マンションが売れない理由としては、立地やマンションに原因があるケースや、販売戦略に原因があるケースなどが考えられます。
マンションが売れない原因や対策をお伝えします。
目次
マンションが売れない原因と対策
家の住み替えのために新たなマンションを購入し現在の住居を売却したい、親からの相続したマンションを売却したい、そのほか人生の節目を迎えマンションを売却して現金化したい、など理由はさまざまです。
一方で売りたいのに売れない、希望価格で売れないといった悩みも聞こえてきます。その場合はどうしたら良いのでしょうか。原因と対策を考えていきたいと思います。
立地に原因があるケース
中古マンションが売れない場合、何かしら原因があるはずです。
原因は1つとは限らず、2つ以上あるケースもあります。
まず立地に原因があるケースから解説します。
駅から徒歩15分以上かかる
駅からの徒歩距離が遠いと一般的に需要が少なくなる傾向にあります。
物件を探す場合、仲介業者はレインズ(不動産流通機構)から、個人はホームページから条件項目を入力して検索するケースが多くなりますが、徒歩15分を超える場合は検索条件から外れてしまうことが多くなります。
駅徒歩10分以内の物件が人気となるため、そもそもマーケットの目に触れないという状態に陥ります。
不人気な立地
一般的に嫌がられる立地が存在することも事実です。
線路や踏切が近く音の問題がある、幹線道路や大通り沿いで昼夜問わずに車の騒音、排ガスが発生する、またお墓の近くなど本人は気にしなくとも購入検討者から敬遠されてしまう可能性があります。
需要が低いエリアにある
エリアの問題としてマンション自体の需要があるのかという点も重要です。
地方都市のような人口減少が進むエリアだと、需要が少なく購入希望者を見つけるのは難しいです。都心でも駅からの距離が遠い、バスの利用が必要など利便性が低い場合も需要が少なくなります。
通学や通勤に不便なエリアだと、利便性を重視する購入希望者は興味を示さないかもしれません。
マンションが需要が少ないエリアにある場合は、エリアの不動産事情を把握している不動産会社に売を却依頼しましょう。
市場ニーズに詳しく、確度が高い顧客リストを持っていることでしょう。周辺環境を含めた物件の良さをアピールしてもらうことも可能です。
マンションに原因があるケース
マンション自体に売れない原因があるケースもあります。
例えば築年数が古い、訳あり物件などのケースです。
築年数が古い
築年数が遠いマンションは需要が少なくなる傾向にあります。日本人が新しいマンションを好むことや、古いマンションは大規模リフォームの費用が発生するなどの理由から売れにくくなります。
ただし、駅近や建物の状態が良い物件は古くても売れます。
不動産会社に相談し、第三者である住宅の専門家から住宅診断(インスペクション)を受けて、建物に問題がないと証明してもらうなどが有効です。
築年数の経過でマンション価格はどう下がる?
築年数の経過でマンション価格はどのように下がっていくのでしょうか。
まず新築マンションに関しては新築という付加価値がついているため、約1年を経過した段階で価値は急落していきます。新築と言わなくなる時期(一般的には2年目以降)から、その後築20年頃までに価値が下がっていくと言われています。
その後21年目以降は緩やかなペースで下落するという流れが一般的と言われています。
美観が悪い
マンションの共用部が汚れている、ゴミが散乱しているといった美観がよくないも売れにくくなります。
このような状態だと購入希望者は、「管理や清掃が行き届いていない」「入居者のマナーが悪く治安がよくない」などの可能性を疑います。
オール電化のマンション
オール電化のマンションは、ガスなどの燃料を使わず電気エネルギーだけで調理や給油、冷暖房などを利用できます。
火災になりにくいなどのメリットがあるオール電化ですが、「停電したら生活に大きな支障が出る」などのデメリットがあります。
また、燃料価格や卸電力の市場価格の高騰で、各電力会社で電気代の見直し・値上げがされ、燃料代が上昇しています。ガスと併用している家庭よりも負担の上昇率が高く、購入を避けられがちです。
ガス漏れの心配もないため、「日々の安全性」を重視する人をターゲットに広告を行うなどの対策が有効になります。
訳あり物件
事件や事故などで住人が亡くなり事故物件となっているケースも売れにくくなります。事故物件となった場合、心理的負担が発生するため通常価格では売れにくく、大幅に売買価格を下げることとなります。
また事故が該当住戸ではなく共用部分であったとしても、実際に「事故があったマンション」という認知がされることで毛嫌いされることは想定されます。事故物件の紹介サイトを見て確認する人も多いため、売買において重要なポイントになってきます。
販売戦略に原因があるケース
このような傾向が把握できていても販売戦略に問題があるケースもあります。
例えば、売り出し価格が相場より高い場合や、買い手へのアピールが足りないケースなどがあります。
売り出し価格が相場より高い
マンションの売り出し価格は不動産会社の査定価格を参考に、売主が決めます。相場より大幅に高く売り出している場合は、不動産会社と相談して慎重に価格を見直します。
まず、同じマンション内で売り出し物件があるかチェックしましょう。小規模物件の場合は同時期に物件が売り出されることは少ないと思いますが、大型マンションの場合は同じ間取りや広さの住戸が売りに出されているケースが多々あります。
比較対象になりやすいことのほかに、差別化が図りにくく価格競争になる傾向にあります。
同じマンション内の物件が相場以上の価格で売り出している場合は、相場価格でも買い手が見つかりやすいでしょう。相場以下で売り出しているときは、売却価格の見直しが必要になるかもしれません。
内覧に問題がある
内覧がなかなか入らない、入ったとしても他物件の比較検討のために利用されてしまっているケースもあります。現状分析を行い、周辺相場と乖離(かいり)した価格設定になっていないかを改めて確認をするべきでしょう。
不動産業者へ相談し、過去の成約実績や募集実績を確認のうえ慎重に価格を見直していく必要があります。
買い手へのアピールが足りない
仲介業者や担当者に問題があるケースも大きなポイントです。
仲介業者も得意不得意があるためマンションの売却を数多く手がけた実績のある会社に依頼をすべきでしょう。戸建てや賃貸が得意な仲介業者に対しマンションの売却を依頼したところで、ノウハウや経験が少ないケースも考えられます。
マンション売却はもちろんインターネット集客に強い会社に依頼しましょう。インターネットの普及で集客の主戦場がオンラインに移行し、アナログな方法では集客が難しくなっています。
また担当者についても同様です。経験やスキルが足りているのか、ニーズを正確にくみ取ってくれているのかなどのほかに相性の部分も重要です。長期的な活動となるため、担当者とスムーズにやり取りができることは大きなメリットとなるはずです。
マンションが売れない場合のリスク
売り出す前の準備や成約後の引渡し期間などを含めて、一般的には4カ月から6カ月がマンション売却にかかる期間と言われています。
東日本不動産流通機構(レインズ)による首都圏のデータですが、中古マンションは市場に出されてから2カ月半以内に売却されています。
3カ月が過ぎても買い手がつかない場合は、長期化している状態といえるでしょう。売れなかった場合のリスクとしては以下の通りです。
不動産の価値が下がり続け、ますます売れなくなる
一般的にマンションの価値は、築年数の経過に伴い下がり続けます。
売れない状態が続くことで市場価値が下がり、希望の価格での売却がますます難しくなっていきます。
相続人に負担を押し付けることになる
マンションが売れないまま所有者が亡くなると、相続人が引き継ぐことになり、固定資産税や管理費、修繕積立金を負担しなければなりません。
複数の相続人がいるケースでは、物件の処分に関する意見が一致せず、争いに発展する可能性もあります。意見の違いにより、物件が放置されることにもなりかねません。
管理費や固定資産税などがかかり続ける
固定資産税の金額は、マンションの評価額などで変わります。
中古マンションの固定資産税は年間で約10万~20万円がの相場と言われており、管理費などを含めると、かなりの金額になるでしょう。
住み替えなどでローンが重なり経済的に負担
住み替えを理由に売却活動をした場合、売却活動が長期化するとローンが重なり経済的に大きな負担が発生します。
売れないマンションを処分する方法
では売れないマンションを処分するにはどうすべきでしょうか。
相続放棄
まず親族からの相続が発生した時点の場合です。
相続放棄という選択が可能です。ただしマンションだけの相続放棄はできないため、その他の相続財産も全て放棄することとなります。相続放棄できた場合でも、管理義務が残る場合があります。
無償譲渡
また自治体への無償譲渡という方法も考えられますが、こちらも難しくなることが多いです。マンションの場合は土地がマンションの一室部分のみと限られるために自治体としては土地を転用して公園にする、保育園を作るなどの使い道が考えにくいからです。
無料なので買い手が現れやすく、売却の費用もかからないメリットがあるものの、売却益を得ることができません。
売却を急ぐときは買取や買取保証付きも検討
マンションが売れない場合は買取もおすすめです。買取は、不動産会社が直接買い取る方法です。
仲介よりも売却価格が低くなる傾向がありますが、短期間で売却できるメリットがあります。
時間に余裕があるなら「買取保証」もおすすめです。一定期間仲介で売りに出し、売却できなかった際に買取を行います。
マンションの買取を依頼する不動産会社選びのポイント
買取を依頼する不動産会社選びのポイントは、以下の2点です。
- 数社に査定を依頼する
- 専門知識や買取実績のある会社を選ぶ
数社に査定を依頼することが大事です。適正な価格帯を把握できるだけでなく、各社の対応の違いも比べられます。
マンションの専門知識や買取実績を持つ会社を選ぶことも大切です。経験豊富な会社ほど、適切な評価と迅速な対応が期待できます。
担当者の印象も重要です。誠実な対応をする担当者に依頼することで、スムーズな取引が見込めます。
高田 一洋(たかだ かずひろ)
一心エステート株式会社代表取締役 不動産コンサルタント
【保有資格】宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/損害保険募集人資格/管理業務主任者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/住宅金融普及協会住宅ローンアドバイザー/相続診断士
1983年福井県生まれ。金沢大学工学部を卒業後、大手コンサルティング会社に入社、4年間、新規事業の立ち上げや不動産会社のコンサルティング業務に従事する。その後、当時の取引先リストグループに惹かれ入社。不動産仲介営美・営業管理職・支店長を経て、さらなる理想を追求するために一心エステートを創業。創業当初から金融機関・不動産会社へのコンサルティングを行い、ARUHI住み替えコンシェルジュでセミナー講師等を務める。豊富な不動産知識に加え20代で身に付けたコンサルティング技術、ファイナンス(お金・投資の知識)をもとに、東京都心の不動産仲介実績を積み上げている。2023年に著書「住んでよし、売ってよし、貸してよし。高級マンション超活用術: 不動産は「リセール指数」で買いなさい」を出版。