ハイグレードな高層マンションを一般的なマンションと差別化するために、高級タワーマンションと呼ぶことがあります。しかし、具体的にどのようなマンションを、高級タワーマンションに分類するのでしょうか。高級タワーマンションとは、どんなタワーマンションなのか見ていきましょう。あわせて、購入するときの注意点も、念のためご紹介します。
高級タワーマンションはどんなマンション?
何をもって高級タワーマンションと呼ぶのか、明確な定義や基準はありません。しかし、最低限満たすべきポイントは「高価」であること。どのようなタワーマンションが、手が届かないほど高価なのでしょうか。高級タワーマンションがどんなマンションなのか、その特徴を紹介します。
眺望がよく、利便性が極めて高い
20階以上の超高層マンションをタワーマンションと呼ぶことが多く、一般的なマンションに比べて眺望がよいのが特徴です。高層階であれば、低層マンションでは味わえないような景色を眺めることができます。高さがあるため遠くまで見渡せ、湾岸エリアであればオーシャンビューを楽しめるでしょう。また、商業エリアから近いこともあり、夜になれば眼下に夜景が広がります。
また、高級タワーマンションは人気のエリアに建築されることが多く、駅や商業施設に直結していることも珍しくありません。通勤・通学はもちろん、日々の買い物や通院など、生活の利便性も高いでしょう。タワーマンション内に商業施設や公共施設があることも多く、雨の日でも傘を持たずに買い物ができるのも魅力です。
コンシェルジュが常駐している
高級タワーマンションには、コンシェルジュが常駐しているケースが多く、ホテルのような暮らしを手に入れられます。コンシェルジュとは、マンションのエントランスホールなどに常駐するスタッフのことで、マンションの居住者へさまざまなサービスを提供しています。
マンションの管理人が建物の維持管理や見回り、清掃などを行うのに対し、コンシェルジュは居住者の生活に関するサポートを行うことが一般的です。マンションによって受けられるサービスは異なりますが、代表的なものとしては宅配便の受付やクリーニングの取り次ぎ、タクシーの手配、ゲストルームなど共用施設の予約受付、備品の貸し出し、来訪者への対応などが挙げられます。
内装のグレードが非常に高い
高級タワーマンションでは内装や設備に、ハイグレードな仕様が採用されています。たとえば、キッチンや浴室は機能面だけでなくデザイン性も考慮され、素材や質感にまでこだわって選ばれています。
また、高い天井や大きな窓は開放感があり、ラグジュアリーな空間演出に魅了される人も多いでしょう。高級タワーマンションの内装に共通する特徴としては、生活空間の質を重視したい人の購買意欲を高めるようなインテリアになっていることです。
充実した共用施設を利用できる
高級タワーマンションは住戸数が多く、それだけ共用施設が充実しています。たとえば、雨の日でも子どもが楽しく遊べるキッズルームや来客者が宿泊できるゲストルーム、高層のタワーマンションならではのビューラウンジがあったりもします。
マンションによって異なりますが、ほかにも次のような共用施設が備わっていることがあります。
- カフェラウンジ
- コンビニ、ミニショップ
- ジム、フィットネスルーム
- 大浴場、サウナ、プール
- シアタールーム、ライブラリールーム
- ワーキングスペース、スタディスペース
- 屋上庭園、ドッグラン
セキュリティが高く安心して暮らせる
高級タワーマンションは入居者数が多いこともあり、セキュリティが強化されています。エントランスだけでなくエレベーターホールの前にもオートロックを設けていたり、該当する階しかエレベーターが止まらないシステムを導入していたり、関係ない人の侵入を徹底的に防ぐ仕組みになっています。訪問してもコンシェルジュの案内がなければ、居住者にも会えないマンションもあるほどです。資産のある人が、安心して暮らせるだけの高いセキュリティになっているのです。
資産価値が高いため、高額で売却しやすい
高級タワーマンションは立地がよい場所に建てられているため資産価値が高く、また人気もあるため、高額で売却しやすい傾向があります。また、近年は新築マンションの価格が高騰していることもあり、タイミングや条件によっては購入時よりも高く売却できる可能性もあるでしょう。
マンションの売却を予定していなくても、資産価値が高いマンションを購入しておくことで、まとまった資金が必要になったときも安心です。
高級タワーマンションはここにある!
高級タワーマンションを購入したい場合、どのエリアで探したらよいのでしょうか。都市別に高級タワーマンションが集中するエリアを紹介します。
【東京】港区、江東区、品川区、中央区
東京都内で高級タワーマンションが特に多いのは、港区、江東区、品川区、中央区です。湾岸エリアを希望する人は江東区や港区、中央区、高級住宅地ならではのステータスを求める人には六本木や赤坂、白金のある港区がおすすめです。東京の有名な高級タワーマンションとしては、六本木ヒルズレジデンスや赤坂タワーレジデンストップオブザトップ、白金ザ・スカイなどがあります。
【大阪】梅田、御堂筋本町
大阪府内であれば、大阪市北区の梅田周辺や中央区で多くの高級タワーマンションを見られます。大阪の中心地でもあることから、交通や生活の利便性が高い人気のエリアです。大阪メトロ御堂筋線本町駅に直結するブランズタワー御堂筋本町や、中津駅徒歩1分のブランズタワー梅田ノースが人気です。
【福岡】天神、赤坂
福岡市内で人気のエリアといえば天神や赤坂ですが、高級タワーマンションが集まるエリアでもあります。商業施設や飲食店も多いことから、日々の暮らしも豊かになることでしょう。レーベン福岡天神 ONE TOWERやザ・パークハウス赤坂タワーレジデンス、MJR赤坂タワーは最寄駅からも近くておすすめです。
【名古屋】中区錦、栄
名古屋ではコロナ禍によって商業施設やビルの再開発がストップしていましたが、ようやく計画が進む兆しをみせています。利便性の向上や商業施設の賑わいによっては、今後高級タワーマンションの人気も高まるでしょう。
名古屋の中心地で高級タワーマンションを探すのであれば、名古屋市中区で探すことをおすすめします。特に利便性を重視する人であれば、複数の路線が利用できる丸の内駅周辺にあるプラウドタワー名古屋錦やプラウドタワー名古屋丸の内、タワー・ザ・ファースト名古屋栄がよいでしょう。
高級タワーマンションを購入するときの注意点
タワーマンションを購入するなら、設備が充実していて、内装も美しい高級タワーマンションがおすすめです。価格が高くて下落しにくいこともあって、資産形成の一環として購入するのもよいでしょう。しかし、購入するときは、一般的なマンションと異なる注意点があります。よく確認しておきましょう。
管理費・修繕積立金が高額
高級タワーマンションは、充実した共用施設やコンシェルジュなどのサービスが魅力です。しかし、それだけ一般的なマンションよりも管理費が高額で、毎月の支出に注意が必要です。また、大規模修繕工事に、高額な費用がかかることが予想されます。高所での工事は特別な工法や重機を採用しなければならず、工期も長くなる傾向があるためです。
修繕積立金は必要に応じて値上げすることもあるため、住宅ローンの返済はある程度余裕をもって計画しましょう。
価値の下落しにくいエリア・条件を見極める
タワーマンション=高級タワーマンションではありません。立地やグレード、ディベロッパーのブランド力など、総合的に判断する必要があります。特に資産価値が下落しにくいエリアを選ぶようにし、高級タワーマンションとしてあるべき設備、サービスを備えているかよくチェックしましょう。
住民に外国人が多いので交流には英語力が必要
高級タワーマンションは投資目的で購入する人も多く、所有者ではなく賃借人が住んでいることも多いのが特徴です。そのため、一般的なマンションより外国人が住む割合が多いこともあります。そのため、マンションの住人との会話に、英語力を求められる場面も多いでしょう。
ベランダに洗濯物を干せない
高級タワーマンションは安全性を担保するために、管理規約でベランダに洗濯物を干せないと定められていることが多く、そもそもベランダがない物件もあります。天日干ししたい方にとってはマイナスポイントになるかもしれませんが、基本的には洗濯乾燥機を使うことを想定しておきましょう。

一心エステート株式会社代表取締役 不動産コンサルタント
【保有資格】宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/損害保険募集人資格/管理業務主任者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/住宅金融普及協会住宅ローンアドバイザー/相続診断士
1983年福井県生まれ。金沢大学工学部を卒業後、大手コンサルティング会社で新規事業立ち上げや不動産会社のコンサルティング業務に4年間従事。その後、リストグループで不動産仲介営業・営業管理職・支店長を経て、一心エステート株式会社を創業。創業当初から金融機関・不動産会社へのコンサルティングを行い、東京都心を中心に不動産仲介実績を積み上げている。2023年に著書「住んでよし、売ってよし、貸してよし。高級マンション超活用術: 不動産は「リセール指数」で買いなさい」を出版。