専任媒介契約は、不動産会社1社のみに販売を任せる代わりに、より手厚いサポートや戦略的な販売活動が期待できる契約形態ですが、現実には「いつまでも内見が入らない」「販売活動の報告が少ない」といった声も聞かれます。
そこで本記事では、専任媒介契約を締結した家が売れない理由や専任媒介契約を締結した家が売れないときの対処法などについて解説します。
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目次
専任媒介契約を締結した家が売れない理由5選
まずは、専任媒介契約を締結した家が売れない理由を5つ解説します。
理由①:相場より高い価格で売り出しているから
専任売買契約を締結した家が売れない理由の1つ目は、相場よりも高い価格で売り出されているからです。
不動産には地域ごとに相場があり、近隣の相場よりも高い価格に設定していると、買い手は割高と感じるはずです。
また、いつまでも売れ残っていると「この家は何か悪いの?」と疑われてしまい、さらに買い手がつかなくなってしまう可能性もあります。
そのため、仲介業者の提示する価格を鵜呑みにするのではなく、複数の業者から査定を受けたうえで、相場に近い価格で売り出してもらいましょう。
家の価格相場は、以下のWebサイトで確認可能です。
- 不動産情報ライブラリ(国土交通省が運営)
- REINS Market Information(国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営)
理由②:仲介会社から囲い込みを受けているから
専任媒介契約を締結した家が売れない理由の2つ目は、仲介業者による囲い込みが行われているからです。
以下のように、自社の顧客以外に物件の情報が他社に流れないようにする行為を、囲い込みといいます。
- 他社からの問い合わせに対して「すでに売却された」「現在交渉中」などと嘘をつく
- レインズ(不動産流通標準情報システム)の登録情報を閲覧できない状態に変更する
自社で買主を見つければ売り手と買い手の両方から手数料がもらえてお得なので、囲い込みによって情報を流さないようにします。
仮に、仲介会社Aと専任媒介契約を締結した場合に仲介会社Aが囲い込みを行っていると、「A社以外の会社に家を探しにきた人」に売りたい家の情報を伝えられなくなります。
囲い込みは法律で規制されていますが、念の為に家の情報を公開しているか定期的に確認しておきましょう。
理由③:仲介会社の広告/営業活動が不十分だから
専任売買契約を締結した家が売れない理由の3つ目は、仲介会社の広告/営業活動が不十分だからです。
広告の出稿や営業活動を積極的に行ってもらわないと、「この家を買いたい」と思ってくれる人が出てきません。
ご自身が売りに出した物件Aと、ほかの人が売ろうとしている物件Bがあるとします。
物件Bの方が売れやすいと考えて、物件Bの広告出稿や営業活動を優先させて後回しにされるケースもあります。
その結果、家の情報を得られる人が少なくなってしまい、売れ残ってしまうわけです。
周りの物件と比べて内覧希望者が少ないと感じたら、広告や営業活動を見直してもらいましょう。
理由④:物件の価値が低いから
専任売買契約を締結した家が売れない理由の4つ目は、物件の価値が低いからです。
以下のように物件の条件が悪いと、買い手から興味を持ってもらえず売れ残ってしまいます。
- 築年数が古すぎる物件
- 駅から遠い、スーパーや商業施設が近くにない
- 間取りやレイアウトの使い勝手が悪い、狭い
- 設備の故障や内装の劣化が目立つ
- 災害リスクが高い地域
悪いところが目立つ、住んだら不便そうな物件は、買い手から避けられてしまいます。
故障や劣化は、修理やリフォームなどで綺麗にしておきましょう。
難しい場合は、価格を低めに設定すれば興味を持ってもらえるかもしれません。
理由⑤:競合物件の多いエリアだから
専任売買契約を締結した家が売れない理由の5つ目は、競合物件の多いエリアだからです。
同じエリアに家の広さや部屋の数など似ている物件が多いと、競争が激しくなって売れづらくなってしまいます。
間取りや広さが似ている物件は比較されやすく、競合物件より優れているポイントを提示できないと選ばれません。
以下のような優位性があるなら、積極的に提示してアピールしましょう。
- 駅やスーパーが近い
- 道路が広く交通の安全性が高い
- 騒音が少ない、近隣の治安がいい
売りたい家と近隣の物件を比較して、家の広さや備わっている設備、立地条件などで優れている点や差別化されている点がないか調べて、あれば広告や営業で積極的にアピールしてもらいましょう。
専任媒介契約を締結した家が売れないときの対処法
続いて、専任媒介契約を締結した家が売れないときの対処法を5つ紹介します。
対処法①:別の仲介会社に相談する
専任媒介契約を締結しても売れないときに取るべき1つ目の対処法は、別の仲介会社に相談することです。
会社を変えれば、今まで売れなかった家でも売れる可能性があります。
何軒か不動産会社を尋ねて、どのような物件を取り扱っているかみせてもらいましょう。
もし、売りたい家の近くに複数の物件を取り扱っているなら、あなたが売りたい家のエリアに強い可能性があります。
入りたい家のエリアに強そうなら相談してみて、今まで契約していた会社と違う販売戦略を取ってくれそうなら契約していいでしょう。
ただし、専任媒介契約中は、ほかの仲介会社と専任媒介の契約を結んでしまうと、違約金を取られる恐れがあります。
仲介会社を乗り換えるなら、必ず専任媒介契約が切れてからにしましょう。
対処法②:契約の途中解除を申し出る
専任媒介契約を締結しても売れないときに取るべき2つ目の対処法は、契約の途中解除を申し出るです。
専任媒介契約は通常3ヶ月間の契約期間があり、その間は契約を解除できません。
しかし、不動産会社側に明らかな契約違反がある場合は、期間内でも違約金なしで解除可能です。
契約違反に該当するおもなケースとしては、以下の行為が挙げられます。
- 広告・宣伝活動が疎かになっている
- 他社に「すでに売買が成立した」「現在交渉中」など嘘の情報を流す
- 2週間に1度の報告義務を怠る
- 契約から7営業日以内に物件情報レインズへ登録しない
これらの違反行為は家の売却に悪影響を及ぼすので、まずは改善を求めるべきです。
それでも状況が変わらなければ、証拠を集めた上で契約を解除しましょう。
対処法③:不動産会社に買取ってもらう
専任媒介契約を締結しても売れないときに取るべき3つ目の対処法は、不動産会社に買取ってもらうように交渉することです。
不動産会社に買取ってもらえば以下のメリットがあります。
- 条件面で合意できれば1週間で売却できる
- 仲介手数料が不要になる
- リフォームをやって綺麗にする必要がない
- 引き渡し後の不具合(契約不適合責任)を免責にできる
通常の仲介売却では買主を見つけるまでに数ヶ月かかる場合があります。
しかし、不動産会社での買取なら、早いと1週間程度で売却可能です。
なので、素早く確実に家を売りたいなら、不動産会社に買い取ってもらいましょう。
ただし、買取価格は一般的に市場価格より15〜30%程度低くなります。
時間をかけて仲介してもらった方がお金は多く残る場合があるので、トータルで手元に残る金額を比べてから決めましょう。
対処法④:売却価格を見直す
専任媒介契約を締結しても売れないときに取るべき4つ目の対処法は、売却価格の見直しです。
というのも、相場より高い価格設定になっていると、買い手は候補から外してしまいます。
価格が相場に近いと候補に入れてもらいやすくなりますし、相場より低いと割安感が生まるはずです。
価格相場3,000万円のところに2,500万円で売りに出すと、買い手からお得に感じてもらえるだけでなく第一候補にしてもらえる可能性も出てきます。
専任媒介契約が切れる3か月を目安に、設定価格は相場に近いか確認して、割高なら価格を見直しましょう。
ただし、少しずつ下げると「もっと下がるかも」と思われて、いつまでも買い手がつかない可能性はあるので、一気に相場価格へ近づけましょう。
販売価格とあわせて、広告や営業活動といった販売戦略の見直しもおすすめです。
対処法⑤:同じ会社と契約を更新する
専任媒介契約を締結しても売れないときに取るべき5つ目の対処法は、専任媒介契約を同じ会社との契約更新です。
現在の担当者との信頼関係があり、これまでの営業活動や今後の販売戦略に問題なさそうなら、同じ会社との契約を続けてもいいでしょう。
専任媒介契約は自動更新がないので、契約期間(通常3ヶ月)満了時に改めて「媒介契約更新申込書」を交わす必要があります。
再契約するタイミングで、価格や広告内容の見直し、内覧対応の改善など具体的な今後の具体的な営業方針を決めていけば、買手が見つかる可能性は高まります。
再契約なら、新しい会社に物件情報を引き継ぐ必要がなく、これまでの販売活動で得られたデータを活かせるので、信頼できるならもう一度契約してもいいでしょう。
ただし、同じような営業方針なら、同じ結果に終わる可能性もありえます。
専任媒介契約を締結しても家が売れない不動産会社の特徴
続いて、専任媒介契約を締結しても家が売れない不動産会社の特徴を3つ紹介します。
特徴①:報告が遅い
専任媒介契約を締結しても家が売れない不動産会社の特徴1つ目は、報告が遅い点です。
専任媒介契約には、2週間ごとに依頼者へ活動報告を行う義務が会社側にあります。
報告が遅れる仲介会社は、活発に売却活動を行っていない可能性があります。
販売営業で成果がないため、報告を後回しにしているのでしょう。
また、きちんと報告されていても問い合わせや内覧に関して具体的な報告がないと、今後の販売戦略を立てられません。
報告が遅い会社は販売活動を怠っている可能性があり、報告内容が薄いと戦略の見直しが行えないため、家が売れないわけです。
義務である報告が毎回遅れているなら報告を催促して、気になるところは質問しておきましょう。
もし、曖昧な回答が続くなら専任媒介契約を結ぶ会社は変えた方がいいかもしれません。
特徴②:販売戦略が曖昧である
専任媒介契約を締結しても家が売れない不動産会社の特徴2つ目は、販売戦略が曖昧な会社です。
販売戦略に対して具体的な根拠がないと、家のニーズにあう客へアプローチできず、いつまで経っても売れません。
具体的には、以下5つのポイントに対して根拠があるか確認しましょう。
- 買い手の人物像
- 物件のアピールポイント
- Webサイトへの掲載方法
- 折り込み広告を配布するエリア
- 販売価格
とくに、二世帯住宅のような特徴的な物件の場合、「両親と同居したい夫婦」のように明確なターゲット設定が必要です。
営業活動や広告出稿などの販売戦略、家を売却したいターゲットの設定が曖昧だと、誰からも興味を持ってもらえないので、いつまでも家は売れません。
専任媒介契約は2週間ごとの活動報告義務があるので、そのときにどのような販売戦略を立てているか確認するのがおすすめです。
もし、販売戦略に対する根拠も聞いて、弱いと感じたら見直してもらいましょう。
特徴③:一人の担当者が抱えている案件が多すぎる
専任媒介契約を締結しても家が売れない不動産会社の特徴3つ目は、一人の担当者が抱えている案件が多すぎる会社です。
担当者が多くの案件を抱えていると、一つひとつの物件に十分な労力を割けないため、販売戦略が疎かになってしまうでしょう。
たとえば1件だけ案件を抱えている担当者なら、販売の営業や準備に十分な時間を使えるはずです。
しかし、10件も案件を抱えていると、1つの案件に使える時間は1/10になってしまいます。
時間が足りない結果、報告が遅れて戦略の見直しができない、物件に対する知識がなく内覧に来た客の質問に答えられないといった悪影響が出てしまい、家が売れなくなってしまいます。
専任媒介契約を締結する前に、担当者がどれくらいの案件を抱えているか確認しておきましょう。
専任媒介契約を締結した家が売れないときによくある質問
ここからは、専任媒介契約を締結した家が売れないときによくある質問に回答していきます。
質問①:専任媒介契約を一般媒介契約に変更することはできますか?
専任媒介契約が終了すれば、一般媒介契約に変更できます。
専任媒介契約には、契約の自動更新がないため、3か月の契約期間が過ぎれば終了です。
契約が満了になったタイミングで、一般媒介契約に切り替えましょう。
専任媒介契約と一般媒介契約、それぞれのメリットとデメリットを把握したうえで、一般媒介契約に変更するか決めましょう。
質問②:同時に2社と専任媒介契約を結ぶことはできますか?
専任媒介契約を締結できるのは1社のみです。
専任媒介契約が独占的に仲介を依頼する契約なので、複数社と契約できません。
同時に複数の仲介会社と専任媒介契約を締結してしまうと、宅地建物取引業法に違反してしまい、違約金が発生してしまいます。
なので、複数の会社と媒介契約を結ぶなら、一般媒介契約を選びましょう。
質問③:そもそも専任媒介契約を結ぶ必要はありますか?
必要はありませんが、以下のケースなら専任媒介契約が適しています。
- 人気エリアに建っている場合
- 売却活動の窓口を1つにしたい場合
- 買取保証を希望する場合
また、専任媒介契約なら仲介会社の販売活動がわかりやすいので、販売戦略を改善しやすいメリットがあります。
一般媒介契約の方が向いているケースもあるので、複数の仲介会社から話を来た上で専任媒介契約を結ぶか決めるといいでしょう。
まとめ:専任媒介契約で売れない場合は他社への乗り換えを検討しよう
今回は専任媒介契約を締結した家が売れない理由と対処法を解説しました。
専任媒介契約を締結しているのに家が売れなくて困っている方は、本記事を参考にして、専任媒介契約の見直しを行ってみてください。