タワーマンションの1LDKに住む生活を想像すると、眺めの良い高層階やスタイリッシュな内装など、憧れを抱く方も多いのではないでしょうか。しかし、実際に住むとなると、「どのくらいの賃料が適切なのか」「ライフスタイルに合った部屋を選ぶポイントは?」といった疑問がわいてきます。
1LDKのタワーマンションでの生活イメージを深掘りし、賃料ごとの利点と欠点を整理しながら、自分に合った物件の選び方を解説します。これからタワーマンションでの新生活を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
予算別!!1LDKタワーマンションでの生活イメージ
1LDKはリビングダイニングとベッドルームが一体になった間取りで、シングルの方に適した部屋です。
ワンルームよりもベッドルームが独立しており、より広めの空間を提供します。広さは一般的に40〜60㎡で、ワンルームよりもゆったりとした生活が可能です。
タワーマンションは便利な立地にあることが多く、交通が便利で駅から近い場所に建てられていることが特徴です。
また、資産価値が高いエリアに位置していることが多いため、購入や賃貸の価格は平均的な相場より高くなる傾向があります。
価格帯は物件によって異なりますが、購入の場合、2,000万円台から数億円に及ぶことがあります。
賃貸の場合も、月々15万円から数百万円まで幅広い価格帯があり、物件によって差があります。
今回は一般的なタワーマンションの1LDKに住む場合の生活イメージを、予算別に紹介します。
上限15~20万
東京でタワーマンションを借りる場合、最低でも月々15〜20万円の賃料が必要です。この価格帯の物件は、江戸川区や墨田区など、東京の中心部から少し離れたエリアに多く見られます。
また、築年数が20年以上の物件が中心となり、部屋の広さも比較的小さめです。
タワーマンションは通常、高層階になるほど賃料が高くなりますが、15〜20万円の予算では、高層階の部屋を借りることは難しいことが多いです。
この予算では、低層階の部屋を選ばざるを得ない場合が多いでしょう。
メリット
上限15~20万のタワーマンションを選ぶ主なメリットは、次のとおりです。
- 賃料を抑えながらもタワーマンションでの暮らしを体験できる
- 物件数が多く条件に合った物件を探しやすい
15〜20万円の予算で、賃料を抑えつつタワーマンションでの暮らしを体験できます。
東京で一人暮らしをする場合、家賃の平均は約10万円前後ですが、少し頑張れば、この予算でタワーマンションの生活が手の届く範囲に入ります。
この価格帯であれば、必ずしも一等地や高層階でなくてもタワーマンションの暮らしを楽しめるでしょう。
また、この予算では、タワーマンションが都心から少し離れたエリアに位置することが多く、その分選べる物件の数が広がります。
一等地や特定のエリアにこだわらなければ、条件に合った物件を見つけやすい価格帯となっています。
デメリット
上限15~20万のタワーマンションを選ぶ主なデメリットは、次のとおりです。
- 低階層になるケースが多い
- 立地が郊外よりになる可能性がある
- 部屋の面積は比較的狭い
タワーマンションの魅力のひとつは、高層階からの素晴らしい眺望ですが、20万円以下の予算では、低層階の部屋になることが多くなります。高層階は人気が高いため、家賃がどうしても高額になるためです。
そのため、高層階にこだわりたい場合は、もう少し予算を上げる必要があるかもしれません。
また、この予算で見つかるタワーマンションは、東京の中心部から少し離れた郊外エリアにある可能性があります。
とはいえ、タワーマンションは駅から遠い場所や不便な立地には建てられないため、生活に大きな不便は感じないでしょう。
ブランド住所や特定のエリアにこだわりがなければ、十分に満足できる物件が見つかるはずです。
1LDKの部屋の広さは一般的に40〜60㎡程度ですが、家賃が安くなるほど部屋の広さも狭くなる傾向があります。
20万円以下の家賃の場合、面積が少し狭くなる可能性があるため、生活スペースのゆとりには限りが出てくることを考慮する必要があります。
上限20~30万
立地や設備、さらに高層階にこだわりたい方は、賃料として20〜30万円の予算が必要です。
この予算内であれば、都心部にある好立地のタワーマンションを借りられます。また、50㎡〜60㎡程度の広めの間取りも選べるため、ゆとりのある住空間を確保できます。
メリット
上限20~30万のタワーマンションを選ぶ主なデメリットは、次のとおりです。
- 都心に近い好立地物件に住める
- 設備が充実している
賃料が20万円以上になると東京都の場合、港区、渋谷区、新宿区、中央区など、都心の中心エリアにある物件を借りることが可能です。
また、築年数の新しい物件も選択肢に含まれるため、最新の設備や充実した共有スペースが整った住まいを選べます。
都心に近い好立地に住みたい方や、快適な設備を重視する方にとって魅力的な条件がそろっています。
デメリット
上限20~30万のタワーマンションを選ぶ主なデメリットは、次のとおりです。
- 人気物件が多いため、物件数が限られる
- 家賃は高いが、すべての条件がかなうわけではない
好立地で築年数の新しいタワーマンションは非常に人気が高いため、募集されている物件数が限られています。
また、募集が出てもすぐに成約してしまうことが多く、選べる物件の選択肢が少なくなる場合もあります。
たとえ家賃を20万円以上支払っても、立地・高層階・広さなどすべての条件を完璧に満たす物件を見つけるのは難しいことがあり、どこかで階数や広さなどを妥協する必要があるかもしれません。
30万以上
家賃が30万円以上のタワーマンションの1LDKになると、立地、高層階、面積のいずれも上位クラスの条件をそろえた物件が増えてきます。
高層階の部屋や、60㎡以上の広さを持つ部屋も選択肢に入ります。さらに、麻布、広尾、青山などのブランドエリアにある駅近タワーマンションとなると、家賃は50万円以上が必要です。
東京都心には、家賃100万円を超える超高級物件も存在します。100万円以上の物件では、超一等地の高層階に住むことができ、まさに富裕層のライフスタイルを楽しめるでしょう。
メリット
上限30万以上のタワーマンションを選ぶ主なメリットは、次のとおりです。
- 一等地の高層階に暮らせる
- 高級感のある仕様と設備
タワーマンションの大きな魅力のひとつは、一等地に位置する高層階の部屋に住めることです。そこからは都心の美しい眺望や夜景を贅沢に楽しめます。
さらに、一等地のタワーマンションは、最高級の設備や仕様が特徴です。コンシェルジュサービスや豪華な共用スペースを備えた物件も多く、快適で洗練された暮らしができます。
こうした物件では、家賃以上の価値や満足感を得られる可能性があります。
デメリット
上限30万以上のタワーマンションを選ぶ主なデメリットは、次のとおりです。
- 家賃は高い
- 定期借家契約の可能性もある
タワーマンションの賃貸は、家賃が高額になるため、十分な収入がある方でなければ借りるのは難しくなります。
また、入居審査も厳しく設定されていることが多く、収入がギリギリの方は審査に通らない可能性もあります。
さらに、タワーマンションでは「定期借家契約」で募集されている物件が多い点にも注意が必要です。
一般的な普通借家契約の場合、通常2年間の契約で更新が可能ですが、定期借家契約では契約期間終了後の更新ができません。
そのため、賃料が普通借家契約よりも割安になることもありますが、長期的には住めないという制約があります。
1LDKのタワーマンションを選定するときの注意点
タワーマンションを借りる際には、いくつかの重要なポイントがあります。
物件の選び方、予算の設定、契約内容など、1LDKのタワーマンションを選ぶ際に気をつけるべき点について詳しく解説します。
1LDKの間取りにこだわりすぎない
1LDKのタワーマンションを検索する際、多くの方が「1LDK」を間取り条件に設定することが多いでしょう。
しかし、不動産広告の規制により、実際には1LDKと同じように使える間取りでも、「1R」「1K」「1DK」と表記されている場合があります。
そのため、1LDKのみに絞って検索してしまうと、こうした物件が検索結果に含まれない可能性があります。
また、2LDKの物件でも、仕切り戸を開けることで1LDKと同じように使える間取りもありますので、そちらも併せてチェックするのがおすすめです。
インターネットで検索をする際には間取りを指定せず、部屋の面積だけを条件に設定すると、間取りにとらわれず幅広い物件を検索できます。
収入に見合った物件を選ぶ
タワーマンションの賃料は、一般的な相場よりも高く設定されていることが多く、上を見れば際限なく高額な物件も存在します。
そのため、「せっかくタワーマンションに住むなら、できるだけ良い物件を選びたい」と考えがちですが、収入に見合わない高額な物件を借りてしまうと、生活が苦しくなりかねません。
それでは本末転倒です。
1LDKのタワーマンションを探す際には、必ずご自身の予算に上限を設けることが大切です。
賃料の目安としては、一般的に手取り収入の3分の1以内が適切と言われていますが、具体的な判断については、不動産会社に相談するのが安心です。
無理のない範囲で理想的な物件を見つけるよう、心がけましょう。
契約内容に注意する
タワーマンションは基本的に分譲マンションであるため、購入者が自身の物件を賃貸として貸し出しているケースが多く見られます。
また、一時的な転勤などで期間限定で貸し出されることもあります。
そのような場合、「定期借家契約」という更新ができない契約形態が適用されることがあります。
この契約では、契約期間が満了すると更新ができないので、住み続けたいと思っても退去しなければならないため注意が必要です。
契約内容が難しいと感じる場合は、不動産会社の担当者が詳しく説明してくれるので、不安がある際は信頼できる不動産会社に相談することをおすすめします。
安心して契約を進めるためにも、疑問点はしっかり確認しましょう。
高田 一洋(たかだ かずひろ)
一心エステート株式会社代表取締役 不動産コンサルタント
【保有資格】宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/損害保険募集人資格/管理業務主任者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/住宅金融普及協会住宅ローンアドバイザー/相続診断士
1983年福井県生まれ。金沢大学工学部を卒業後、大手コンサルティング会社に入社、4年間、新規事業の立ち上げや不動産会社のコンサルティング業務に従事する。その後、当時の取引先リストグループに惹かれ入社。不動産仲介営美・営業管理職・支店長を経て、さらなる理想を追求するために一心エステートを創業。創業当初から金融機関・不動産会社へのコンサルティングを行い、ARUHI住み替えコンシェルジュでセミナー講師等を務める。豊富な不動産知識に加え20代で身に付けたコンサルティング技術、ファイナンス(お金・投資の知識)をもとに、東京都心の不動産仲介実績を積み上げている。2023年に著書「住んでよし、売ってよし、貸してよし。高級マンション超活用術: 不動産は「リセール指数」で買いなさい」を出版。