有者、管理者および法定相続人の方区内の空家(戸建て、または共同住宅)の所有者、管理者および法定相続人の方、かつ、管理委託助成を受けている方
主な要件①空き家全般の見回りおよび建物の通風・換気などの管理を事業者等に委託していること②空き家について、初めて管理委託助成を受けること管理委託助成を受けている期間内に樹木のせん定を行うこと
助成金額補助率1/2 (上限2万円)補助率1/2(上限1万円)
期間初回申請月以降の継続した最長24カ月以内管理委託助成を受けている期間内に1回限り

参考:葛飾区「空き家適正管理助成制度

空き家対策は不動産会社へ相談

不動産会社は、空き家の売却、賃貸、管理、解体など、さまざまなサービスを提供していますので、空き家の状態や周辺環境、相続状況などに応じて、最適な解決策を提案してくれます。

また、売却や賃貸の手続き、役所への届け出など、煩雑な手続きも代行してくれる場合もあります。

  • 相続で空き家を相続したが、どうすればいいのかわからない
  • 空き家が老朽化していて、倒壊の危険がある
  • 空き家を賃貸したいが、どのようにすればいいのかわからない

このような空き家に関する問題を抱えている場合は、不動産会社に相談することで解決するケースがほとんどです。