都心部で人気の高いタワーマンション。高値で取引されるケースも多い一方で、将来的な資産価値の低下を懸念する声もあります。維持管理費の高騰や空き家化のリスクなど、タワーマンションならではの課題について解説し、資産価値を守るための売却タイミングもご紹介します。
目次
タワーマンションの資産価値は将来下がるのか?
タワーマンションとは、法的な定義はないものの一般的に20階以上の超高層マンションを指します。都市部に多く見られ、高層階からの景観やセキュリティ、設備の充実度が魅力です。
ここ数年、都心部を中心にタワーマンションの価格は高止まりが続いています。新築・中古ともに需要が高く、購入時より高値で売れるケースもあります。
ここではタワーマンションの特徴を捉えつつ、その資産価値の性質や価格下落の可能性、値下がりしやすい物件の特徴などを見ていきます。
マンションの資産価値とは
市場におけるマンションの資産価値は「売却時にどの程度の価格で売れるか」という物差しで測られます。
築年数だけではなく立地や管理体制、建物の品質、地域の将来性など多くの要素が関係しています。
都市部の駅近マンションや再開発地域内の物件などは、築年数が経過しても需要が高いため、資産価値を保ちやすい傾向にあります。
見かたを変えると「今後も住みたいと思う人がどれだけいるか」という需要面が大きく影響しているとも言えます。
タワマンの資産価値は下がる可能性がある
タワーマンションの資産価値が下がるとされる理由のひとつに維持管理費用の高さがあります。
高層階を支える構造や数基のエレベーター、防災設備、機械式駐車場、豪華な共用施設などを維持するためには多額の費用がかかり、これらはすべて管理費や修繕積立金として住民が負担します。
築年数が古くなるにつれて修繕費が増えて管理費も上昇するため、住民の負担が重くなっていきます。
将来的に負担を維持できない住民が増え、修繕計画が遅れたりするリスクから物件としての価値が下がる可能性があります。
また地域的な要因から同じようなスペックの物件が密集すると、売却時には競合が激しくなり、価格下落の要因になります。
資産価値の下がりやすいタワーマンションの特徴
資産価値が下がりやすいタワーマンションの特徴としては、管理体制が弱い物件が挙げられます。
管理会社の質や住民の協力体制が不十分な場合、購入希望者から敬遠されることがあります。
また周辺にスーパーやコンビニなど日常生活に欠かせない施設が少ないタワーマンションも、入居希望者が減少する可能性があります。
このようなリスクを避けるためには、実績のある不動産会社に相談し、購入前に将来的な維持費や地域特性を見極めることが大切です。
湾岸のタワマンは2024年に暴落すると言われていた
かつて2024年には湾岸エリアのタワーマンション価格が暴落すると、一部で報じられました。
理由としては、湾岸エリアの大規模新築マンションの引き渡しが一気にはじまることで近隣の中古マンションの売却募集が大量に増え、物件価格が下落する可能性がある点が挙げられていました。
しかし現在のところそのような極端な価格下落は起こっていません。
これについて以下で深掘りします。
不動産価格指数からは、価格の暴落は読み取れない
国土交通省の不動産価格指数によると、2024年時点でも首都圏のマンション価格は堅調に推移しており、価格の下落傾向は見られませんでした。
タワーマンションも築浅物件を中心に高値での取引が続いています。
中古マンションの成約件数と単価も上昇している
公益財団法人「東日本不動産流通機構」のデータを見ると、首都圏の中古マンション成約件数と単価はともに上昇傾向にあります。

2024年の首都圏中古マンションの成約件数は3万7,222件で前年比3.4%増、成約物件価格は4,890万円で前年比6.9%増となっています。
ただしこの傾向が今後も続く保証はなく、金利上昇や人口減少の影響を受ければ、将来的な価格下落の可能性はあります。
タワーマンションの資産価値が下がる要因
ここではタワーマンションの資産価値が下がる要因について見ていきます。
管理費・修繕費が上がり続ける
タワーマンションは設備が多く修繕にかかるコストも膨大です。
エレベーターの入れ替えや機械式駐車場の修理、共用部分の清掃など、日常的な維持に高額な費用がかかります。
築年数が経過すると修繕積立金が不足するケースも多く、管理組合が値上げを決定せざるを得ない事態に陥ることもあります。
大規模修繕が行われない
タワーマンションでは高層構造ゆえに足場を組む費用が高額になり、工期も長期化しやすいため、大規模修繕にかかる住民の合意形成が困難になりがちです。
この状態が続くと建物の劣化が進み、結果的に資産価値を大きく損ないます。
タワーマンションが将来空き家だらけになる
タワーマンションの将来像として懸念されているのが空き家化です。高額な維持費や高齢化による転出が進むと住民が減少し、空室が目立つようになる恐れがあります。
空き家だらけになると言われている理由
若い世代は貧しくなりつつあり、タワーマンションの購入が可能な層は限られます。おもな入居者層である経済力のある世代は高齢化し、移動の負担などから売却を検討するようになります。
買い手がつかず、借り手も見つからないことで空き家が増加します。
空き家だらけのタワーマンションの問題点
空室が増えると管理費や修繕積立金の確保、保全が一層難しくなり、建物全体の維持が困難になります。
管理人の削減や清掃頻度の低下などで住環境が悪化し、さらなる価値下落を招くという悪循環が生じます。
タワーマンションの売却に適したタイミング
タワーマンションの資産価値を最大限に活かすには、売却のタイミングを見極めることが重要です。
以下では売却に適した時期や判断基準を紹介します。
不動産価格の上昇するタイミング
景気回復期や金利が低い時期には不動産全体の価格が上昇します。
タワーマンションも例外ではなく、需要が高まるタイミングで売却を行えば高値が期待できます。
住まなくなってから3年目以内
居住していない状態が続くと、固定資産税や管理費などのコストだけが発生します。住まないのであれば早めに売るのが得策です。
住まなくなってから3年以内に売却することで、不動産譲渡所得税の課税の特例を受けられます。譲渡所得から最大3000万円を控除できるため、大きな節税になります。
マイホームの3,000万円控除の特例は売るタイミングで居住していた自宅に適用されますが、過去に住んでいた自宅に対しても期限付きで適用できます。
タワーマンションの売却は不動産のプロに相談
トレンドの予測、あるいは効果的な販売戦略の立案などは素人には難しい作業です。
タワーマンションは一般のマンションよりも価格設定や販売戦略が難しい物件であるため、売却を検討する際はタワーマンションの取扱い実績が豊富な不動産会社に相談しましょう。
