住宅ローンあるけど引っ越したい!ローンがある場合の住み替えを解説

住宅ローン残債がある中での引っ越しは、可能な場合と、条件付きで可能になる場合があります。

住宅ローンがあっても引っ越せるケースとはどういったケースなのか、住み替えたくても住み替えられない際の対処法などを解説します。

住宅ローンがある中で引っ越しは可能?

結論からいうと、住宅ローンが残った状態での引っ越しは可能です。

しかし、住宅ローンの債務者は金融機関との契約上で自宅に住み続ける約束になっているため完全に自由な引っ越しはできません。

住宅ローンが残った状態での引っ越しは、可能なケースと、条件付きで可能なケースがあります。

住宅ローンがあっても引っ越せるケース

まず、ローンの債務者(契約者)以外の家族は特に縛りを受けないので、自由に引っ越しができます。子どもが進学で他県に行くなどは自由にできるということです。

ローン残債がある家に住む家族の中で、一部の人だけが引っ越すことは可能です。ローン債務者が仕事上の転勤で引っ越しが必要になったような場合は、債権者たる金融機関に事情を説明しておきましょう。

原則として、住宅ローンが残っている場合は家族全員で引っ越すことができません。

しかし、両親の介護が必要など正当な理由があれば引っ越すことが可能です。将来戻る場合も、金融機関が承諾すれば引っ越せます。

住宅ローンが残った状態で両親に家を譲れるのか

自分は引っ越して、ローンが残る自宅を両親に譲ることは可能ですが、基本的には残っている住宅ローンの完済が条件になります。

両親に自宅を売った代金でローンを完済できれば問題ないですし、売却代金で完済できない場合でも自己資金を追加して完済できれば大丈夫です。

両親に無償で自宅を譲り、ローン完済の資金をすべて自己資金で賄う選択もできますが、その場合は両親が自宅分の価値の贈与を受けたとして贈与税を課税される可能性があるので注意が必要です。

住宅ローンがある家を売却や賃貸に出す方法

ローンが残る家を売却もしくは賃貸に出して引っ越しをする方法について見ていきます。

賃貸に出して引っ越す方法

前段でも触れましたが、住宅ローンを利用するにはローン債務者がその自宅に住むことが条件です。

ですから勝手に第三者に賃貸に出して自分は引っ越しをする、ということはできません。

仕事の事情や介護など正当な理由があれば認められることもありますが、そうでない場合は契約違反となってローンの一括弁済を求められる可能性があります。

正当な理由がない場合でも、金融機関によってはローンの種類を収益物件用に変更することで賃貸に出せることもあります。

ただし、アパートローンなど収益不動産向けのローンは自己居住用の住宅ローンより金利が高いので注意が必要です。

家を売却して引っ越す方法

家の売却代金でローンの残債を賄えるケースを「アンダーローン」といい、売却代金でローン残債を賄えないケースを「オーバーローン」といいます。

アンダーローンの場合は売却代金でローンを完済できますから、債権者たる金融機関は特に文句をいいません。

ですからこの場合は安心して売却に臨めます。

しかしオーバーローンの場合は売却してもローンを完済できないので、そのままでは金融機関が売却を認めてくれません。

そのため対処法を考える必要が出てきます。

まずは売却代金に自己資金や両親などからの援助資金をプラスしてローンの完済ができないか考えてみましょう。

追加の自己資金がどうしても用意できない場合、かなり難度が上がりますが任意売却という手法もあります。

特別にローン債権者の承諾を得て自宅を売却し、その代金をローンの残債に充当したうえで、残ったローンは少しずつ時間をかけて返済していくことを認めてもらう方法です。

ただしローン債権者の承諾を得るのは非常にハードルが高く、ローンの支払いが難しくなって自己破産を視野に入れるほどの資金難に遭遇したようなケースでなければ認めてもらうのは難しいでしょう。

ほかには住み替えに際して住み替えローンを検討することもできますが、これは旧自宅のローンと新居のローンをまとめて借り入れるもので、債務者に相当の信用が無ければ認めてもらえません。

売却での引っ越しを成功させる鍵は不動産会社選び

もし住み替えを検討するならば、不動産会社選びには意識を払いましょう。

住み替えは旧自宅の売却と新居の購入という二つのフェーズがありますが、これらを同じ不動産会社に依頼するのがお勧めです。

住み替えを同じ不動産会社に頼むべき理由

住み替えでは旧自宅を売却して新居に引っ越すという一連の作業を連動させる必要があります。

旧自宅の買い手を探して交渉し、契約をまとめて買い手に引き渡すタイミングと、新居を探し、購入して実際に引っ越しを実行するタイミングをできるだけ合わせることでスムーズな住み替えを実現できます。

売却と購入を別々の不動産会社が担当する場合、タイミングを合わせるのはかなり困難です。

同じ不動産会社が担当すれば、できるだけタイミングを合わせてスムーズな住み替えを実現できます。

住み替えを成功させる不動産会社の選び方

住み替えを同じ不動産会社に依頼する場合、購入と売却両方に精通した不動産会社を選ぶことが大切です。

住み替えには売却を先行させる「売り先行」と、購入を先行させる「買い先行」があり、相談者が置かれた状況によってどちらを優先すべきか変わってきます。

こうした相談に丁寧に応じてくれる会社が安心です。

また万が一自宅の買い手が付かなかったときに、不動産会社が直接買い取ってくれる買取保証を付けられる不動産会社もあります。

自宅が売れないと新居の購入フェーズで支障が出るので、万が一の買取保証があると安心です。

引っ越しても住宅ローン控除は受けられる?

住宅ローンの債務負担を軽減するため、国は住宅ローン控除の施策を用意しています。新築は13年間、中古住宅であれば原則として10年間、毎年のローン残高の0.7%を所得税額から控除できます。

住宅ローン控除は税金の話ですから、ローン債権者との契約とは別視点で考える必要があり、引っ越ししても控除を利用できるかどうかについて押さえておく必要があります。

まずローン債務者が引っ越しても家族が自宅に残っていれば、条件を満たすことで引き続き控除受けられます。

家族全員が引っ越してしまうと控除を受けられなくなり、その間は控除期間が伸長されないため、その分の適用期間を損してしまいます。

ただし、例えば転勤が終わって元の自宅に戻ってきた時点で、控除期間が残っていれば、その残った期間分は適用を受けられる場合があります。

住み替え後も住宅ローン控除は使える?

住み替え先の新居も、条件を満たせば住宅ローン控除の利用が可能です。

ただし、旧自宅と新居の両方で住宅ローン控除を受けることはできません。旧自宅もしくは新居のどちらか一方での適用に限られます。

旧自宅を売却してローンを完済した後、新居で住宅ローンを利用するようなケースでは問題ありません。

なお不動産売却における譲渡所得税では特別に譲渡所得から3000万円を控除できる特例があります。

旧自宅の売却フェーズでこの特例を利用することで不動産譲渡所得税の負担を大きく減らせる効果がありますが、住宅ローン控除とは同時に利用することができません。

この点に留意し、住み替えを検討する際にどちらを使うのがお得か専門家に相談するようにしてください。

また、住宅ローン控除は新居を取得してから6カ月以内に入居することが条件の一つになっています。

この期間内に入居したことを証明するため、早めに住民票を移しておくのがおすすめです。