売れるマンションの間取りとは?間取り以外の高く売れるポイントも

実は、マンションの売れやすさや価格には、「間取り」が大きく関係しています。

売れやすいマンションの間取りと、間取りごとのマンションの売れやすさを解説します。

売れる間取りのマンションは資産価値が高い

マンションの売れやすさは、立地や築年数だけでなく、間取りにも大きく左右されます。

間取りの中でも3LDKの需要は非常に高く、売れやすく資産価値が高い間取りだといえるでしょう。

一方、1LDKなどの間取りも、購入ターゲットを意識して販売活動することで、売却は十分可能です。

間取りは将来の売却価格に直結する要素であることから、マンション購入時やリノベーション時は「将来売れるかどうか」という視点を持つことが大切です。

ここからは、売れやすい間取りと、間取り別の効果的な売却方法を解説します。

3LDKの間取りが1番売れる理由

中古マンション市場で最も人気があるのは「3LDK」の間取りです。

その理由は、以下の通りです。

  • 分譲マンションを最も購入する客層は子供がいる夫婦で、2LDK以下は狭く、4LDKだと値段が高くなる
  • 子供が2人に増えても、それぞれが個室を持てる
  • 子供が独立した後も、書斎や親と同居する部屋として活用できて無駄にならない
  • これから家族が増える予定のカップルにも選ばれやすい

夫婦2人や独身だと、ローンを利用してまでマンションを購入するケースは少なく、賃貸を選ぶ人が多いです。多くは子供が生まれたタイミングで賃貸から購入に変わります。子供が1人の場合でも、2人目が生まれる可能性はあり、それぞれに個室をと考えると、3LDKが欲しくなるのでするのです。

特に、ファミリー層からの人気が高いエリアでは3LDKの需要が安定しています。

ただし3LDKの供給戸数は非常に多いため、近所に類似のマンションが売られている場合などは、間取り以外での差別化が必要になります。

交通の利便性・眺望・日当たり・周辺環境・収納スペースの広さなど、「このマンションにしよう」と思える特徴があれば、高値売却につながりやすいでしょう。

間取りごとのマンションの売れやすさ

最も売れやすい間取りは3LDKだと言われていますが、3LDK以外の間取りでもきちんとした販売戦略があれば、希望に近い価格で売却できる可能性も十分にあります。

ここでは、家族構成に注目してマンションの売り方を考えていきましょう。

具体的には、次の4つのターゲット層ごとに、どのような間取りが求められているのか見ていきます。

  • 子供なし夫婦がターゲットになる間取り
  • 単身者がターゲットになる間取り
  • 子供が独立した夫婦がターゲットになる間取り
  • 子供ありの夫婦がターゲットになる間取り

以下からは、それぞれのパターンについて解説していきます。

子供なし夫婦(DINKS)がターゲットになる間取り

子供のいない共働き(DINKS)世帯に人気があるのは、2LDKの間取りです。3LDKほどではないものの、2LDKも人気がある間取りです。

必要な広さはありながらも無駄がなく、2人それぞれが自分の時間を過ごせる空間を持てることが理由です。また、寝室以外の1部屋をウォークインクローゼットにして、リビングをすっきりさせる選択肢も。

共働きで子供のいない夫婦をおもなターゲットとする場合、通勤の便利さなどのアクセス面も重視するため、駅近にあるマンションが適しています。

また、1DK・1LDKの間取りにも需要があります。「広さよりも立地を優先したい」「余分なものを持たないミニマルな暮らしがしたい」という夫婦には、1LDKがちょうどよいサイズに感じられます。特に、都心の人気エリアで住宅価格を抑えながら暮らしたい人に選ばれやすいでしょう。

2LDK、1LDKのどちらにしても、立地や周辺環境の魅力と合わせて伝えることが売却成功につながります。

単身者がターゲットになる間取り

単身者に人気があるのは、1K〜1LDKの間取りです。

ワンルームのような単身者しかターゲットにできない間取りでも、「駅から徒歩5分以内」といった便利な場所にあれば、買いたい人が見つかりやすいでしょう。

一方、駅から遠いマンションの場合は、そのままだとなかなか売れにくいかもしれません。価格を少し下げたり、水回りの設備を新しくしたりするといった対策が必要です。

単身者向けの間取りは、生活利便性が売れやすさを左右します。「コンビニ・ドラッグストアが徒歩2分」「カーシェアリングのステーションが近い」など、日常生活の便利さをしっかり伝えることが大切です。

子供が独立した夫婦がターゲットになる間取り

子供が独立した夫婦に人気があるのは、2DK〜2LDKといった、ほどよく広さのある間取りです。

掃除や管理のしやすいサイズであることや、各自のプライベート空間を確保できることが人気の理由です。

また、この世代では、老後の生活を見据えた住み替え先としてマンションを選ぶことが多いため、周辺環境が最も重視されます。

都心の人気エリアである必要はなく、自宅の近くで日常生活のほとんどを済ませられる「ほどよく都会」の立地が特に人気です。

「近所に整形外科や内科がある」「スーパーやドラッグストアに散歩がてら買い物に行ける」など、いずれ運転ができなくなっても生活できると思える条件が揃えば、売却しやすいといえます。

子供ありの夫婦がターゲットになる間取り

子供ありの夫婦に人気がある間取りは、やはり3LDKです。

厚生労働省の資料によると、児童が1人いる世帯は児童のいる世帯の約半数、続いて2人いる世帯が約4割、3人以上の世帯は約1割です(※)。

(※)参考:厚生労働省|世帯数と世帯人員の状況5ページ目「児童のいる世帯の状況」

そのため、多数派である「大人2人・子供1人または2人の3〜4人家族」にとって住みこなしやすい広さである3LDKが最も需要があります。

また、ファミリー層にとって、間取りと同じくらい重要なのが「学区」です。

学区とは、住所によって通う公立の学校が決まる仕組みのことです。

学区の小学校・中学校の評判は多くのファミリー層が重視する点であり、学区を最優先でマンションを購入する家庭もあります。

学区の評判が悪いものでなければ、積極的に伝えましょう。さらに、休日に家族で出かけられるような公園やショッピングモールが近くにあれば、売却時に有利に働きます。

このように、3LDKの間取りに加えて「家族が安心して暮らせる住環境が整っているかどうか」が、3LDKの売れやすさを左右します。

3LDKにリフォームすれば需要は増える?

2LDKのマンションをリフォームで3LDKにすれば、需要が増えて売りやすくなるでしょうか?

確かに、2LDKに比べて3LDKのほうがターゲット層の母数が増えるため、売却のチャンスも増えることが考えられます。

特に、ファミリー層の購入を視野に入れる場合は、子供部屋を確保できる3LDKのほうが売れやすいでしょう。

しかし、2LDKから3LDKへのリフォームは必ず成功するとは言い切れません。1部屋1部屋は狭くなりますし、生活動線が短くなって窮屈に感じられることが考えられます。

費用をかけてリフォームしたのに、かえって売れにくくなるのでは本末転倒です。

リフォームを考える時は自己判断で進めずに、まずは不動産会社に相談しましょう。

一般論ではなく、自分のマンションが建っている地域で、どんな間取りに需要があるのか・どれくらいの広さが好まれているのかといった市場の動向を知ることが必要です。

また、リフォームにかかる費用と、リフォームによって上がる見込みの売却価格も比較して、費用対効果があるかどうかの確認もしなくてはなりません。

不動産会社に相談して地域の事情に合ったリフォームをすれば、資産価値が上がり早期売却につながる可能性は十分あるでしょう。

マンションで不人気な間取りはメゾネット

おしゃれなイメージがある「メゾネット」ですが、中古マンション市場では正直なところ人気がありません。

メゾネットとは、室内に階段がある、2階建てのマンションのようなつくりを指します。

見た目のデザイン性を好む人もいますが、以下の理由から敬遠される可能性のほうが高いでしょう。

  • 幼児や高齢者がいる家庭には安全上の問題がある
  • 冷暖房の効率が悪い
  • 階段のせいで部屋が狭く感じられる

売る時だけではなく貸す時にもマイナス要素になりやすいため、マンション購入やリノベーションを考えている人は注意しましょう。

一方で、「ルーフバルコニー」つきのマンションは大人気です。ルーフバルコニーとは、階下の屋根(ルーフ)を利用した屋外空間のこと。

ルーフバルコニーがあることで、マンションでも日当たりや風通しなど、オープンエアの心地よさを感じることができます。

こうした「アウトドアリビング」とも言える空間があることで開放感が生まれ、マンションが実際より広く感じられます。

こうした付加価値があれば、間取りの不利な要素を十分補うことも可能です。

内見時は不動産会社に協力してもらい、「この家を買うことで、どんな暮らしができるのか」を買い手にしっかりイメージしてもらいましょう。

マンションを高く売るにはタイミングや不動産会社選びも重要

マンションを少しでも高く早期に売却したいなら、タイミングと不動産会社選びの2点が重要です。

まず、売却のタイミングについてです。ファミリー層なら、引越しを子供の卒入園・卒入学・進級に合わせたいため、3月までに引越しを済ませようと考える人が多くなります。

このタイミングに合わせて売り出せば、より多くの人に関心を持たれて競争が起こることで、値下げ交渉を受けづらくなります。

なお、マンションの売却を不動産会社に相談してから買主に引渡すまで、早くても1カ月〜2カ月間かかります。

年が明けてから相談したのでは売れやすいタイミングに間に合わない可能性があるため、年末までには行動を起こしましょう。

次に、不動産会社選びです。売却価格は査定価格によって大きく変わるため、まずは複数の会社に査定を依頼し、金額や査定の根拠を比較してください。

その上で、地域の相場やマンションの需要を理解している不動産会社に依頼することで、効果的な販売戦略が実現します。

プロの意見を取り入れながら、確実に売却につなげていきましょう。