築20年タワーマンションの現状とは?住み続けるリスクと売却ポイントを解説

「築20年のタワーマンション」には、築年数ならではのメリットとデメリットが共存しています。住み続ける場合のリスクや注意点、そして売却を検討する際の重要なポイントを知ることは、将来の安心につながります。

築20年のタワーマンションの現状について詳しく解説し、住み続ける場合のリスクや、売却を成功させるためのコツを紹介します。

築20年のタワーマンションの現状

タワーマンションには明確な定義はありませんが、一般的に地上20階以上、高さ60m以上の超高層マンションのことを指し、主に都心部を中心に建築されています。

1970年代からタワーマンションは存在しますが、急増したのは1997年の建築基準法の改正後です。そのため、築20年を迎えるタワーマンションがここ数年で急増しています。

築20年を迎えたタワーマンションは、その状態によっては十分住み続けることが可能ですが、売却を検討するタイミングにも差し掛かる時期にもなります。

ここでは、築20年のタワーマンションが現在どのような状態であるか、その現状について解説します。

多くはリフォーム、リノベーションされている

築20年のタワーマンションの多くは、リフォームやリノベーションが施されています。

時間がたつにつれて設備の老朽化やデザインの古さが目立ってくるため、多くのオーナーはリフォームやリノベーションを行うことで、快適な居住空間を保っています。

特に、タワーマンションのような高層マンションでは、資産価値を維持するためにも最新のトレンドを取り入れたリフォームが一般的です。

また、築20年のタワーマンションは大規模修繕工事が行われている可能性が高いです。

タワーマンションは築年数が経過することで外壁や共用部分、設備の劣化が進むため、定期的なメンテナンスが欠かせません。

大規模修繕は12年ごとに実施されることが推奨されていますので、多くの場合、築後10〜15年で一度目の大規模修繕工事を実施しており、築20年の物件は外観や内装の状態が良好であることが期待できます。

震度6~7程度の地震では倒壊しない可能性が高い

タワーマンションは、基本的に最新の耐震基準にもとづいて建設されています。

特に2000年以降に建てられた物件は耐震性能が大幅に強化されています。耐震構造や免震構造が採用されており、震度6〜7クラスの地震にも耐えられる設計となっているのです。

築20年のタワーマンションであれば、その時点で新しい建築基準法にもとづいた設計がなされているため、大規模な地震でも倒壊する可能性は非常に低いと考えられます。

実際、2011年の東日本大震災の際に大きな揺れを経験したタワーマンションは多数ありますが、倒壊した事例はありません。

しかし、一方で水害や停電には注意が必要です。停電が発生すると、以下のように生活面に支障をきたすおそれがあります。

  • 給水装置が停止して水が使えなくなる
  • エレベーターが止まって高層階を階段で移動する必要がある

最新のタワーマンションでは自家発電装置や、閉じ込め防止装置付きのエレベーターなどの対策が進んでいますが、築20年の物件ではこうした停電対策が十分にとられていない場合が多く、地震以外の災害に弱い面もあります。

築20年のタワーマンションに住み続けて大丈夫?

古くなって築20年を超えたタワーマンションに住み続けても大丈夫なのでしょうか。結論としては、まったく問題ありません。

ここでは、築20年のタワーマンションに住み続けることについて、資産価値、寿命・耐久性、需要の3つの観点から詳しく解説します。

資産価値の観点

タワーマンションの資産価値は、一般的に築年数が経過するほど下がる傾向があります。そのため、一般的には資産価値が大きく下がる前に売却を検討します。

しかし、リフォームやリノベーションを行うことで資産価値の下落を抑え、場合によっては上昇させることも可能です。

たとえば、最新設備の導入や、古くなったフローリングや壁紙を張り替えることで、マンションの価値を維持・向上させられます。

また、築年数だけではなく、市場の動向によってタワーマンションの資産価値も変動します。

国土交通省の「不動産価格指数」によると、2024年8月時点で日本全国のマンション価格は過去10年間で上昇を続け、2010年を基準値100とした場合、2024年8月には206.4と2倍以上に達しています。

市場が変動する要因は建築費の高騰、為替、インフレ、コロナ禍などさまざまですが、価格が上昇するということはマンションの需要自体は減少していないといえます。

市場の動向によっては、築年数による資産価値の下落以上に価格が上がるケースもあります。

しかし、マンション市場が必ずしも安定しているわけではなく、今後価格が下落する可能性も十分に考えられますので、市場の動向を注視することが重要です。

寿命・耐久性の観点

タワーマンションの寿命については、築20年を迎えると不安を感じる方もいるでしょうが、一般的には十分な耐久性を持っているとされています。

特に、鉄筋コンクリート造で建てられたタワーマンションは耐用年数が長く、税務上の耐用年数は42年とされていますが、構造的には50年以上にわたって十分使用できるとされています。

ところが、エレベーターや空調設備、配管などの設備が老朽化すると、快適に住むためには修理やメンテナンスが必要になり、その分の費用は増加します。

築20年の段階では、これらの設備がどの程度劣化しているのか、また修繕が適切に行われているのかを確認することが重要ですが、適切なメンテナンスを行っていれば寿命や耐久性には問題はありません。

需要の観点

タワーマンションの需要は、時代の流れに伴い変化していきます。

周辺環境や施設の充実度、通勤の利便性などが影響し、需要のバランスが変わることはありますが、タワーマンションは利便性の高い立地に建設されるケースが多いため、現在も高い人気を誇っています。

また、タワーマンションに住むこと自体が時代のトレンドに左右される側面もあります。

近年では、環境への意識が高まる中で郊外型の住宅に注目が集まる一方で、都市型の利便性を求めるニーズも根強く存在しています。

さらに、20年前に比べてタワーマンションの数は増加し、その希少性がやや薄れてきた可能性はありますが、立地やアクセスが優れている物件であれば、築20年を迎えても需要が大きく減少することは考えにくいといえるでしょう。

築20年のタワーマンションは売却すべき?

築20年のタワーマンションを売却すべきかどうか、判断する際の重要なポイントについて解説します。

マンションは築年数が進むにつれて資産価値に影響が出やすいため、売却を検討する際には、資産価値やメンテナンス状況をはじめ、複数の要素を慎重に考えることが大切です。

これらのポイントを押さえることで、売却すべきかの判断や最適な売却タイミングが見えてくるでしょう。

築26~30年以降は価格が大幅に下落する傾向

築20年のタワーマンションを売却する際に注目すべきは、築26〜30年の時期です。この時期を過ぎると、建物の老朽化や設備の劣化が進むため、価格が大幅に下落する傾向があります。

築30年を超えると将来的な修繕費用の増加や、ライフスタイルの変化による間取りや設備の古さが購入希望者にとっての懸念材料となります。

特に、建築当時のままの状態でリフォームやリノベーションがされていない場合、資産価値が下がる可能性が高いです。そのため、築25年ごろまでに売却を検討することで、比較的高い価格で取引できる可能性が高まります。

2回目の大規模修繕工事前に売却を検討

2回目の大規模修繕は、築25〜30年ごろに行われるのが一般的です。

しかし、1回目の大規模修繕後に予想以上の修繕費がかかることがあり、修繕積立金が不足してしまう場合があります。

その結果、修繕費を削減せざるを得ず、十分なメンテナンスができないこともあります。

また、多くのタワーマンションでは修繕積立金の大幅な値上げが行われることもあります。これにより、購入者の負担が増え、資産価値が下がる可能性もあります。

このような状態では、良い条件での売却が難しくなるため、2回目の大規模修繕工事が始まる前に売却を検討することをおすすめします。

最終判断はプロの意見を参考にしてから

築20年のタワーマンションの売却に関して最終的な判断を下す際は、不動産の専門家の意見を参考にすることが重要です。

不動産市場は常に変動しており、特にタワーマンションのような特殊な物件に関しては、一般的な判断だけでは最適なタイミングを見極めるのが難しいこともあります。

プロの不動産会社は、現在の市場動向や将来的な価格予測、地域ごとの需要など、さまざまな視点からアドバイスを提供してくれます。

例えば、不動産会社に依頼することで、近隣の相場や類似物件の取引事例を元に、あなたのタワーマンションの適正価格を導き出してもらえます。

また、今後のリフォームや修繕計画、マンションの管理状態なども踏まえて、売却時期の提案もしてくれるでしょう。

タワーマンションの売却を検討するなら、まず不動産会社に相談するのが最も適切な方法です。