マンションの売れやすい階数!高層階は本当にお得か

一般的にマンションは高層階のほうが人気が高く、売れやすい階とされています。しかし低層階や中層階にも一定のニーズがあり、一概に売れにくいとは言えません。

マンションの売れやすい階数の傾向や、低階層のマンションでも査定額を上げる方法を解説します。

マンションは上の階ほど売れやすい

マンションは、上層階になるほど人気があり売れやすいです。

しかし低層階には、築年数が経過しても価格が下がりにくいというメリットがあります。

上の階ほど高く売れる理由と、低層階の価値が下がりにくい理由を解説し、低層階の売却査定額を上げる方法を紹介します。

高階層ほど高く売れる理由

高階層のマンションほど高く売れやすいのには、以下の理由があります。

  • 日当たり・風通しがよい
  • 交通音や街の喧騒が届きにくく、静かに過ごせる
  • 視界が開けていて、眺望がよい
  • 通行人や近隣の建物からの視線が気になりづらい
  • 蚊などの虫が上階までは飛んで来にくい
  • 不審者が侵入しづらく、防犯面で安心
  • 高階層に住むことにステータス感がある

こうした理由から、同じマンションでも高階層のほうに人気が集まります。

新築マンションの低階層は価値が減らない?

高階層ほど高く売れやすいのは事実ですが、将来の売却を考えると、低階層のほうが価格の下落幅が小さく、損をしにくい傾向があります。

中古で売却する際は売主の希望価格で販売できるため、新築のように階数ごとの明確な価格差をつける必要がないからです。中古物件は売り出し中の部屋が1部屋しかないことも多く、買い手の選択肢がありません。同じマンション内の直近の成約事例などが販売価格の基準になります。

例えば新築時に3階が3,000万円、10階が3,600万円だったマンションが、10年後には3階が2,700万円、10階が3,000万円で売れることもあります。10階の住戸が3,000万円で売れたとすれば、下の階である3階は少し値引いて2,700万円で売り出せます。

このように、低階層の住戸は価格の下落が比較的緩やかで、長期的に見て損をしにくい傾向があります。

将来的な売却を見据えるなら、あえて低階層を選ぶのも賢い選択と言えるでしょう。

低階層のマンションでも査定額を上げる方法

低階層だからといって、低い金額でしか売れないわけではありません。

低階層のマンションでも査定額を上げるための、具体的な対策を解説します。

日頃から室内を綺麗に使う

室内の状態は、内見時の第一印象を大きく左右します。

特に女性は汚れが目につきやすいキッチンや浴室、トイレなどの水回りが綺麗かを気にしています。バスルームのカビなど劣化が目立つ場合、買い手からすると大金を出して購入する気にはなれないものです。日頃から清潔な状態を保ちましょう。

売却前に軽いハウスクリーニングを依頼するだけでも、内見時の印象は大きく変わります。

他の住戸が売り出されていない時に売る

同じマンション内で複数の住戸が同時に売り出されると、階数や内装の状態などを比較されやすく、成約までに時間がかかってしまいます。

また、競合が多い分、値引き交渉が入る可能性も否めません。

一方、他の住戸が売りに出ていない時期であれば、買い手にとっての選択肢が限られるため、購入を決断されやすくなります。販売価格を少し高めに設定しても売れやすいでしょう。

このように、売却のタイミングによって成約価格に差が出ることがあります。

不動産会社と相談して、なるべく同マンション・同エリア内の競合物件が少ない時期に売り出しましょう。

マンションの階層ごとのメリット・デメリット

マンションは階層によって暮らしやすさに違いがあります。

ここでは、「1階」「低〜中階層」「高階層〜最上階」それぞれのメリット・デメリットを比較しながら解説します。

1階に住むのがおすすめな人

1階に住むメリットは、「出入りのしやすさ」と「生活音で迷惑をかけない安堵感」です。

まず、エレベーターを使わずに外出・帰宅できるため、エレベーターの待ち時間によるストレスがありません。

また階下に足音が響くのを気にせずに済むため、小さなお子さんがいる家庭は精神的な負担が減るでしょう。

専用庭付きの物件もあり、ガーデニングやプールを楽しむなど、戸建て感覚で暮らしたい人に適しています。

【1階がおすすめな人】

  • 小さなお子さんや高齢の家族がいる家庭
  • ペットを飼っていて散歩に頻繁に出かける人
  • 荷物の持ち運びが多い人(ベビーカー・三輪車など)

低~中階層に住むのがおすすめな人

低〜中階層に住むメリットは、「価格と暮らしやすさのバランスがよい」ことです。

高層階に比べて価格がリーズナブルでありながら、適度な高さがあることで日当たりを確保しやすく、騒音も気になりづらいと言えます。

また、災害で停電が起きた時には、階段を使って避難できる安心感もあります。

【低~中階層がおすすめな人】

  • 高すぎる階は苦手な人
  • コストパフォーマンスを重視する人
  • 災害時に地上に出やすい安心感を求める人

4階は売却しにくいデメリットがある

4階建てまでのマンションはエレベーターが設置されていないケースも多いです。エレベーターのないマンションの4階は売却が難しくなり、成約のために価格調整を迫られるケースも少なくありません。

特に購入検討者が家族連れやシニア層である場合、階段のみの移動に不安を感じることが多いです。

見学の時点で「4階まで上るのが大変」と実感されると、敬遠されてしまう可能性も高まります。同価格帯に競合するエレベーターのある物件が存在する場合、そちらに流れてしまうのは自然なことです。

高階層~最上階に住むのがおすすめな人

高階層に住むメリットは、「将来的にも変わりにくい日当たりや眺望が手に入ること」です。

開放感のある景色を楽しみたい人には理想的な環境です。

また、低〜中階層よりも高さがあることから、防犯性が高く、地上の騒音もさらに届きづらくなります。特に、最上階は上階からの生活音がないため、静かで快適な住環境を求める人に最適です。

ただし、地震の際に揺れを感じやすい、停電時にエレベーターを使用できないなど、災害時のリスクは把握しておく必要があります。

【高階層~最上階がおすすめな人】

  • 見晴らしや景色を楽しみたい人
  • 周囲の騒音を避けて静かな環境で暮らしたい人
  • 将来的な資産価値を重視する人

階層以外でマンションが売れやすくなるポイント

マンションの売れやすさは階数だけでは決まりません。以下の要素も大きく影響します。

  • 間取り
  • 築年数
  • 管理の状態
  • 立地や周辺環境
  • 耐震性
  • 施工会社や販売会社
  • 売り出し価格

次から、順番に解説します。

間取り

マンションの売れやすさには、間取りが大きく関係しています。

特に人気があるのは、3LDKです。子どもが1人または2人のファミリー層にとって、ちょうどよい部屋数であることが人気の理由です。

2LDKや4LDKにも、一定の需要があります。この場合は、地域のニーズに合っているかどうかが早期成約のポイントになります。

なお、1LDKや1DKといった間取りはシングルやカップル向けのため、購入希望者が少なくなります。売却に時間がかかる可能性もあります。

築年数

マンションの価格は、築年数に大きく左右されます。

築浅の物件ほど高値がつきやすく、築年数が進むにつれて価格が下落していく傾向があります。

ただし、立地がよい物件・管理がしっかりしている物件は、築年数が経過していても資産価値が落ちにくいという特徴もあります。

管理の状態

マンションの管理状態は、資産価値や住みやすさに直結するポイントです。

実際に、マンション査定には「維持管理の状況」という項目があります。

具体的には、以下のような点がチェックされます。

  • エントランスや廊下、エレベーター、ごみ置き場・植栽など共用部分の清掃体制
  • 長期修繕計画の有無
  • 大規模修繕の実施履歴
  • 管理人の常駐の有無
  • オートロック・防犯カメラなどのセキュリティ設備

共有部分の清掃が行き届いている、建物のメンテナンスが実施されているなど、管理体制がしっかりしているマンションは高く評価されます。

立地や周辺環境

立地や周辺環境は、マンションの価値を決定づける最重要ポイントです。

特に重視されるのは、最寄り駅までの距離や利便性、商業施設へのアクセスの良さです。

例えば、以下のような項目が査定に関係します。

  • 駅までの距離
  • 乗り換えの利便性
  • スーパー・コンビニ・ドラッグストア・病院への距離
  • 小中学校・幼稚園への距離
  • 治安や騒音、交通量などの住環境

立地や周辺環境は、売却時の価格や売れやすさに直結するため、購入前に慎重に確認しておきましょう。

耐震性

地震が多い日本においては、マンションの耐震性も重要です。査定の基準となるのは、1981年6月1日以降に建築確認を受けた「新耐震基準」で建てられた物件です。

新耐震基準で建てられた物件は、震度6強〜7クラスの大規模地震にも耐えうる設計となっており、安全性が高く評価されます。さらに、新耐震基準を上回る「長期優良住宅」相当の耐震性能を備えている場合は、プラス査定につながります。

一方、1981年5月31日以前に建築確認を受けた「旧耐震基準」の物件は、震度5程度への耐性を想定しているため、安全上の観点から評価が下がります。

ただし旧耐震基準の物件であっても、耐震補強工事が行われている場合はマイナス評価を抑えることが可能です。

参考:国土交通省|長期優良住宅認定制度の概要について

施工会社や販売会社

マンションの施工会社や販売会社の知名度も、査定に影響する要素です。

なかでも大手デベロッパーによる物件は、建物のグレードや管理体制への信頼性が高く、「このブランドマンションに住みたい」という根強いファンを持つケースも少なくありません。

代表的な企業には、以下のような名前が挙げられます。

  • 三井不動産レジデンシャル(パークホームズ)
  • 三菱地所レジデンス(ザ・パークハウス)
  • 住友不動産(シティハウス)
  • 大京(ライオンズマンション)
  • 東急不動産(ブランズ)
  • 東京建物(ブリリア)
  • 野村不動産(プラウド)

これらの会社は施工・販売実績が豊富であり、万が一の不具合にも迅速に対応できる体制が整っている点も評価されています。

売り出し価格

売り出し価格はマンション売却の成否を握るため、熟考が必要です。

売主としては「できるだけ高く売りたい」と考えるのが自然ですが、相場とかけ離れた金額では買い手がつかず、内見すら入らないかもしれません。

一方で、市場の動向や周辺物件の相場を踏まえて適切に価格設定すれば、売却期間の長期化を防げます。

また、不動産会社の査定価格をもとに「どの程度の価格帯で売り出すか」方針を決めることも大切です。

例えば、

  • なるべく早く売却したい→査定価格より少し抑えた設定にする
  • 価格とスピードのバランスを重視する→査定価格のままで売り出す

などのプランが考えられます。

売り出し価格の設定次第で売却の金額や期間が大きく変わるため、信頼できる不動産会社と相談しながら慎重に決定しましょう。

売却を依頼する不動産会社の見極め方

マンションを納得のいく価格でスムーズに売却するには、「どの不動産会社に依頼するか」が重要です。

ただ査定額が高い会社を選ぶのではなく、総合的に信頼できる会社かどうかを見極めましょう。

ここでは、不動産会社を選ぶ際に注目すべき4つのポイントを紹介します。

査定額の根拠を丁寧に説明してくれる

マンションの査定では、一般的に「取引事例比較法」という手法が使われます。これは、自身の物件と条件が似ている物件の取引事例をもとに、査定価格を導き出す方法です。

ただし、どの事例を参考にするかは不動産会社によって異なるため、同じ物件でも査定額に差が出ることがあります。

そのため、提示された査定額そのものよりも、「なぜその価格になったのか」をきちんと説明してくれるかどうかが重要です。

査定額の算出方法に納得できれば、売り出し価格の設定にも迷いがなくなり、自信を持って売却活動を進められます。

多彩な販売戦略を持っている

販売活動の幅広さは、売却までのスピードに大きく関わります。

従来のチラシや店頭での広告に加え、自社ホームページやメール配信、SNSなど、さまざまな媒体を活用して集客している不動産会社であれば、より多くの買い手に物件情報を届けることが可能です。

なかでも、最近は不動産ポータルサイトを利用して物件を探す人が増えており、高品質な写真や魅力的な物件紹介文を掲載できる会社は頼りになる存在です。

類似物件の販売実績がある

類似物件の販売実績があるかどうかも重要な判断材料です。

過去に同じマンションや、近いエリア、築年数の物件を扱った実績のある会社は、ターゲットになる買い手の属性や年代、予算などを把握しています。

そうした知見が販売戦略や価格設定に反映され、結果としてスムーズな売却につながります。

担当者に、「この物件と似たケースで売却実績はありますか?」と質問してみるとよいでしょう。

担当者が親身になって対応してくれる

担当者の対応の良し悪しは、会社選びの決め手になることもあります。マンションの売却には、多くの不安や疑問がつきものです。

しかも、査定の依頼から実際の売却・引き渡しまでには、短くても数カ月はかかります。その間、信頼関係を築けないまま進めてしまうと、ストレスを抱えたまま長期間過ごすことになりかねません。

「売却後に残る金額はどのくらい?」「いつ頃までに売れそう?」「何を準備すればいい?」といった疑問は、遠慮せずにどんどん聞いてみましょう。

その際の説明の仕方や対応の姿勢から、会社としての誠実さや力量が見えてきます。

複数の会社を比較し、信頼できる担当者に出会えれば、安心して売却活動を進められるでしょう。