マンションを売却したときの入金と支払いのタイミングはいつ?

買い換えをはじめ、マンションの売却代金をほかに利用する予定がある人にとって、入金のタイミングは非常に重要です。マンションを売却したら、入金はいつになるのでしょうか。また、マンションを売却するとさまざまな支払いも生じるため、それらも把握しておきたいところです。マンションを売却したときの、入金と支払いのタイミングを見ていきましょう。

マンションを売却したら入金されるお金

マンション売却で売主が受け取るのは、以下のお金です。

  • 手付金
  • 売却代金

はじめにそれぞれのお金について解説します。

手付金

手付金とは、不動産売買契約をする際に、買主から売主に預けるお金のことです。一般的に残代金を支払う際に、売買代金の一部として充当する契約になっています。

契約した証として買主から売主に預けられるお金であり、解約金や違約金のような意味も併せ持つものです。手付金は、契約を成立させるための「預け金」として買主から受け取る権利があります。手付金の上限は物件代金の20%とされていますが、5~10%が相場です。

買主の都合で契約をキャンセルする際、売主は返金する必要がありません。解約金または違約金としてそのまま受け取れます。なお、売主都合で契約をキャンセルする際は、買主から受け取った手付金の2倍を支払う必要があるので注意しましょう。

売却代金

マンションを売却するときには、買主から売却代金を受け取ります。入金のタイミングや支払い方法は、売主と買主の話し合いで調整することが可能です。売却代金は高額なため、銀行振込で決済されることが一般的ですが、現金で支払われるケースもあります。

近年、都市部のマンション価格は上昇傾向にあり、エリア別売却相場は以下のとおりです(2024年12月時点)。

エリア㎡単価(万円)価格(万円)
北海道29.572,265
宮城県38.202,632
東京都105.236,228
愛知県31.712,312
大阪府51.323,551
広島県35.002,477
福岡県38.832,604

引用:REINDS「月例足法 Market Watch[全国版]」(http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/ZMW_202412data.pdf)

東京都は㎡単価が105.23万円、平均売却価格が6,228万円で、全国でもっとも高い相場価格となっています。

入金されるタイミング

マンションを売却後に手付金や売却代金が入金されるタイミングは以下のとおりです。

入金されるお金入金されるタイミング
手付金売買契約時(売却価格の5~10%が相場)
売却代金引渡し時(売買契約から約1カ月後)

手付金を買主から受け取るのは売買契約時です。売却価格の5~10%程度が相場となります。売却代金が入金されるのは引渡し時です。通常、決済日は売買契約から約1カ月後に設定されます。決済を行う場所は振込の場合は銀行の1室、現金またはネット銀行の決済の場合は不動産会社のオフィスが一般的です。

マンションを売却したら支払うお金

マンションを売却すると入金だけでなく、手数料や税金など支払うお金もあります。ここではそれぞれの費用や支払うタイミングについて解説しましょう。

仲介手数料

仲介手数料とは、不動産の売買・賃貸契約が成立した際に、仲介を依頼した人が不動産会社に支払う手数料のことです。成功報酬なので、不動産会社の営業担当者がいくら販売活動を行ったとしても、契約が不成立だったら支払う必要がありません。

仲介手数料の上限は宅建業法で定められており、売買契約の場合は以下の速算式で計算します。

売買価格(税抜)上限
400万円超え「売買価格(税抜) × 3% + 6万円 」+ 消費税
200万円超え~400万円以下「売買価格(税抜) × 4% + 2万円」 + 消費税
200万円以下「売買価格(税抜) × 5%」 + 消費税

たとえば、2,000万円のマンションを売却した場合の仲介手数料は、税込で726,000円です。なお、仲介手数料は不動産会社が提供するサービスに対する対価なので、消費税がかかります。

そのため、個人間での不動産売買契約には仲介手数料はかかりません。

広告料

マンション売却の広告料は一般的に不動産会社が支払いますが、以下の場合は売主負担になることがあります。

  • 特別に依頼した広告
  • 規約に違反している

マンションの売却活動をする際には、インターネットで広告を掲載したり、チラシを作成してポストへ投函したりしますが、それらの経費は仲介手数料に含まれているため、売主が支払う必要はありません。

ただし、通常の広告費より費用が高い広告を特別に依頼した場合や、媒介契約を途中で解除するなど規約違反が発生したときは、かかった広告料を売主に請求することがあります。

住宅ローンの残金、一括返済手数料

売却したマンションの住宅ローンが残っている場合は、住宅ローンの残金と一括返済手数料を金融機関に支払います。三井住友銀行で一括返済する場合は、以下のとおりです(2025年2月時点)。

三井住友銀行で住宅ローンを一括返済する場合

手続き方法全額繰上返済の手数料
インターネットバンキング5,500円
窓口・書面22,000円

住宅ローンを一括返済する手数料は金融機関や方法により違いがあります。

抵当権抹消の費用

住宅ローンが残っているマンションを売却した場合、残金の支払いが完了後に抵当権抹消手続きを行います。抵当権は住宅ローンを完済したら自然に消えるものではないため、売主が自ら行わなければなりません。

抵当権を抹消する際には、登録免許税が不動産1個につき1,000円と司法書士へ支払う費用(1万〜3万円程度)がかかります。

譲渡所得税

マンション売却後に利益が発生した場合は譲渡所得税がかかります。譲渡所得税は所有期間により税率が異なり、以下のとおりです。

【譲渡所得税の種類と税率】

種類所有期間税率
短期譲渡所得5年以下39.63%(所得税 30.63%・住民税 9%)
長期譲渡所得5年超え20.315%(所得税 15.315%・住民税 5%)

所有期間が5年を超えると譲渡所得税の税率が約半分になり、10年を超えると課税譲渡所得6,000万円以下の部分が14.21%とさらに低くなります。

印紙税

印紙税は、不動産売買契約書を作成した際に納める税金です。売買契約書は課税文書のため、印紙税の納付が必要となります。印紙税は契約書に記載する取引の種類や売買価格により、税額が定められています。

不動産売買契約書に関する印紙税の一例は以下のとおりです。なお、記載金額が10万円以上で、令和9年3月31日までの間に作成されるものは、軽減税率が適用されます。

売買契約書に記載する売買代金本則軽減税率
10万円超え 50万円以下400円200円
50万円超え 100万円以下1,000円500円
100万円超え 500万円以下2,000円1,000円
500万円超え 1,000万円以下1万円5,000円
1,000万円超え 5,000万円以下2万円1万円
5,000万円超え 1億円以下6万円3万円
1億円超え 5億円以下10万円6万円
5億円超え 10億円以下20万円16万円

引用:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置

印紙税は売買契約書を作成する際、書面に収入印紙を貼り付けし、実印などで消印することで納付したとみなされます。

支払うタイミング

マンションを売却後にかかるお金を支払うタイミングは以下のとおりです。

売却後に支払うお金支払うタイミング
仲介手数料売買契約の締結時と引渡し時に2回に分けて払う
広告料通常仲介手数料に含まれているが、特別に依頼した場合は売主と不動産会社で支払日を設定する
住宅ローンの残金、一括返済手数料マンションの売却代金が入金されたとき
抵当権抹消の費用抵当権抹消登記時、所有権移転登記日、またはそれ以前
譲渡所得税マンション売却翌年の確定申告期間。住民税は一般的に翌年の6月以降
印紙税売買契約書作成時

仲介手数料や広告料の支払いに関しては、不動産会社と打ち合わせをして支払日を設定できます。

マンションの売却代金を早く受け取るには

住み替えなどで資金調達を急いでいる場合は、マンションの売却代金をできるだけ早めに受け取りたいものです。ここでは、マンションの売却代金を早く受け取る方法について紹介しましょう。

売出価格を低めに設定する

まず、挙げられるのは、売出価格を低めに設定することです。近年のマンション価格は高騰しているため、市場価格よりやや低めに売出価格を設定した場合はお得感があって早めの売却を期待できます。

反対に、高く売ろうと思って市場価格に見合わない金額で売り出してしまうと、なかなか買い手が見つからないおそれがあります。早期の売却を目指す場合は、市場価格よりやや低めの価格で売り出すのもひとつの方法です。

不動産売買の多いシーズンを狙う

次に挙げられるのは、不動産売買の多いシーズンを狙って売り出すことです。不動産の売買が活発化するのは、1~3月と9~10月といわれており、新生活のスタートに向けて住宅を購入する人が増える傾向があります。

そのため、早めにマンションを売りたいときは、1~3月と9~10月のシーズンを選びましょう。一方、閑散期は6~8月とされているため、この時期は外します。

マンションを不動産会社に買い取ってもらう

もっとも早めに売れる方法は、不動産会社にマンションを買い取ってもらうことです。通常、仲介での売却期間は早くても3カ月ほどかかりますが、不動産会社が直接買い取る場合は7~14日程度で売れるケースも見受けられます。

ただし、不動産会社に買い取ってもらう際は、売却価格が市場価格の6~7割程度になる可能性があります。何らかの事情で早めに売る必要があり、査定価格に納得した場合は、不動産会社の買取サービスを利用するのもひとつの選択です。