マイホームを購入したものの、さまざまな事情から「買ったばかりの家をすぐに売りたい」と考える方も少なくありません。
そこで本記事では、買ったばかりの家を売るとどうなるのか、買ったばかりの家を売っても損しないケースなどについて詳しく解説します。
ちなみに、不動産売却に関するお悩みをお持ちの方には、高田の無料オンライン相談がおすすめです!
目次
買ったばかりの家を売ると損になることが多い理由
前提として、新築物件の場合、売却時に大きな損失を被るケースが多いのが現実です。
新築の家は購入直後に市場価値が下がる傾向があり、費用や税制面の影響も受けるため、売却による損失を避けるのは難しいのです。
理由①:新築物件には新築価格が上乗せされているから
買ったばかりの家を売ると損になることが多い理由の1つ目は、新築物件には新築価格が上乗せされているからです。
日本人は戸建てやマンションにかかわらず、未入居かつ完成から1年以内の新築物件に、高い価値を感じる傾向があります。
そのため、新築物件は物件自体の価格に、広告宣伝費や販売利益など1~3割程度の費用を上乗せし、「新築プレミアム」価格で販売されるのが一般的です。
しかし、一旦購入したものは新築の価値が消失するため、大幅に値下がりし損をする可能性が高くなります。
理由②:一度でも住むと中古物件になるから
買ったばかりの家を売ると損になることが多い理由の2つ目は、一度でも住むと中古物件になるからです。
法律上、新築の定義は「新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の官僚の日から起算して一年を経過したものを除く。)」とあります。
したがって、仮に入居間もない売却であっても、一度でも足を踏み入れてしまうと、新築の価値は維持できません。
一度でも住んだ物件を売るのは、新築ではなく中古相場での売却となるため、損をする可能性があります。
理由③:購入後5年以内は税金面で利益が出にくいから
買ったばかりの家を売ると損になることが多い理由の3つ目は、購入後5年以内は税金面で利益が出にくいからです。
5年以内に家を売ると「短期譲渡所得」となり、5年を超えて売る場合よりも高い税率が適用されます。
短期譲渡所得(5年以下) | 長期譲渡所得(5年超) | |
税率(所得税+住民税+復興特別所得税) | 39.63% | 20.315% |
以上のように、購入後5年以内で家を売ると、長期で保有した時より2倍近くの額の税金を納めなければなならず、損をしやすくなります。
買ったばかりの家を売っても損しないケース5選
続いて、買ったばかりの家を売っても損しないケースを5つ紹介します。
中古物件を売却する
買ったばかりの家を売っても損しないケースの1つ目は、中古物件を売却するケースです。
中古物件は「新築プレミア」と呼ばれる価格が上乗せされておらず、適正価格で購入できる場合が多いからです。
家を売る時点で、土地の相場が変わっておらず、家も適切なメンテナンスがされている場合、買ったときと同じ価格帯で売却できるかもしれません。
また、ここ数年の土地価格上昇により、築浅の中古物件の売却価格は上昇する傾向が見られます。
新築物件を一度も住まずに一年以内に売却する
買ったばかりの家を売っても損しないケースの2つ目は、新築物件を一度も住まずに一年以内に売却するケースです。
物件は完成しても未入居であれば新築扱いで取引できるため、高めの売却価格を設定して販売できます。
ただし、短期間でも入居したり、完成から1年経過したりすると中古扱いとなるため、注意が必要です。
未入居の新築物件ならば、新築プレミアの価格帯で売れるため、損をする可能性は少なくなるでしょう。
生活するうえで利便性が高い地域に建っている
買ったばかりの家を売っても損しないケースの3つ目は、生活するうえで利便性が高い地域に建っているケースです。
- 交通の便が良く、主要都市へアクセスしやすい
- 生活に欠かせない商業施設や学校、病院などが充実している
- 将来の地価上昇が期待できる
このような地域は、不動産の需要も高くなりやすいため、売却もしやすくなります。
もし、需要に対して供給数が少ない地域であれば、新築・中古にかかわらず安定した価格で取引できるでしょう。
人気エリアの家は需要が高いため、売却が比較的スムーズに進む傾向があります。
再開発などで周辺環境の価値が上がる
買ったばかりの家を売っても損しないケースの4つ目は、再開発などで周辺環境の価値が上がるケースです。
エリア内で新駅や商業施設の建設予定があると、街の利便性が上がることが見込まれるため、不動産価格が上昇する傾向にあります。
また「住みたい街」としてメディアに取り上げられた場合なども、人気エリアとして住宅の需要や関心が高まります。
街に注目が集まることで土地の相場も上がるため、購入時と同価格帯または高値で売却でき、損をしない可能性が高くなるでしょう。
類似条件の物件が高値で売れている
買ったばかりの家を売っても損しないケースの5つ目は、類似条件の物件が高値で売れているケースです。
近隣で同じような条件の物件が売却されている場合、その周辺地域の住宅に対する需要が高まっている可能性があります。
特にマンションは、似ている物件を参考に価格設定を行うため、同価格帯になる確率が高くなります。
近隣の似たような家の資産価値が上がってるときは、高値での売却が期待できる状況です。
買ったばかりの家を高値で売るコツ5選
続いては、買ったばかりの家を高値で売るコツを5つ解説します。
コツ①:複数の不動産会社に査定してもらう
買ったばかりの家を高値で売るコツの1つ目は、複数の不動産会社に査定してもらうことです。
家の価格は、築年数や立地・間取り・周辺環境などさまざまな要因を総合して決めるため、査定を一社に絞ると適正価格を把握できない可能性があります。
複数社から見積もりを取るメリットは以下の通りです。
- 販売価格の相場が把握できる
- 不動産会社の比較が可能になる
- 適正かつ高値で販売できる可能性が高まる
複数の不動産会社に査定を依頼すると、高値で販売できる可能性が高まります。
コツ②:少しでも早く売り出す
買ったばかりの家を高値で売るコツの2つ目は、少しでも早く売り出すことです。
基本的に、家の市場価値は築年数と共に下がります。
国税庁の資料によると、新築の場合は築1年以上経ち中古住宅になったとたん、価格は10%程度下がり、そのあとも毎年3~5%ずつ低下し続ける試算となっています。
もし高値で売りたければ、速やかに準備を進めて時間経過による値下がりを防ぎましょう。
コツ③:不動産需要の高い時期に売り出す
買ったばかりの家を高値で売るコツの3つ目は、不動産需要の高い時期に売り出すことです。
引っ越し需要が高まる時期を見極めてから売りに出すと、買い手が付きやすくなります。
特に新生活シーズンである春や、転勤する人が多い秋は、不動産需要が高まるためより高値で売り出すチャンスです。
また、住宅ローンの金利が低いときも購入する人が増える傾向があります。
家の需要が高いうちに売り出すと、スムーズな売買が実現するだけでなく、高値で販売できる可能性も高まります。
コツ④:類似条件の物件相場を把握しておく
買ったばかりの家を高値で売るコツの4つ目は、類似条件の物件相場を把握しておくことです。
物件相場と大きくかけ離れた価格をつけてしまった場合、売れ残ったり、売れたものの利益が出ず、損をする可能性があるからです。
もし周辺の地域で同じような築年数、間取りなどがあれば、その物件の価格が相場である可能性が高いでしょう。
類似物件の相場把握は、より高い価格での販売につながる期待が持てます。
コツ⑤:値下げ交渉を前提に高めの金額で売り出す
買ったばかりの家を高値で売るコツの5つ目は、値下げ交渉を前提に高めの金額で売り出すことです。
これは、値下げ交渉に対応するための対応策です。
仮に4000万円で売却を希望した場合、販売価格も4000万円と設定すると、値下げ交渉の結果、3700万円で売却に至るという可能性が生じます。
しかし、最初4300万円と設定しておけば、値下げの交渉にも応じやすく、希望金額で売却できる可能性も高まります。
適正価格での販売は、早く売れる可能性はありますが、値下げ交渉された時でも少ない損で販売できるよう、最初に少しだけ高い金額を設定しておくのが望ましいです。
買ったばかりの家を高値で売る際のよくある質問
ここからは、買ったばかりの家を売ることに関してよくある質問に回答します。
質問①:住宅ローンが残っている場合はどうすればいいですか?
家を売るときに住宅ローンが残っている場合は、残債を完済して抵当権を抹消する必要があります。
仮に、抵当権が設定されたまま売却し、その後のローンの返済が滞ると、担保として設定していた家や建物が差し押さえられてしまうため、新しい買主が家を失うことになってしまうのです。
ローン返済には以下の方法があります。
- 物件を売った代金で支払う
- 家を売った代金に預貯金などの自己資金を足す
- 住み替えローンを利用する
売却前にはローンの残債や抵当権を確認し、完済してから売り出すことが重要です。
また、状況に応じて住み替えローンの利用を検討しましょう。
質問②:売る場合にはどのぐらいの費用が発生しますか?
家を売るには、一般的に売却価格の4~5%程度の費用がかかります。
内訳は、仲介手数料、登記費用、税金などです。
また状況に応じて、住宅ローン関連の手数料やハウスクリーニング代、引っ越し代や解体費用などが必要になります。
これらを参考に、売却にかかる費用を事前に把握しておくことで、損を最小限に抑える売却を進められます。
質問③:新居は家が売れてから購入すべきですか?
新居の購入は今の家が売れていなくても、購入可能です。
但し、売却が先か、購入が先かでメリットやデメリットが大きく変わることを理解し、自分に合う方法を選択する必要があります。
売却を先に行う「売り先行」は、新居を購入するための資金計画が立てやすいメリットがあります。
しかし、購入者の入居タイミングに合わせて退去する必要があるため、新居が決まっていない場合、一旦別の場所に仮の住まいを設けることも検討しなければなりません。
購入を先に行う「買い先行」は、次に住む場所を購入してから売り出す方法です。
売り先行とは異なり、納得行くまで次の物件を探すことができますが、旧居と新居両方の支払いが必要となり、金銭的な負担が大きくなる可能性が高いため注意が必要です。
住み替えにはいろいろなパターンがありますが、自分たちの状況や資金に応じて適切な方法を検討しましょう。
まとめ:買ったばかりの家を売る際は注意が必要
今回は、買ったばかりの家を売ると損になることが多い理由について解説しました。
買ったばかりの家を売ることを検討されている方は、本記事を参考にして、家の売却を検討してみてください。

一心エステート株式会社代表取締役 不動産コンサルタント
1983年福井県生まれ。金沢大学工学部を卒業後、大手コンサルティング会社で新規事業立ち上げや不動産会社のコンサルティング業務に4年間従事。その後、リストグループで不動産仲介営業・営業管理職・支店長を経て、一心エステート株式会社を創業。創業当初から金融機関・不動産会社へのコンサルティングを行い、東京都心を中心に不動産仲介実績を積み上げている。2023年に著書「住んでよし、売ってよし、貸してよし。高級マンション超活用術: 不動産は「リセール指数」で買いなさい」を出版。
【保有資格】
宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/損害保険募集人資格/管理業務主任者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/住宅金融普及協会住宅ローンアドバイザー/相続診断士