マンションを貸すと収入は増える?黒字・赤字の事例と注意点を解説

マンションを貸すと、家賃収入によって毎月の収入が増える可能性があります。しかし、実際には収入がプラスになる「黒字」のケースもあれば、意外なコストがかかり「赤字」になってしまうケースも存在します。

例えば、固定資産税や修繕費、空室期間の影響など、考慮すべきポイントは多岐にわたります。

「マンションを貸すことで本当に収入は増えるのか?」という疑問に答えるため、黒字・赤字それぞれの事例や注意点を詳しく解説します。

マンションを貸すと収入が増えた事例

マンションを貸すことで、収入が増えた2つの事例ケースを紹介します。収入を増やす前提は、空室の期間を可能な限り短くし家賃収入が途切れないようにすることです。

収入を増やすには、入居者から選ばれる魅力的なマンションであり、空室になっても、費用負担を最小限に食い止めるための予防策を準備しておく必要があります。

黒字事例1:低金利で不動産ローンを受けられたケース

不動産ローンを低金利で借り入れることで、収入を増やすケースです。金利が異なると同じ金額を借り入れても、毎月の返済額が大きく変動します。

金利1%の違いだけで、毎月の支払いが数万円単位で変わります。さらに、家賃を金利に合わせて数万円単位で上げると、エリアの相場額からかけ離れ、入居者が決まりにくいデメリットがあります。

そのため、低金利で毎月の返済額が低ければ低いほど、設定した家賃から利益が安定的に生み出され、収入が増えることは間違いありません。

黒字事例2:マンションの強みを積極的に広告したケース

立地条件がよいマンションで、周辺の生活環境の良さを強みとして積極的にアピールしたケースです。エリアの相場はありますが、駅徒歩10分圏内で帰り道にスーパーマーケットがあるなど、生活するうえで利便性が良いマンションは強気の家賃を検討できます。

分譲のマンションを貸し出す場合は、賃貸専用のマンションより設置設備の性能の良い機器が取り付けられています。その点もしっかりと強みとして価値をアピールできれば、収入が見込める家賃で契約できる可能性が上がります。

マンションを貸して赤字になった事例

次に、マンションを貸して赤字になってしまった事例を2つ紹介します。赤字の原因はオーナー側の運用方法に原因がある一方で、入居者側にも予期できない事態が発生した場合の原因も考えられます。

赤字事例1:入居者の家賃支払いが困難になったケース

マンションを貸して赤字になるケースは、入居者側による家賃の支払いが困難になったときです。入居者の支払いが困難になる理由は、多額の金銭トラブルの発生や、体調不良で長期にわたり給料がないなど複数あります。

オーナー側が察知できない事項がほとんどですので、事前に入居者に対して適切な対策を取ることは難しいでしょう。家賃の不払い発覚後に、契約内容に沿った手続きを実行し、少しでも家賃の空白期間を短くしましょう。

赤字事例2:空室の状態が長期間にわたり続いたケース

空室の状態が続いてしまったケースも、赤字になります。空室によって家賃が入ってこないことを、空室リスクといいます。賃貸マンションとして収入を増やすには、入居者に住み続けてもらう戦略が大切です。

空室になる理由は、周辺エリアにライバルが出現したり、特定の住人が騒音などでマンション住人に不快な思いをさせたりなど、多岐にわたります。

容易に解決できればよいですが、難しい場合は家賃が入ってこない期間も長く、結果的に赤字になります。

マンションを貸してオーナーになる際、空室リスクのシミュレーションも必ず行っておくと安心して貸し出せます。

分譲マンションを貸すときの注意点

マンションを貸すときは、間違ってはいけない注意点があります。収入を増やす目的でマンションを貸していたにもかかわらず、大きな損失が発生してしまえば本末転倒です。

自分にあった契約形態で貸し出す

マンションを貸す際は、オーナーと入居者との間で借家契約を締結しますが、借家契約は大きく分けて以下の2つあります。

  • 普通借家契約
  • 定期借家契約

この2つの借家契約の認識を間違えて契約してしまうと、将来的にマンションに戻りたいタイミングで戻れなくなるおそれあるので、注意しましょう。

普通借家契約

普通借家契約とは、賃貸期間が1年以上で設定することと決められており、契約期間が満了した際、更新ができる形態の契約です。実際の普通借家契約の契約期間は、2年ごとで契約更新する場合がもっとも一般的です。

入居者が貸し出したマンションに住み続けたい希望があるとき、基本的にオーナー側からの中途解約や契約更新の断りはできません。

オーナー側から入居者に対して退去を希望する場合、退去に関する正当な事由と、退去の希望日を入居者に伝える必要があります。また、契約内容によっては、立ち退き料を支払わないといけません。

退去希望に関する内容を伝える時期や、立ち退き金額の算定方法について契約書の特約で定めていることがほとんどです。

定期借家契約

定期借家契約とは、契約期間の満了時に入居者との借家契約が完了すると明記した契約です。期間が満了すれば、契約を更新することは基本的にありませんので、オーナー側に有利な契約形態になります。

数年後にマンションに戻ってくることがわかっている場合は、定期借家契約を選択するほうが賢い判断です。ただし、入居時から退去時期が決まっているため、入居者が見つかりにくく、家賃も低くなる傾向にあります。

住宅ローンの支払いが残っている

住宅ローンの支払いが残っている状態で分譲マンションを貸すときには、忘れてはいけない事実があります。

それは「住宅ローンの支払いが残っているマンションは、原則として他人に貸し出せない」という事実です。金融機関に無断で賃貸住宅にすることは、契約違反になるためです

住宅ローンはローンを申し込んだ本人がその住宅に住まうことを前提に借りており、最悪の場合、住宅ローンの残金を一括で請求されるおそれもあります。

マンションを賃貸に出せないのでは、と疑問に思われるかもしれませんが、住宅ローンを不動産用ローン(賃貸物件ローン)へ借り換えれば問題は解決します。

ただし、不動産用ローンの金利は住宅ローンより高く設定されており、支払金額が今までより割高になります。マンションの賃料を設定するときは、慎重な判断が求められます。

空室や必要経費の金銭リスクを考慮する

マンションを貸すときに考える必要があるリスクの代表例は、入居者がいない空室状況と必要経費に関する金銭リスクです。判断を間違えれば、借金を背負うかもしれません。

不動産用のローンを組んでマンションを貸し出す以上、収入が途切れた場合の負担金額への対応方法も考えておく必要があります。

必要経費の支払いができなくなることが予想できた場合、賃貸から売却へシフトチェンジすることもひとつの手段です。

独断で判断しないで、不動産会社によく相談する

マンションを貸して収入を増やすには、独断で判断しないで不動産会社によく相談しましょう。

不動産の取り扱いには、専門家でなければ熟知できない複雑な契約書の確認などが出てきます。

土地や建物の権利が絡む関係上、少しの知識不足や書類上のミスで取り返しがつかなくなるリスクもあります。知らない間に、不利な契約内容になることも十分に考えられます。

不動産会社を介すと、仲介手数料などの費用が発生するのは確かです。しかし、独自の判断で進めた結果、致命的なミスをしてしまうリスクを考えると、これらの費用は安心を得るための必要経費といえるでしょう。