マンションを売却する際、最初に行うのが査定ですが、査定額だけを見て判断すると、思っていたより安く売れてしまったり、より良い条件で売る機会を逃したりする可能性があります。
そこで本記事では、マンション査定の際に注意すべき点を詳しく解説し、納得のいく売却につなげるためのポイントを紹介します。
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目次
マンションの売却査定は2種類に分けられる
マンションの売却を検討する際、査定は主に2つの種類があります。
概要 | 特徴 | |
机上査定 | 物件の立地や築年数、専有面積などの基本情報をもとに、周辺相場や過去の取引事例を参考にして売却価格を算出する方法 | 複数社に一括で査定を依頼できる物件の大まかな価値を気軽に把握できる |
訪問査定 | 不動産会社の担当者が実際に物件を訪問し、建物の状態や周辺環境などをチェックしたうえで、査定額を提示する方法 | 簡易査定では考慮されない部分まで評価されるため、精度の高い査定が可能本格的に売却を進める際は、訪問査定がおすすめ |
各査定方法にメリット・デメリットがあるため、それらを把握しておくことが重要です。
不動産会社はマンション査定でどこを見るのか
ここでは、不動産会社が特に重視する2つのポイントについて解説します。
マンション全体に関するポイント
不動産会社はマンション査定でどこを見るのかの1つ目は、マンション全体に関するポイントです。
マンション全体の査定では、以下の点が重視されます。
- 築年数
- 管理状況
- 建物の構造
- 設備
- 耐震性能
- 大規模修繕の実施歴
- 長期修繕計画の有無
築年数が浅く、適切な管理体制のもと、定期的な修繕が実施されているマンションは、高い査定額を得られる可能性があります。
一方、老朽化が進み、管理が不十分で修繕の計画性に欠けるマンションは、査定額が下がる可能性があります。
比較的新しく、管理の行き届いているマンションほど、高い査定額を得られる傾向にあります。
立地や周辺環境に関するポイント
不動産会社はマンション査定でどこを見るのかの2つ目は、立地や周辺環境に関するポイントです。
マンションの立地や周辺環境においては、以下の点が重視されます。
- 交通アクセス
- 商業施設や医療・教育機関の充実度
- 騒音や日当たりなどの環境
- 治安の良さ
例えば、都心部の主要駅から徒歩圏内にあり、複数の大型商業施設が近くにあるマンションは、高い査定額を得られる可能性があります。
一方で、工場地帯に近く、緑地も少ない物件は、査定額が下がる可能性があります。
立地や周辺環境のバランスが取れた物件ほど、高い査定額を得られる傾向にあります。
マンション査定前の注意点5選
マンション査定を依頼する前に、押さえておきたい注意点を5点見ていきましょう。
適切な事前対策を行えば、より高い査定額になる可能性があります。
権利証などの書類の有無を確認する
マンション査定前の注意点の1つ目は、権利証などの書類の有無を確認することです。
マンションの権利証や図面、パンフレット、管理規約など、売却に必要な書類を事前にまとめておきましょう。
これらの資料は査定時の判断材料となるため、できる限り揃えておくのが望ましいです。
書類が不足していると、査定がスムーズに進まない可能性があります。
早めに必要書類をチェックし、紛失している場合は再発行の手続きを行っておくと安心です。
独断でリフォームはしない
マンション査定前の注意点の2つ目は、独断でリフォームはしないことです。
査定額アップのために、事前にリフォームを検討する方もいますが、不動産会社に相談せずに独断で行うのは避けましょう。
リフォームの効果は物件や部位によって異なるため、プロの意見を聞かずに行うと、売却価格を下げる要因になります。
査定後に不動産会社と相談し、売却に効果的なリフォームを検討しましょう。
掃除や片付けをして部屋を綺麗にしておく
マンション査定前の注意点の3つ目は、掃除や片付けをして部屋を綺麗にしておくことです。
第一印象は大切です。部屋が散らかっていたり、汚れが目立ったりすると、不動産会社に「物件の管理が行き届いていない」という印象を与えてしまいます。
水回りや窓ガラスの汚れなど、普段あまり掃除をしない箇所もできる範囲で清掃を行っておきましょう。
同条件の物件の売却相場を調べる
マンション査定前の注意点の4つ目は、同条件の物件の売却相場を調べることです。
不動産情報サイトなどを活用し、自分のマンションと同じ地域や築年数、間取りの物件がいくらで取引されているか、事前にチェックしておきましょう。
相場観をある程度つかんでおけば、不動産会社から提示された査定額の妥当性を判断しやすくなります。
売却価格で損をしないためにも、自身で相場調査を行うのは重要です。
住宅ローンの残債を確認しておく
マンション査定前の注意点の5つ目は、住宅ローンの残債を確認しておくことです。
住宅ローンを完済していないマンションを売却する場合、残債の状況を把握が欠かせません。物件の引き渡し時点で、住宅ローンを完済しておく必要があるためです。
手持ち資金でローンの完済や、売却価格から残債を差し引いた金額で新居購入やその他の資金計画が可能か、事前にシミュレーションしておきましょう。
マンション売却後もローンが残ってしまうと、次の住まいを探すときに影響が出る場合もあります。
マンション査定を不動産会社に依頼する際の注意点4選
ここでは、マンション査定を依頼する際の注意点を4つ解説します。
複数社に査定を依頼する
マンション査定を不動産会社に依頼する際の注意点の1つ目は、複数社に査定を依頼することです。
各社の査定額や条件を比較すれば、より高値での売却を選べます。
1社のみに依頼した場合、査定額が適正なのか判断が難しくなります。
少なくとも3社程度の不動産会社に査定を依頼し、それぞれの査定額や売却方法、仲介手数料などを比較しましょう。
マンションに関する情報はすべて開示する
マンション査定を不動産会社に依頼する際の注意点の2つ目は、マンションに関する情報はすべて開示することです。
リフォーム履歴や管理状況、物件の欠陥や不具合など、「伝えたら査定額が下がるのでは?」と不安に思うかもしれません。
しかし、トラブルを防ぐためにも、正直に報告することが重要です。
例えば以下のような情報も開示するようにしましょう。
- 水漏れ
- 窓の隙間風
- 周辺環境の騒音
物件の欠陥や不具合などを隠したまま売買が成立し、後に問題が発覚した場合、法的責任を問われる可能性もあります。
トラブルのない取引のために、物件の状況は隠さず伝えましょう。
売却仲介とマンション買取では査定額が異なる
マンション査定を不動産会社に依頼する際の注意点の3つ目は、売却仲介とマンション買取では査定額が異なることです。
査定額 | |
仲介売却 | ・高くなる傾向 |
マンション買取 | ・低くなる傾向 |
売却仲介の場合、不動産会社は売主と買主をつなぐ役割を担います。
一方、マンション買取の場合は不動産会社が直接マンションを購入します。
仲介の有無により、査定額に差が生じるのです。
一般的に、マンション買取の方が査定額は低くなる傾向にあります。
しかし、売却までの期間が短かったり、内覧対応や修繕が不要だったりするメリットもあります。
目的や状況に合わせて、売却仲介とマンション買取の選択をしましょう。
査定額で売れるとは限らない
マンション査定を不動産会社に依頼する際の注意点の4つ目は、査定額で売れるとは限らないことです。
査定額はあくまでも売却価格の目安であり、市場動向や需要の変化によって、実際の売却価格は上下します。
査定額通りに売却できると決めつけず、状況に応じた対応が必要です。
不動産会社と相談し、適切な価格で売却できるタイミングを計画するのがおすすめです。
マンション査定後の注意点3選
ここでは、マンション査定後の3つの注意点について解説します。
売れない場合でも安易に価格を下げない
マンション査定後の注意点の1つ目は、売れない場合でも安易に価格を下げないことです。
査定額通りの価格で売れるとは限りません。焦って大幅な値下げをしてしまうと、売却後に「もっと高く売れたかもしれない」と後悔する恐れがあります。
マンションの価格を下げる前に、物件の魅力を再度アピールする方法もあります。
不動産会社と協力して、物件の強みを生かした売却対策を考えましょう。
内覧時の対応を良くする
マンション査定後の注意点の2つ目は、内覧時の対応を良くすることです。
内覧は、買主が物件の雰囲気を直接確かめる大切な機会です。
売主の対応次第で、買主の購入意欲に大きな影響を与えるため、内覧の際は物件の魅力をアピールできるようにしましょう。
清掃や片付け、買主の質問にも丁寧に答えられるよう、事前準備も重要です。
内覧時の対応にひと手間かけるだけで、マンションの売却の可能性が高まるため、ぜひ実践してください。
不動産会社に任せきりにしない
マンション査定後の注意点の3つ目は、不動産会社に任せきりにしないことです。
売却活動を進めるには、売主と不動産会社の協力が欠かせません。
売主も積極的に売却活動に関わり、必要な情報を不動産会社との共有が大切です。
例えば以下の情報などが共有できます。
- 近隣の取引情報
- 物件の新たな情報や魅力
- 買主からの質問
不動産会社に任せるだけではなく、売主自身も関わることで、より買主のニーズに合った対応が可能になるのです。
マンション査定に関するよくある質問
ここでは、マンション査定に関する代表的な3つの質問について、わかりやすく解説します。
質問①:査定は無料で実施してもらえますか?
マンションの査定は、ほとんどの不動産会社で無料で行っています。
ただし、細かな査定や追加のサポートを受ける場合、一部の会社では費用が発生する場合もあります。
不必要な出費を避けるためにも、事前に不動産会社へ確認しましょう。
質問②:査定だけをお願いすることはできますか?
査定のみの依頼は可能です。
売却を決定する前に、物件の価値を知るために査定だけを受けたいという方は少なくありません。
査定結果に満足できない場合でも、売却は強要されませんので、安心して査定を依頼しましょう。
質問③:マンション査定を依頼する会社はどうやって選べばいいですか?
マンション査定を依頼する際は、信頼できる不動産会社を選びましょう。
信頼ができれば、初めから最後まで安心して取引ができます。
具体的に、信頼できる不動産会社の基準は以下の4つです。
- 査定根拠を明確に示してくれる
- 机上査定の対応が良い
- リフォームの必要性や売却のタイミングなど具体的なアドバイスをくれる
- 写真撮影や広告作成に積極的である
上記のポイントを押さえたうえで、大手と地元の不動産会社を3〜5社程度比較するとよいでしょう。
まとめ:マンション査定の注意点を把握しよう
今回は、マンション査定の注意点について解説しました。
マンションを売ることを検討されている方は、本記事を参考にして、マンション査定の実施を検討してみてください。

一心エステート株式会社代表取締役 不動産コンサルタント
1983年福井県生まれ。金沢大学工学部を卒業後、大手コンサルティング会社で新規事業立ち上げや不動産会社のコンサルティング業務に4年間従事。その後、リストグループで不動産仲介営業・営業管理職・支店長を経て、一心エステート株式会社を創業。創業当初から金融機関・不動産会社へのコンサルティングを行い、東京都心を中心に不動産仲介実績を積み上げている。2023年に著書「住んでよし、売ってよし、貸してよし。高級マンション超活用術: 不動産は「リセール指数」で買いなさい」を出版。
【保有資格】
宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/損害保険募集人資格/管理業務主任者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/住宅金融普及協会住宅ローンアドバイザー/相続診断士