マンションを貸す際にかかる手数料の種類と相場を解説

マンションを貸す際には、さまざまな手数料が発生することをご存じですか?

初めて不動産投資をする方にとって、これらの手数料の種類や相場を理解することは非常に重要です。

マンション賃貸における手数料として、具体的な管理方法の選択まで、詳しく解説していきます。

マンションを貸す際にかかる手数料とは

マンションの賃貸を始めると、主に「仲介手数料」と「賃貸管理手数料」の2種類が発生します。

これらは、賃貸経営を行う上で避けては通れない重要な費用です。

賃貸経営に関わる手数料の種類や金額を把握することで、より効率的な資産運用が可能になります。

仲介手数料について

仲介手数料は、不動産会社が入居者を見つけ出す際に発生する手数料です。

この手数料は、物件の広告掲載や内見の案内、契約手続きなどのサービスの対価として支払われます。

仲介手数料の相場や上限、計算方法について詳しく見ていきましょう。

仲介手数料の相場と計算方法</h4>

一般的な仲介手数料の相場は、家賃1カ月分となっています。

これは、貸主と借主の双方から仲介手数料を受け取る場合の上限額が、「賃料の1カ月×1.1倍(税込)」以内と定められているからです。

仲介手数料について具体的な計算例をもとに解説していきます。

家賃8万円の物件の場合、仲介手数料は8万円×1.1倍=上限8.8万円(税込)以内です。

上記の金額はあくまで貸主と借主の双方が承諾した場合であり、一方が承諾しなかった場合は金額が変更になります。

参考:国土交通省 | 建設産業・不動産業:<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ

仲介手数料の法定上限</h4>

前述したように、仲介手数料には法律で定められた上限があります。

宅地建物取引業法により、依頼者の双方(貸主と借主)からもらえる家賃の1.1カ月分(税込み)を超えてはならないと定められています。

上記はあくまでも上限です。不動産会社の仲介手数料を安く抑えたい場合は、一度値下げ交渉をしてみてもよいでしょう。

仲介手数料に含まれるサービス内容</h4>

仲介手数料には多岐にわたるサービスが含まれています。

主なサービス内容を以下にまとめてみました。

  • 物件の市場調査、適正家賃の査定
  • 物件情報の広告掲載
  • 内見希望者への案内
  • 入居申込者の信用調査
  • 賃貸借契約の締結手続き

これらのサービスにより、オーナーの手間を大きく削減し、安全な賃貸経営を支援する重要な役割を果たしています。

賃貸管理手数料について

賃貸管理手数料とは、物件の運営管理を不動産会社に委託する際に発生する費用です。

この手数料は、継続的な物件管理サービスの対価として毎月支払われます。

賃貸管理手数料の相場やサービス内容、注意点について詳しく見ていきましょう。

管理手数料の相場</h4>

一般的な管理手数料の相場は、月額家賃の5%程度といわれています。

例えば、家賃8万円の物件の場合、管理手数料を5%とすると4,000円です。

ただし、この金額は物件の規模や依頼するサービス内容によって変動することがあります。

地域性や物件の特性、管理会社のサービス内容によっては、相場は以上になることもあるでしょう。

管理手数料に含まれる基本的なサービス</h4>

標準的な管理手数料には、さまざまな基本サービスが含まれています。

あくまで一例ではありますが以下に分かりやすくまとめました。

  • 申し込みの対応・入居審査
  • 賃貸借契約の締結
  • 家賃の集金代行
  • 入居者からの問い合わせ対応
  • 建物の定期点検・設備や共用部の不具合対応
  • 空室物件の換気・清掃
  • 空室率を下げるためのアドバイスなど

日常的な管理業務だけでなく、各種書類の作成・管理や入退去時の立ち会いなども基本サービスの範囲内で行われます。

これらの基本サービスに加えて、状況に応じて必要なオプションサービスを追加することも可能です。

管理手数料が安い会社の特徴と注意点</h4>

管理手数料が相場より安い会社を検討する際は、いくつか注意すべき点があります。

まず、管理手数料の低価格を実現するために、何らかの制限があるかもしれません。

例えば、24時間対応がない場合や定期点検の回数が少ないといったことが挙げられます。

管理手数料が安く設定されていても、基本的なサービスがオプションで有料というケースもあるようです。さらに、人件費を抑えるために最小限の人員で運営している会社では、緊急時の対応が遅れるリスクも考慮する必要があります。

相場より高い管理手数料を請求される場合の対処法</h4>

管理手数料が相場より高かった場合の対応方法はいくつか存在します。

まず重要なのは、管理会社が提供しているサービス内容の確認です。

追加料金に見合う付加価値の高いサービスなのか精査してください。

24時間365日の対応体制や、定期的な市場調査レポートの提供、送金明細書の作成など、標準的なサービス以上の内容が含まれていなければ、費用対効果があるとはいえません。

長期契約や複数物件の一括管理を条件として提示することで、料金の値下げ交渉が可能なケースもあります。

また、同じエリアの他の管理会社とサービス内容や料金を比較検討することも、適切な判断を行う上で重要です。

マンションを貸す際の管理方法の選択

マンションの賃貸管理をする方法には、主に「不動産会社への委託」「自主管理」「サブリース方式」の3つの選択肢があります。

それぞれに特徴があり、オーナーの状況や希望に応じて最適な方法を選択する必要があります。

以下では、各管理方法の特徴と選択時の注意点について詳しく解説していきます。

不動産会社に管理委託するメリット・デメリット

不動産会社への管理委託は、多くのオーナーが選択する一般的な方法です。

項目メリットデメリット
管理の質専門知識を活かした適切な管理が期待できる会社によってサービス品質にばらつきがある
トラブル対応さまざまなトラブル対応を任せられることで、オーナーの負担を軽減できるトラブルの対応や処理スピードが会社ごとに異なる
法的対応法律改正への対応が確実に行われるため、コンプライアンス面でも安心できる法的な対応やオーナーへの情報提供の頻度が会社によって異なる可能性がある
コスト時間的負担の軽減によりオーナーの間接的なコスト削減が期待できる管理手数料を継続的に支払い続けなくてはてけない
オーナーの意向専門家に任せるので物件管理の効率化が図れるオーナーの意向が反映されにくい場合がある

管理会社に任せられる業務内容</h4>

管理会社に委託できる業務は、以下のように多岐にわたります。

  • 入居者の募集や入居審査
  • 契約更新手続き
  • 退去時の立ち会い
  • 定期的な建物点検や設備の保守管理
  • 清掃管理
  • 必要に応じた修繕工事の手配など

このほか、経理業務として家賃の集金や諸経費の支払い、収支報告書の作成、確定申告用の資料作成なども行ってくれます。

これらの不動産会社に任せることで、オーナーは賃貸経営に関する煩雑な作業から解放されるでしょう。

管理委託にかかる費用の詳細</h4>

管理委託にかかる費用は、基本の管理手数料以外にもさまざまな費用が発生します。

主な費用項目は以下の通りです。

1. 基本管理手数料

  • 月額家賃の3〜5%程度
  • 地域や物件、管理会社によって変動あり
  • 通常は毎月定額で発生

2. 更新事務手数料

  • 家賃の0.5〜1ヶ月分
  • 契約更新時(通常2年ごと)に発生
  • 借主から直接受領するか、貸主が負担する場合がある

3. その他の諸経費

  • 集金代行手数料:1回あたり100〜300円程度
  • 修繕工事手数料:工事金額の10〜15%程度
  • 入退去立会費用:1回あたり数千円〜1万円程度

これらの費用は管理会社によって設定が異なるため、契約前に詳細を確認することが大切です。

また、オプションサービスを追加する場合は、別途費用が発生することがあります。

管理会社の選定基準と比較ポイント</h4>

管理会社の選定は、マンションの賃貸経営を左右する重要な判断となります。

まず会社の信頼性として、創業年数や管理戸数、財務状況、業界での評価などを確認してください。

これらの要素は、長期的な取引関係を築く上で重要な指標となるからです。

サービス内容については、24時間対応の有無や定期点検の頻度、報告書の充実度などを比較します。

また、担当者の対応の丁寧さ、レスポンスの速さ、オーナーの要望への柔軟性などを総合的に評価することで、より良い選択が可能となります。

管理会社の変更方法と注意点</h4>

管理会社の変更を検討する際は、まず現状の問題点の整理から始めましょう。

現在の管理会社の課題を明確にし、改善要望を伝えた上で対応状況を確認します。

改善が見込めない場合は、新しい管理会社の選定に移ります。

管理会社を選定する際は複数社から見積もりを取り、サービス内容を詳細に比較してください。

切り替え時期については、契約更新時期に合わせることで、スムーズな移行が可能です。

その際、入居者への影響を最小限に抑え、書類の引き継ぎを確実に行えるようにします。

自主管理のメリット・デメリット

自主管理とは、オーナー自身が賃貸物件の管理を行う方法のことです。

自主管理を行うメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。

項目メリットデメリット
コスト管理手数料が不要なので収益性が高い広告や修繕のコストが割高になる可能性がある
管理の自由度オーナーの意向を直接入居者に伝えられる自身ですべての管理業務を行うので時間的負担が大きい
入居者対応オーナーが直接入居者と接するので、信頼関係を構築しやすい家賃滞納、クレーム、近隣トラブル、など、全てをオーナーが対応する責任がある
物件管理定期的に物件を確認することで、建物や設備のトラブルを早期に発見することが可能自身で物件の確認・管理をしないといけない
専門知識の必要性専門知識を深めることで、不動産投資に役立てられる賃貸借契約などの法律やリフォームに関する知識を覚える必要がある
対応の柔軟性オーナーの判断をすぐに反映できるプライベートな時間が制限される可能性がある

自主管理での必要な作業</h4>

自主管理を選択した場合、全ての管理業務をオーナー自身で行う必要があります。

一例ではありますが、自主管理の業務を分かりやすく以下にまとめました。

  • 物件の広告掲載、内見対応
  • 入居者の募集、入居審査、賃貸借契約書の作成
  • 家賃の集金、滞納者への連絡
  • 入居者のトラブルや苦情の対応
  • 設備の点検・清掃

さらに、各種書類の保管や収支管理、確定申告の準備といった事務作業も発生します。

また、これらの業務を確実に遂行するためには十分な時間の確保が必要です。

トラブル発生時のリスク</h4>

自主管理での最大のリスクはトラブル発生時の対応です。

法的トラブルとしては、契約書の不備による問題や法律知識の不足によるトラブル、賃貸借契約上の解釈の相違などが挙げられます。

金銭トラブルでは、家賃滞納への対応や原状回復時の精算トラブル、修繕費用の負担に関する争いが起こりやすいようです。

また、近隣トラブルとして騒音苦情やゴミ出しルール違反、共用部分の使用方法に関する問題なども発生する可能性があります。

自主管理ではこれらのトラブルに対して、適切な対応を取れるようにしなくてはいけません。

サブリース方式のメリット・デメリット

サブリース方式は、専門会社が一括して物件を借り上げ、入居者に転貸する方式です。

サブリース方式を検討する際は、以下のようなメリットとデメリットを十分に理解しておく必要があります。

項目メリットデメリット
家賃収入空室の有無に関わらず、定額の家賃収入を得ることができる家賃が市場相場より安くなることが多く、通常80%程度の設定になる
空室リスク入居者の募集や退去に関するリスクを不動産会社が負担してくれる空室期間中は保証されるが、満室になっても収入が変わらない
管理の手間物件管理に関する業務を全て会社のほうで行ってくれるため、オーナーの手間が最小限になる物件の管理方針に関する裁量が限られ、家賃設定や入居者選定を会社に委ねる必要がある
修繕費用の分担契約時に修繕費用の分担について明確な取り決めができる修繕内容や頻度が会社主導で決まる場合、予想以上にコストが増える可能性がある
契約期間と条件長期契約により安定した収入が得られる契約期間が10年以上の長期契約が一般的であり、解約時には高額な違約金を支払う可能性がある

サブリース会社の選び方</h4>

サブリース会社の選定は、長期的な資産運用を行う上で重要です。

以下の3つの観点から、慎重に内容を確認し検討していく必要があります。

1. 会社の信頼性

  •  財務状況:決算書類や企業格付けなどから経営の健全性
  •  事業実績:サブリース事業の実績年数と管理物件数
  •  業界評価:利用者の評判や顧客満足度
  •  経営方針:オーナーの経営方針との整合性

2. 契約条件の詳細

  •  保証賃料:市場相場と比較した賃料の妥当性
  •  契約期間:契約期間の長さと中途解約の可否
  •  賃料改定:改定時期と改定率の条件
  •  解約条件:中途解約時の違約金や期間

3. 維持管理体制の充実度

  •  修繕計画:長期修繕計画の内容と費用負担の明確さ
  •  点検体制:定期点検の頻度と報告体制
  •  緊急対応:24時間体制の有無と対応スピード
  •  集客力:入居者募集における実績と戦略

サブリース方式を選択する場合は、上記の要素を総合的に評価してください。

特に、契約期間が長期にわたることが多いため、途中解約のリスクも含めて検討する必要があります。

契約内容を十分に理解した上で、賃貸経営で長期的な収支計画を立てましょう。

まとめ:最適な管理方法の選択のために

マンションを貸す際の手数料は2種類あり、それぞれの相場を知ることで余計な費用を抑えることが可能です。

さらに、管理方法の選択肢としては不動産会社への管理委託、自主管理、サブリース方式があります。

それぞれにメリット・デメリットがあるので、一概にどれが最適とはいえません。

選択する際は、以下のような要素を総合的に考慮することが重要です。

  • 物件の特性(築年数、立地、規模など)
  • 運用目的(長期保有か短期売却か)
  • 管理に割ける時間と労力
  • 期待する収益率
  • リスク許容度

初めて不動産投資を行う方は、まずは信頼できる不動産会社に管理委託することからはじめてみるとよいでしょう。

経験を積んだ後に、自主管理やサブリースなど、他の選択肢へ移行する方式もおすすめです。