一戸建てを売却しようと考えたとき、「築20年の家はどれくらいの価格で売れるのか?」と気になる人は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、築20年の一戸建ての売却相場の目安や築20年の一戸建てを高値で売却するコツについて詳しく解説します。
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目次
築20年の一戸建ては売却できる
出典:中古住宅流通、リフォーム市場の現状|国土交通省
一般的に木造一戸建住宅は築15年頃にかけて大きく価値が下がり、その後も緩やかに下降を続けます。
築20年を超えると建物部分の評価は新築時の1割程度まで低下し、売却目的の査定ではほぼ価値がないものと評価されるようになります。
築20年を超えた一戸建ては、売れないという印象を持たれることがありますが、築浅の物件と比較した際に、購入需要はさほど変わらず積極的に取引が行われています。
上記のグラフは戸建住宅の築年数と対新規登録制約率をまとめたものですが、制約率は築20年ぐらいまでは横ばいで、築浅と比較しても大差なく、築20年の一戸建ては十分に売却可能であることが分かります。
築20年の一戸建てが売却できる理由
続いて、築20年の一戸建てが売却できる理由を3つ解説します。
理由①:リノベーションやリフォーム目的の購入需要が高いから
築20年の一戸建てが売却できる理由の1つ目は、リノベーションやリフォーム目的の購入需要が高いからです。
リフォームやリノベーションを前提に一戸建てを探している方は価格がこなれてくる築20年超の物件を購入する傾向があります。
日本の多くの住宅は、20年が経過しても建物自体の耐久性が確保されています。
築20年の物件は建物の価値が低く評価されており、購入価格が安いことが特徴であるためリフォームやリノベーションを前提に探している方にとって魅力的です。
理由②:まだ数十年間は住めるから
築20年の一戸建てが売却できる理由の2つ目は、まだ数十年間は住めるからです。
日本の多くの住宅は、適切な定期メンテナンスやリフォームを行えば、20年経過しても十分に安全かつ快適に住むことができます。
日本の中古住宅の多くは木造ですが、2000年に木造建築の耐震について以下のような建築基準法の改訂がありました。
- 地盤調査を事実上義務化
- 柱・梁を固定する筋交いのサイズや金物を指定
- 耐力壁のバランス計算が必須
こうしたことから、2000年6月1日以降に建築確認申請が行われた住宅は、現行の耐震基準を満たしていると考えられます。築20年でも十分に安全性が確保されていると考えられます。
理由③:土地の価値は大きく変わらないから
築20年の一戸建てが売却できる理由の3つ目は、土地の価値は大きく変わらないからです。
不動産は建物の価値だけではなく、土地の立地や環境が大きなウェイトを占めます。建物が築20年でも駅近や人気エリアなど好立地にある物件は、土地の価値が高く全体としての資産価値が維持されます。
築20年の一戸建ての売却相場は土地価格とほぼ同程度
日本では、新築時の建物の価値は高いものの、築年数が経過すると急激に減価されます。
日本の一戸建て住宅は木造住宅が多いのですが、木造の一戸建ては新築から築10年までの期間は急に価値が下がり、新築時の価値の半分以下になります。
そこから築11~20年の間はゆっくりと下がるのが特徴です。
木造住宅の法定耐用年数が22年と設定されていることから、一般的に一戸建ての場合、築20年を過ぎると建物に価値がないとされてしまいがちです。
つまり、築20年の一戸建ての売却価格は土地の値段とほぼ同程度になると考えてよいでしょう。
築20年の一戸建ての売却相場の調べ方
続いて、築20年の一戸建ての売却相場の調べ方を5つ解説します。
調べ方①:複数の不動産会社に査定してもらう
売却相場の調べ方1つ目は、複数の不動産会社に査定してもらう方法です。
不動産一括査定サービスは、売主がwebサイトを通じて価格査定を依頼すると複数の不動産仲介会社から電話やメールで査定価格が届きます。
サイトに登録されている不動産会社はそれぞれ不動産の種類やエリアなど得意分野も異なっており、複数の不動産会社に査定を依頼すると、各社から異なる視点での評価が得られます。
調べ方②:不動産ポータルサイトで同じ条件の物件を探す
売却相場の調べ方2つ目は、不動産ポータルサイトで同じ条件の物件を探す方法です。
SUUMO、HOME’S、アットホームなど大手不動産サイトで売却する物件と同じ条件の情報を検索します。
条件(エリア、築年数、間取り、延床面積、土地面積など)を絞り、類似の物件が近隣でどのくらいの価格で取引されているかを確認します。
調べ方③:過去の取引事例を調べる
売却相場の調べ方3つ目は、過去の取引事例を調べる方法です。
過去の取引事例は「不動産情報ライブラリ」や「レインズマーケットインフォメーション」といったwebサイトで調べられます。
国土交通省が運営する「不動産情報ライブラリ」は実際の取引データが多数登録されており、実勢価格に近い土地価格を調べられます。
「レインズマーケットインフォメーション(REINS Market Information)」国土交通省から指定を受けた不動産流通機構が運営する不動産情報提供サイトです。
一般の方もアクセスでき、不動産会社で行われた取引について成約情報を無料で閲覧できます。
保有している不動産の売却価格相場や周辺地域の成約情報などを調べられるため、物件の周辺地域の相場感を得るのにも役立ちます。
調べ方④:公示地価から調べる
売却相場の調べ方4つ目は、公示地価から調べる方法です。
土地の価格は一物五価とよばれ「公示地価」「基準地価」「路線価(相続税路線価)」「固定資産税評価額」「実勢価格」と5つの指標があります。
公示地価とは、地価公示法に基づいて国土交通省が毎年公示している標準地の「正常な価格」のことで、全国で約23,000か所の標準地が選ばれたうえで、土地の価格が公表されます。
しかし、知りたい土地の近くが標準地に選ばれないこともあり、それを補うのが「基準地価」です。
全国で約20,000か所の基準地で都道府県が地価調査を行い、価格を公表しているのが「基準地価」で、国土交通省の「標準値・基準値検索システム」で調べられます。
調べ方⑤:固定資産税評価額から調べる
売却相場の調べ方5つ目は、固定資産税評価額から調べる方法です。
固定資産税評価額は土地や家屋の所有者に毎年納付が求められる固定資産税の金額に関係する評価額です。
売却の相場は固定資産税評価額から算出されますが、実際には以下の計算式を用います。
土地の売買価格=固定資産税評価額÷0.7×1.1
固定資産税評価額は、年に一度土地の所有者あてに送られる固定資産税納税通知書に記載のある固定資産税課税証明書を見ることで確認できます。
固定資産税評価額は固定資産税評価証明書を取得することでも確認できます。
所有する不動産を管轄する各自治体によって発行されており取得する場合には身分証明書の提示が必要で、所有者以外の人が取得する場合には委任状が必要です。
築20年の一戸建てを高値で売却するコツ
続いて、築20年の一戸建てを高値で売却するコツを5つ紹介します。
コツ①:親身になってくれる不動産会社を探す
築20年の一戸建てを高値で売却するコツの1つ目は、親身になってくれる不動産会社を探すことです。
築年数がある程度経った物件を扱う場合には、リフォームの必要性や売却時期の見極めなど、きめ細かいアドバイスが欠かせません。
不動産会社のポータルサイトを活用し、各社の売却実績や得意分野をチェックしてみましょう。
また、地元で評判の良い不動産会社も探してみると、地域密着ならではのノウハウを得られる可能性があります。
担当者と実際に話してみて、こちらの悩みに真摯に向き合ってくれるかどうかを見極めることが、希望の価格に近づく大きなポイントです。
コツ②:金利が低い時期に売り出す
築20年の一戸建てを高値で売却するコツの2つ目は、金利が低い時期を狙って売り出すことです。
住宅を購入する際、住宅ローン金利は買い手にとって重大な関心事項となります。
金利はわずか0.1%の違いでも支払い総額に大きく影響します。
金利が低い時期、あるいは金利が上がる前のタイミングでは、買い手からの問い合わせが増えやすくなり、売り出し価格の交渉も有利に進みやすいでしょう。
住宅ローン関連のニュースや金利の動向をこまめにチェックするようにしましょう。
コツ③:住宅需要が増える時期に売り出す
築20年の一戸建てを高値で売却するコツの3つ目は、住宅需要が増える時期に売り出すことです。
年度の切り替わり時期や転勤シーズンに当たる春・秋は、多くの方が住み替えや新居探しをするタイミングでもあります。
需要が高まる時期をうまく狙うことで、内覧希望者や問い合わせ件数が増えやすく、高めの売却価格を提示しても検討してもらいやすくなるでしょう。
コツ④:余裕を持った売却スケジュールを組む
築20年の一戸建てを高値で売却するコツの4つ目は、余裕を持った売却スケジュールを組むことです。
売却を急ぎすぎると、値下げ交渉をされやすくなったり、焦って不利な条件を受け入れてしまったりすることがあります。
内覧や広告掲載の準備期間も十分に確保しておくと、家の見た目や印象をベストな状態に整えやすくなります。
ある程度の猶予をもって売り出すことで、買い手にも「落ち着いて検討できる物件だ」というイメージを与えることができ、納得のいく価格での成約につながりやすくなります。
コツ⑤:修繕/ハウスクリーニング/ホームインスペクションを行う
築20年の一戸建てを高値で売却するコツの5つ目は、修繕/ハウスクリーニング/ホームインスペクションを行うことです。
まず、買い手が気にしやすい外壁の汚れ・水回り・基礎部分などは、劣化や不具合があれば早めに修繕しておきましょう。
特に、ホームインスペクション(住宅診断)は、住宅の専門家が外壁の劣化やシロアリの有無、水漏れ箇所などをチェックしてくれるため、築年数の経った物件を購入することに不安を感じる人の安心材料になります。
また、ハウスクリーニングを実施してきれいな状態を保つことも重要です。
清潔感がある物件は買い手の好感度が高まりやすく、値引き交渉を回避できる可能性も上がるでしょう。
築20年の一戸建てを売却する際の注意点
築20年の一戸建てを売却する際の注意点を4つ解説します。
注意点①:ローンは完済させておく
築20年の一戸建てを売却する際の注意点1つ目は、ローンは完済させておくことです。
家を売却する際には、住宅ローンを完済しているか、売却代金で完済できる見通しが立った状態で進めていくことが大事です。
ローンが残っている場合、売却代金からローン残高が差し引かれるため、売却金額が大幅に減少する可能性があります。
また、金融機関との調整が必要になるケースもあります。
通常、住宅ローンにはローン対象の物件を含んだ担保が付きますが、家を売ってしまうと担保も手放したことになり、ローンが継続できなくなります。
まずは、いくらぐらいで売却できそうか事前に査定する必要があるでしょう。
注意点②:契約不適合責任に注意する
築20年の一戸建てを売却する際の注意点2つ目は、契約不適合責任に注意することです。
契約不適合責任は、2020年4月1日から施行された民法に盛り込まれた規定です。
契約不適合責任をわかりやすくいえば、売買契約時に明示されていた内容と実際に引き渡された家の状態に差異があった場合に生じる責任と言えます。
従来の瑕疵担保責任では、隠れた瑕疵(売主が知らず、買主が注意しても発見できなかった欠陥)に対して、損害賠償請求や契約解除が認められていました。
一方、契約不適合責任では買主がその瑕疵を発見できたかどうかにかかわらず、契約で定めた目的や品質、数量と実際の状態が異なる場合に、修理や代替え物の請求、さらには代金減額請求も可能となっています。
これにより、買主の請求できる内容が拡大されたと言えます。
注意点③:売却後に確定申告が必要になる場合もある
築20年の一戸建てを売却する際の注意点3つ目は、売却後に確定申告が必要になる場合もあることです。
売却益(譲渡所得)が発生したときは、税務署への申告が求められます。 特に、住居として使用していた家を売った場合には、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」が適用できる可能性があります。
この控除を受けるためには、売却前に住んでいた期間や家族構成など、いくつかの条件を満たす必要があります。
控除を適用すれば、譲渡所得の計算上3,000万円までが差し引かれるため、納める税金が大幅に軽減される可能性があります。
ただし、確定申告の手続きには一定の書類が必要となるため、早めに準備を始めることが大切です。
また、売却損が生じた場合でも他の所得との損益通算が認められるケースもあるので、正しい知識を持って手続きを進めましょう。
出典:国税庁『No.3302 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除』
注意点④:不動産会社との媒介契約の内容を検討する
築20年の一戸建てを売却する際の注意点4つ目は、不動産会社との媒介契約の内容を検討することです。
媒介契約には「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」などの種類があります。 それぞれ情報公開の方法や契約期間、仲介手数料の扱いなどが異なります。
項目 | 専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 一般媒介契約 |
依頼できる不動産会社数 | 1社のみ | 1社のみ | 複数社 |
買主を自分で見つけた場合 | 不動産会社を通して契約 (仲介手数料が必要) | 不動産会社を通さずに契約 (仲介手数料不要) | どの不動産会社を通して契約しても良い (仲介手数料不要の場合もある) |
契約期間 | 最長3ヶ月 | 最長3ヶ月 | 特に定めなし (3ヶ月が一般的) |
不動産会社の活動 | 積極的な販売活動が期待できる | 積極的な販売活動が期待できる | 販売活動への期待は低い傾向がある |
例えば、専属専任媒介契約や専任媒介契約では、不動産会社が積極的に販売活動を行うため早期売却が期待できる反面、他社にも依頼したい場合には制限が加わります。
一方、一般媒介契約だと複数の不動産会社と同時に契約することが可能ですが、責任の所在が分散しやすく、積極的に販売活動をしてもらいにくいケースもあります。
契約時に担当者から詳しい説明を受けて、納得できる形を選ぶことが高値売却につながるポイントとなるでしょう。
築20年の一戸建ての売却に関するよくある質問
ここからは、築20年の一戸建ての売却に関するよくある質問に回答します。
質問①:築20年の一戸建ての固定資産税はいくらになりますか?
一戸建て住宅の固定資産税は土地部分への課税と建物部分への課税の合算で税額が決まります。
築20年の一戸建ての固定資産税は建物の経年減価が反映されて評価額が下がり新築時よりは安くなるのが一般的です。
固定資産税の計算は「固定資産税評価額×1.4%(+都市計画税最大0.3%)」が基本となりますが、実際には個々の物件で、土地の評価額・所在地・延床面積など築年数や構造、立地により固定資産税評価額や都市計画税の税率が変わります。
売却する物件の正確な税額は自治体や納税通知書で確認しましょう。
質問②:既存住宅売買瑕疵保険とはなんですか?
既存住宅売買瑕疵保険とは、中古住宅の検査と保証がセットになった保険制度です。
中古住宅購入後に見つかった欠陥や不具合の修繕費用を補償する制度です。
既存住宅売買瑕疵保険に加入するためには、専門の建築士による住宅の基本的な性能についての検査に合格する必要があり、国土交通省が指定した住宅専門の保険会社(住宅瑕疵担保責任保険法人)が保険を引き受けます。
この制度により中古住宅を購入する買主にとって安心が確認された住宅の取得が可能となります。
質問③:価格がゼロになる減価償却とはなんですか?
「価格がゼロになる減価償却」というのは、税務上・会計上の帳簿価格がゼロになることを指し、これが税金の計算や資産管理にどのように影響するかを理解することが重要です。
木造住宅なら法定耐用年数が22年と定められていて、その期間内で減価償却費を計上していきます。
年数が経過し、書類上は“もう建物の価値が残っていない”とみなされる状態になると、帳簿価格がゼロという扱いになるのです。
ただし、これはあくまで税務計算の上での価値にすぎません。
古い建物であっても、きちんとメンテナンスされていれば住みやすく、むしろリノベーション前提で魅力を感じる買い手がいることもあります。
さらに、土地そのものには減価償却という考え方がないため、築年数が進んだからといって土地の価値までゼロになるわけではありません。
まとめ:築20年の一戸建ての売却相場を知っておこう
今回は、築20年の一戸建ての売却相場について詳しく解説しました。
築20年の一戸建ての売却を検討している方は本記事を参考にして、ぜひ一戸建ての売却を成功させてください。

一心エステート株式会社代表取締役 不動産コンサルタント
1983年福井県生まれ。金沢大学工学部を卒業後、大手コンサルティング会社で新規事業立ち上げや不動産会社のコンサルティング業務に4年間従事。その後、リストグループで不動産仲介営業・営業管理職・支店長を経て、一心エステート株式会社を創業。創業当初から金融機関・不動産会社へのコンサルティングを行い、東京都心を中心に不動産仲介実績を積み上げている。2023年に著書「住んでよし、売ってよし、貸してよし。高級マンション超活用術: 不動産は「リセール指数」で買いなさい」を出版。
【保有資格】
宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/損害保険募集人資格/管理業務主任者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/住宅金融普及協会住宅ローンアドバイザー/相続診断士